26:Fireworks Display

今日は家の近くの川の付近で全国的に有名な花火大会が開催される。

一応、俺は毎年見に行っている。テレビで中継もやっているが、せっかく近くでやってるから見に行ってる。

「山下さん、良かったらだけど、一緒に花火見に行かないか?」

「うん、いいよ」

「でもわたしちょっとこの後用事あるから、現地集合って形でもいい?」

「全然いいよ」

「じゃ、会場で」

「うん」


せっかくだし優依も誘って……。いや、やめておくか。何となくやめておいた。二人きりが良かった。

誰かと花火を見に行くのはいつぶりだろうか。浴衣とか着ていった方がいいのか?男だし、そこまで気にしないでいいか。


夕方の四時頃になり、駅の方に行ってみると、浴衣を着てる人でごった返していた。さっさと会場に向かうか。


山下さんはまだ来ていないようだ。

山下さんにLIMEで『入口付近で待ってます』と送っておく。


待つこと数分。山下さんがやって来た。

「ごめん、待った?」

「いや、今来たとこ」

などと、恋人みたいな会話を交わす。

「じゃ、行こっか」

一緒に歩き出す。

「人多くて危ないから、俺の手でも握ってて」

「え?うん。わかった」

なんか無意識にとても恥ずかしい事を言ってしまった。まあ、いいだろう。

そんなこんなで、屋台が見えてきた。

「何か食べたいのあるか?あったら奢るけど」

「うーん、わたあめ食べたい」

「おっけー」

わたあめ……か、なんか可愛らしいな。

「ほい」

「ありがと」

てか、わたあめってこんなでかい物だったっけ?これが特別なだけ?凄くでかいけど。


屋台の通りを抜け、河川敷へと出る。

すると、丁度そのタイミングで花火が始まった。

綺麗で、迫力があり、色んな形や色をしている。まさに火の花だ。

「綺麗だね……」

山下さんはすっかり見入っていた。

その横顔に俺は見入ってしまった。

「ねえ、海斗くん。また来年も来ようね」

海斗くん。名字呼びだったのが下の名前で呼ばれていた。

「うん、一緒に行こう。碧」

俺も便乗して碧と呼ぶ。そして、いつの間にか握っていた手は恋人繋ぎになっていた。


ああ、そうか。これが恋と言うやつか。


花火大会が終わり家に帰ってきたが、お互いに恥ずかしくて全く会話が生まれない。

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