11話:監視

 アーク「・・・・」


 ユピテル「・・・・」


俺は、新しい製造と調合を試している。


そしてなぜか、ユピテルが少し離れて、その様子を見ている。


ユピテルに目を合わせると、急に眼をそらす。


 アーク「ハァー」ため息をつく。


 アーク「なぜ帰らない? なぜここにとどまる?」


ユピテルが、体をビクッと震えながら、こちらに向けて話す。


 ユピテル「あなたを、監視する事にしたの」


 アーク「監視するのは良いが、なぜ怯えてる?」


 ユピテル「私は・・・ ま・・魔神がキライなの!」


俺がキライ? さっきまで顔も合わせた事もないのに・・・ 


さらにユピテルは、話を続けた。


 ユピテル「昔、戦争が起きたの。しかも一方的な兵器で頂点に上り詰めた種族。あなたも分かってると思うけど、一方的な兵器は魔神よ。その戦争中に魔神は、ある兵器を作ったの。核兵器を」


 「核兵器は、南東の島で使われたわ。美しい森は消えて草原になってしまった。そこに住んでいた精霊族は、北に移住なったのよ」


 「その後、女神の力を上回る魔神の行動に、光の神が怒り、魔神大都市を消滅させて、上位魔神を処刑したの」


 「生き残りの下位魔神は、光の神によって、呪いをかけられて、天族と魔族に分けられ互いに子を持つ事が出来なくなった」


 「その後、精霊族は支援のためにカルディナが付き、魔神の兵器の監視役がレア、獣人は魔神に奴隷のように扱われた為、スティアが支援に付く。 天族には私が監視に付き、魔族には、ミツハが監視をつく事になった。ミツハはすごく嫌がったけどね」


 「天族と魔族に分かれた影響で、魔神の字が読めなくなり、秘法書で製造と調合が出来なくなったはずなのに、あなたの父と母はなぜか読めたみたいね」


 「種族の覚醒の秘薬を使って、天族の父と魔族の母の間に生まれ、呪いによって分かれた血が戻り、魔神になったのが、アークあなたよ」


女神も戦争の被害者だったのか、どうりで魔神が嫌いなはずだ。


そして兵器を作れる俺を監視する事にしたのだろう。

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