【誰からも突っ込まれないので自分で説明するシリーズ】猿の惑星

 誰からも突っ込まれないので、自分で説明するシリーズです。

 悲しいことですが、またこの時間がやってまいりました。


 私は「猿の惑星」が好きです。いや、好きなんて、そんな単純な感情ではないかもしれません。

「猿の惑星」を初めて観たのは小学校低学年の頃のことだと思います。


 宇宙飛行士がコールドスリープを繰り返して辿り着いた惑星。そこでは人間が野生化しており、猿が文明を作っていました。猿というのは、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンの三種の類人猿です。

 宇宙飛行士は猿に捕えられますが、言語を使えると知られると、チンパンジーの庇護を受け、ゴリラから敵意を向けられます。悶着があり、そんな状況を脱すると、その惑星からの脱出する方法を求めて旅を始めました。そして、ニューヨークの自由の女神像を見つけ、自分が未来の地球に紛れ込んだことを悟り、絶望します。

 これがこの映画の最後のオチではありますが、パッケージで散々ネタバレしてるので、別に書いてもいいでしょう。


 あ、言い忘れてましたが、私はナチュラルにネタバレをします。


「猿の惑星」を観た小学生の私は絶望的な気持ちになりました。未来世界では地球は猿に支配され、人類は衰退しているのです。

 トラウマ映画ナンバーワンには「猿の惑星」を挙げたいと思っています。


 ある時、「続・猿の惑星」がテレビで放映されていました。「猿の惑星」の2作目です。

 これを見れば、トラウマ的な恐怖感から逃れられるのでは。私はそう思い、観ることにしました。

 ところが、この映画のラストでは核兵器が爆発し、地球が跡形もなく崩壊して終わります。実に最悪なラストシーン。私のトラウマは増幅されることになりました。


 そんなことがあり、私は猿が怖くてしょうがなくなりました。

「ターザン」を観ても恐くて仕方ありません。

 なんなんだよ、猿に育てられるって。怖くて仕方ねえよ。


 時は流れ、一人暮らしを始めるようになった頃。私はレンタル屋で「猿の惑星」五部作を見つけました。五部作? 「続」までしか知らんぞ。

 興味を抱いた私は第1作から順に観直すことにしました。ちんけなメイクアップにちゃちな特撮。私は大人になっていたので、もはや怖くはありませんでした。

 ですが、それ以上の問題が発生します。映画が面白くないのです。三作目以降、はっきりとクソ映画と化しています。


「新・猿の惑星」は続での地球滅亡から逃れたチンパンジーの夫婦が(なぜか)現代へタイムスリップ。一躍時の人として注目されますが、未来では猿が人間を支配していると知られると状況は一変し、人類から命を狙われることに。

 しかし、夫人はすでに妊娠しており、その子供が……。


「猿の惑星 征服」。

「猿の惑星」シリーズでもダントツでひどい映画と断言できます。

 時代は猿が進化して、底辺労働者の代わりに人間の奴隷にされている時代です。その説明は冒頭のナレーションで済まされていて、唐突感が半端ありません。

 猿の労働者たちの中で、タイムスリップしたチンパンジー夫婦の息子・シーザーが自我に目覚め、猿を率いて、革命を起こすのでした。めでたしめでたし。


「最後の猿の惑星」。

 地球は猿に支配されるようになりましたが、シーザーは人間にも自由を与えました。とっぴんぱらりのぷぅ。

 いや、第一作と繋がらない。この映画はループ構造ではなく、螺旋構造というか、五部作の物語により、猿と人の関係はより良い方向に進むというエンドだったのです。

 ……納得いかねぇ。


「猿の惑星」は黄禍論をテーマにした作品といわれています。かつて、日本が台頭し始めた時代、欧米ではその勢いに追い落とされ、黄色人種に支配されるのではないかという恐怖がありました。

 欧州とはまた別の文化圏で近代化した国家がほぼなかったからこその怖れでしょう。人は未知のものを恐れます。

 この映画シリーズのクソ化は、欧米とアジア圏が互いに歩み寄れる、そう考えが変わってきたから故のものかもしれませんね。いい風に言うのであれば。


 その後、「PLANET OF THE APES/猿の惑星」という映画もありました。単発のアクション映画という感のある作品であるでしたが、時代の変遷を感じさせるものもあります。

「猿の惑星」シリーズでは、チンパンジーが知的で温和な種族で、ゴリラは暴れ者で好戦的な種族でした。オランウータンは日和見な感じです。

 ところが、この映画では凶暴なチンパンジーの軍人が登場し、ゴリラはそれに追従するものとして描かれます。

 この間の数十年で猿の研究が進み、ゴリラは温厚で知的、チンパンジーは凶暴と、イメージが変わったためでしょう。


 さらに、十数年経ち、「創世記ジェネシス」「新世紀ライジング」「聖戦記グレート・ウォー」の三部作がつくられました。

 これは「猿の惑星 征服」「最後の猿の惑星」の二作というどうしようもない映画をリメイクしたものですが、驚愕するべきことに、とても面白い映画でした。ストーリーは原作(映画)を元にしつつ、SFとしての考察がしっかり行われ、猿もとてもリアルです。

 来年には続編の「キングダム」が公開されるらしいですね。楽しみ。


 そんなわけで、私は「猿の惑星」に学び、五部作を発表する際は「(無印)」「続・〜」「新・〜」「〜征服」「最後の〜」とすべきと理解しました。「激辛⭐︎プリンセス」のサブタイトルにこの並びが出てくるのはそういう理由わけなのです。


 皆さんは、このニャルさまとかいうヤツ、何でこんなに猿が好きなんだろうと、今まで疑問だったかと思います。

 今回のお話でその理由がわかったのではないでしょうか。

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