僕のわりかし好きな人【サマルトリアの王子編】
私のドラクエとの出会いにはサマルトリアの王子が関わっています。
小学校に上がるか上がらないかくらいのころ、母親に連れられて訪れた家で、同い年くらいの子供たちがやっていたのがドラクエ2でした。
私もその輪の中に入り、彼らがゲームをスタートし、サマルトリアの王子を仲間にし、クリアするまでを見届けました。短時間でクリアまで進むわけはありませんが、記憶の中ではそうなっているのです。
これが初めてのRPGとの遭遇で、たちまち夢中になりました。帰り道ではすっかりローレシア王子(主人公)になりきり、その辺で拾った棒を規則的に振り回しながら、フィールドの音楽を口ずさんでいたほどです。
そんなわけでドラクエ2がやりたくてたまらなくなったのですが、幸いにも従兄が貸してくれました。サマルトリアの王子を仲間にするとても楽しいゲームを、です。
ところが不幸なことに、当時の私は装備という概念がわかっていませんでした。素手のローレシア王子はスライムにも歯が立ちません。全滅です。
仕方がないので、必死に逃げまくり、ほうほうの体でリリザの町に行き、持ち物を全部売って聖なるナイフを買うのがプレイスタイルとなりました。
しばらくすると、装備をすることを覚え、父からレベルアップと
ちなみに、自分が生涯で父を尊敬した瞬間最大風速は、ハーゴンの城で先に進むために、白い十字架の上で邪神の像を使うべきだと彼が気づいたときでした。ここはまったくヒントがなかったのです。
炎のほこらで太陽の紋章をノーヒントで見つけたときはそうでもありません。すでに同級生のマサキ君が発見していたからです。
さて、サマルトリアの王子は、当時ドラクエからRPGに入った者にとって最初の仲間だったわけです。だからこその思い入れもあるのでしょう。弱い、死にやすいとの評判もある彼ですが、それでも奮闘する姿に胸を打たれるのです。
彼のゲーム中の性能を追ってみましょう。
まず、生存力ですが、これは最弱といっていいものです。「気づいたら死んでる」がサマルトリアの王子の代名詞です。
HPはムーンブルクの王女と大差がなく、レベルによっては追い抜かれる始末。さらに、守備力はすばやさの半分が素の値となるため、すばやさの高いムーンブルクの王女と比較して、守りも弱いということになりがちです。
防具に関しては、序盤に限って若干の優遇があるもの、みかわしの服、水の羽衣といった重要な防具は共通装備のため、優位性はあまりありません。盾を装備できるのはアドバンテージではあるものの(皮の盾と力の盾の二つですが)、ブレス軽減も魔法軽減もないので、安定とは程遠いありさまです。
ちなみに、パーティのエースであるローレシア王子は全ての装備を装備可能という全シリーズを見ても類まれな能力があります。そのため、圧倒的な安定感を誇ります。(それでも死ぬ時は死ぬけど)
続いて打撃力。はっきり言って貧弱です。ローレシア王子の半分以下のダメージ量しか与えられないことがしばしばです。武器が序盤で手に入る鉄の槍止まりなのも悲しいところ。
はやぶさの剣(低威力で二回攻撃)も装備できますが、レベルが低いうちは鉄の槍の方がダメージ量が多く出ます。大抵の場合、使いこなす前に冒険は終わるでしょう。
とはいえ、決して侮るべきでもありません。ローレシアの王子と協力して敵一体を倒せる状況も多く、いかに攻撃を集中させるかが重要な局面も多いのです。
彼の攻撃力の設定は協力することの重要性を教えてくれるものなのでした。
そして呪文です。派手さはないのですが、パーティ生存の鍵を握る呪文を覚えます。それほど量はないので一つずつ検証してみます。
ホイミ。初級回復呪文。序盤の生命線です。より上位の回復呪文を覚えれば必要なくなる……わけではありません。初期ドラクエはリソース管理がメインのゲーム性であり、加えて敵の攻撃が激しいドラクエ2においては、効率的にHPを満タンにするために必要な呪文となります。
ギラ。炎の呪文らしい。のちのシリーズと違い、単体攻撃です。使いどころと時期は選びますが、あのサマルトリアの王子がローレシアの王子以上の火力を出す、その姿は感動すら覚えます。
