28:Confession
「それで、話って?」
「うん。花火大会の時から、お互いに呼び方変わったでしょ?」
「ああ、そうだな……」
「どうして?」
「それはこっちのセリフと言うか……」
「そうだよね、ごめん」
「話変わるけど、海斗くんってさ、わたしに隠してる事ない?」
「え?隠してること?」
もしかして、能力の事か……?
「うん、あるでしょ」
「なんで、知ってるんだ?」
「この前、日光行ってたんでしょ?その時みづきと研究所に行ってたよね?」
「あいつと知り合いなのか?」
「ずっと昔からの知り合いだよ。物心がつく前から」
「どういう関係なんだ」
「海斗くんの事教えてくれたら、わたしも全部話すよ」
「五感病って、知ってるか?」
「うん、知ってるよ」
「それの後遺症みたいなやつで他人の心の声が聴こえるようになった。それだけだ」
「と言うか、いつから気づいてたんだ」
「私も海斗くんと同じように能力を持ってるの」
「そうなのか?」
「わたしのは、透明人間になれるんだよ。それで知ったかな」
「透明人間だと……?」
「うん」
そう言い、碧の姿は見えなくなった。
「ね」
「てか、なんで俺が研究所に行ったこと知ってるんだ?」
「あの時、わたしも日光に行ってたんだよ」
「そうだったのか」
「ごめんね、急にこんな話」
「いや、別にいいけど」
碧も能力を持っていたのか。意外と身近に結構いるもんだな。
「話ってのはそれだけか?」
「あと、もう一つ」
「さっきの続き、わたしは海斗くんの事が好き。だから、呼び方を変えたの。でも海斗くんはなんで?」
唐突に告白された。こんなものなのか?
「俺も、好きだ……。碧のことが好きだ。だから……」
「そう、ありがとう」
彼女はニッコリ微笑みながらこう言う
「付き合ってくれませんか?」
「うん、こちらこそ、よろしくお願いします」
唐突に告白され、唐突に初めて恋人が出来た。
「海斗くんは、わたしのどこが好きなの?」
「学校ではクールな感じに見えるけど、こうやって二人きりで話してる時は、可愛い雰囲気があって、俺しか知らない碧の一面みたいなのを知れて、嬉しかったんだ。それで、余計好きになった」
「ふふっ笑」
「なんで笑うんだよ?」
「いや、ここまで熱心に語られるとは思わなかったから笑」
「そ、そういう碧は、俺のどこが好きなんだ?」
「うーんとね、テストで高い順位取ってるのにそれを、変に自慢したりしてなくて良い人だなって思ってたら、意外と気にしてたってことを知ってなんか可愛くてね」
「そんな理由なのか?」
「他にももっとあるよ。海斗くんは自分では気づいてないと思うけど、すごく素が優しいところとかかな」
「優しい?俺が?そんなことないと思うけど」
「優しいよ。例えば一緒に道路とか歩いてると、さりげなく道路側歩いてくれたりとか……」
「俺ってそんなことしてるっけ?」
「してるよ。そういう無自覚な優しさとかに惚れました」
「惚れたって言われると、なんか照れるな」
「海斗くんって、いつからわたしのこと好きだったの?」
「結構前かな。それこそ初めて会った時くらいから」
「そうなの?」
「ああ、普通に可愛いなって思ってて、一緒に生徒会やるってなって話す機会とか、一緒にいる時間が増えて、それでどんどん好きになっていったかな。起きてる時は、ずっと碧のことが頭から離れなかった」
「そんなに?」
「ああ、そんなにだ。恋って惚れた方が負けってもんだな。こんなに心を揺さぶられるし」
「惚れた方って言ったら、わたしも海斗くんに惚れっぱなしだよ?わたしもずっと海斗くんのこと考えてる。一緒にいる時なんて他のことに集中出来ないくらいに」
「そっか、幸せにするよ、碧。」
「うん、ありがと。わたしも負けないくらいに幸せにできるように頑張るね」
こうして、俺と碧の新しい関係が始まった。
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