25:Older Sister

八月四日。私は毎年この日はこの研究所に来ている。

わたしの姉が眠っている。今日でもう十二年か……


十二年前の今日、姉は長い眠りについた。原因は最先端の研究、実験による代償だ。それは人の魂に干渉するというもの。当時は五感病の手術方法は確立されていなかった。そこで、患者の魂に干渉し、魂の記憶を上書きし、意識的に五感病を隠すと言う応急処置の様な方法が提案された。

もちろん反対の意見も沢山あった。それでも五感病の治す方法がなかった当時はそれをやるしか無かった。そこで、五感病の症状が重かった姉を実験台にした。魂の干渉には成功したものの、魂に負荷がかかりすぎた影響で未だにずっと眠っている。死んでいるわけじゃ無い。ちゃんと生きている。髪は伸びてるし、身体も大きくなっている。

色んな医師に診てもらったが、専門の医師でも状況はよく理解できないらしい。わたしが『お姉ちゃん』と呼びかけると、魂と接続している機械は反応する。つまり、意識はあるということ、なのに目覚めない。


こんな状態の姉をどうにかする為に、わたしは研究チームを立ち上げた。仲間が集まるのはあっという間だった。私と同じように、自分が患者だったり、家族などに患者がいる、と言う人達が集まってくれた。チーム自体は立ち上げてからまだ、数年。それでも、成果は出ている。


帰ろう。


用事があるから学校に寄っていく。夏休みの学校は人が少なく居心地が良い。


用事を済ませ、家に向かっていると志崎くんと、あれは確か山下さん?の二人が一緒に荷物を持って歩いている。そして目の前のマンションに入っていく。


ん?どういう事?

そんな事を思っていると、マンションのロビーから志崎くんが出てきた。

「帰ってきたのか、てか、なんでこんな所にいるんだ」

「たまたま、通りがかっただけだよ。と言うか君たちどういう関係なんだい?」

「まあ、色々あって一緒に住んでるんだ」

「そうなのか」

「他のやつに言うなよ」

「別に言わないよ」

「じゃあ、わたしは行くよ」

「ああ、またな」


一緒に住んでるんだ……

なんで?

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