第30話 記憶の混乱と収束
この後俺は一応落ち着き、冷静に周囲を見渡す。
どうやらここは日本ではないようだ。
そして、どうやら俺の身体は全くの別人となった・・・・らしい。
クーン・カウペルと言う11歳の子供が今の俺のようだ。
どうやら昨日、俺は唯我独尊とかいう冒険者のパーティーに絡まれ、目の前の爺さんと女の子2人と共に襲われ、そこで意識が無くなったらしい。
その後どういう訳か俺の魔法?でこの唯我独尊とかいう奴等を無力化、そして土砂剛史と名乗ったようだ。
今聞いた話は記憶にないが、俺は土砂剛史だからそう名乗って何が悪い?
だが現実はどうだ?
俺は全くの別人の姿をしている。で名前はさっきも出たがクーンと言うらしい。
ひょっとして俺は異世界に転生していたのか?
そう思った途端、何かが俺の中でカチッと噛み合ったような気がした。
そうか、俺は選ばれたんだ!
何に選ばれたかは分からんが(神のミスで死んだだけ。そしてたまたまこの世界に転移させられた。)、つまりそういう事か。そして目の前の女の子だが・・・・
2人とも、よく見ると子供にしては綺麗すぎるな、特に顔が。そして顔の造りが将来超絶美女になり得るぞ。
あれ?何だか妙にドキドキしてしまうぞ?
そう、俺は気が付かなかったが2人の姿を見ると・・・・何で俺はこんな子供の事を見るとドキドキしてしまうんだ?
土砂剛史はクーン・カウペルとして新たな生を受けたので、当然ながらその根幹は11歳の子供。
なので11歳としての色々に引っ張られているので、女の子の好みも当然実年齢相応になってしまうのだが、この時はそんな事は気が付いていない剛史だった。
『フロリーナさま、やはりこのクーンと言うのは頭を打っておかしくなったのではないですか?』
『ヤーナ、そうじゃないと思うの。まさかとは思いますが、クーンさまは伝説の転生者ではないのでしょうか?』
『まさか?あれが転生者?農家の4男と言っていましたよね?何で転生者がそんな生まれになるのですか?』
『分からないわ。でもクーンさまはヤーナが蹴り倒す時、土砂剛史と名乗っていましたから、きっとそれまで転生前の記憶を失っていたのでしょう。そしてあの時に覚醒し、思い出したに違いありません!』
2人の女の子が内緒話?をしているが聞こえているぞ?
これは【異世界あるある】!
俺はこの世界に何かしらの使命を持って転生したのか!そうかそうか!だが俺は勇者じゃないんだな?じゃあ何だ?
そして俺はこの世界に何をもたらす存在なのだろうか?
剛史は勝手に自らのハードルを上げ、ありもしない使命に心を躍らすのだった。
その後結局食事をとったが記憶が戻らないままフロリーナと言う女の子に何度も魔法をかけられ、3日程寝て過ごす事になる。
そして4日目。
フロリーナの魔法が効いたのか、徐々に思い出す。
あれ?俺はクーンだよな?
だけど土砂剛史ってのも俺だよな?
クーンは土砂剛史としての記憶が、前世の記憶だと認識するのに更に2日ほどかかり、倒れてから1週間、ついにクーンとして土砂剛史が生前の記憶、そして土砂剛史としての記憶を持ったままクーンとして転生した、と言う事実を受け入れる事ができた。
何だか複雑な気分だな。
そういやあ、たまに変な記憶があると思ったら前世の記憶だったか。
と言うか鮮明に思い出す事ができるようになったぞ?
これは・・・・もしかして色々有利に働く?
こうしてクーン=土砂剛史が確立し、土砂剛史はクーンとして転生・そしてクーンとして生きる上で土砂剛史の記憶が役に立つだろうと確信。
俺は異世界に転生したんだ。前世の記憶を持って。これは大変な事だぞ?
クーンに使命はあるのか?(ないです)
だがここにきて気が付いた。
土砂剛史としての記憶が戻って、現状を把握・認識してこれからどうしようかと思ったのだが、何故かこの世界にやってくる時の出来事を急に思い出す。そうだ!俺は訳の分からん神?の存在のミスで此処に無理やり転生させられたんだったか。そういやあダイスを振ったっけ?
ダイス?ダイスって返したっけ?
そう思いふと掌を見ると、あれ?何で俺はダイスを握っているんだ?
どうやら転生時のドサクサでダイスを持ち込んでしまった剛史。
これどうすりゃいいんだ?下手に振るとなんか訳の分からん影響が出そうだぞ?
念じれば収納とかできるのか?
ふとそう思い念じるクーン。
お?消えた。じゃあ次は出せと念じたらどうなる?ちゃんと出るな。
よし、なんかあった時の切り札にしておこう。
クーン・カウペル11歳。
この世界に生を受け11年。
イレギュラーな存在がこの異世界に何をもたらすのか。神のみぞ知る?
【いや待て儂らは知らんぞ!それにあいつダイスを持ってやがったのか!そういや失くしたなあと思っていたんだよな・・・・ヤバイぞ!】
【どうすんだよ?上に知られちゃあ不味いぞ?よりにもよって人間が神器を手にしているとか知られた日にゃあ・・・・】
【だまっとけ!どれほど長く生きても100年もすれば死ぬだろう?そうすりゃあ回収できる!それにもうあの世界は駄目だ。】
● 作者からのお願いです ●
沢山の方に私の作品を読んで頂き、ありがとうございます!
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もうしているよ!という方、ありがとうございます!
今後もより良い作品を投稿していけるように頑張っていきますので、今後もお付き合い頂けると嬉しいです!
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