キアリー。解毒呪文。シリーズ中でも地味な呪文に思えますが、アイテムの所持制限が厳しい、リソース管理ゲーにおいて、とても大事な呪文です。これにより、毒消し草を持ち歩く必要がなくなるため、一気にアイテム所持量に余裕が出ます。
マホトーン。魔法封じ。これも使う局面を選ぶ呪文です。敵が厄介な呪文を使う場面も多いので役立つ場面は多くあります。状態異常を使いこなせればRPG上級者、存分に使いこなしましょう。
ルーラ。瞬間移動呪文。おそらくリアルに欲しい呪文No1。役割としては、移動時間の節約だけでなく、パーティを安全に町まで逃がすことです。
リレミト。迷宮脱出呪文。ルーラと合わせて迷宮探索時の生命線で、この2つの呪文分のMPを残すことは常に考えていなければなりません。
そのため、サマルトリアの王子が死ぬと、パーティは逃走すらままならなくなります。そして、大概サマルトリアが真っ先に死ぬ。
ベホイミ。中級回復呪文。ムーンブルクの王女はレベル1で覚えていますが、サマルトリアの王子が覚えるのは冒険も中盤。そして、完全回復呪文のベホマは覚えない。この辺り、器用貧乏の本領といえるでしょう。
とはいえ、アホほど使い倒す呪文です。
トラマナ。罠回避呪文。ダメージ床を無効にします。初期ドラクエのダメージ床は本気で殺しにかかってくるので、ほぼ必須の呪文。
ローレシアの王子がロトの鎧を手に入れ、ムーンブルクの王女が水の羽衣を装備していると、この2人はダメージ床無効になるので、自分のためだけにトラマナを唱えることになり、ちょっと虚しい。
ベギラマ。電撃の呪文。シリーズ初の全体攻撃呪文です。とはいえ、威力の設定をミスっているらしく、ギラやバギと大差のないダメージしか与えられません。サマルトリアの王子が弱いといわれる所以はここにあるかもしれません。
しかし、全体攻撃は便利なので、結局、活用することを余儀なくされます。
スクルト。防御呪文。シリーズ初のバフ呪文。これも設定ミス疑惑があり、守備力の上昇率が低くて使い物になりません。
ボス戦でやることがなかったら使ってみたらどうでしょう。HP残り1で生死を分ける場面が来るかもしれません。(そんな事態にはほとんどならないけど)
ザラキ。冷凍呪文。血液を凝固させて息の根を止める呪文(という設定だった)。
ダメージのインフレが進むRPGにおいて、味方の使う即死呪文はいまいち弱い。そんな風潮がないころの即死呪文です。
ただ、使いこなすには効く敵と効かない敵を見極める必要があります。プレイヤーの情報収集能力が試される呪文です。
ザオリク。蘇生呪文。サマルトリアの王子が生命線である最大の理由です。死者を蘇らせる呪文を使えるのは彼だけ。サマルトリアの王子が死ぬと、1つしかない蘇生アイテムを使うしかありません。
この呪文を契機に、いかにサマルトリアの王子を生存させるかというゲーム性に代わります。
メガンテ。自爆。自分が死ぬ代わりに敵を全滅させます。ところが、前述の通り、蘇生も脱出もサマルトリアの王子頼みなので、当面のピンチは凌げても、それ以降はにっちもさっちもいかなくなるケースが多いでしょう。使いどころのない呪文です。
ちなみに、小学生の頃の私はメガンテの使いどころを考えるのが趣味でした。結論として、使いどころはない。
なお、ゲームブック版でのサマルトリアの王子は、それまでののんびり者で弱虫というイメージから脱却し、口が悪くてトラブルメーカーだが切れ物で頼りになるキャラクターになっています。名前はカインでした。
カインもとてもいいキャラです。呪文の詠唱がカッコよくて、よく真似をしていました。
「ジン、イフリート、サラマンドラよ。古き盟約に従い、我の望みを叶えたまえ。我を守る盾となり、敵を貫く剣となれ。ベギラマ!」
ドラクエ9でやって来たサマルトリアの王子はクッキーです。ムーンブルクの王女はプリンという名でした。なぜか食べ物つながり……。
わざわざカッコ悪い名前にしなくても、と思うところです。
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