23:Laboratory

今日は旅行の二日目。自由行動らしい。と言っても特に行きたいところもないのだが。まあ、そこら辺をぶらぶらしてるか。


旅館からの最寄り駅の付近を何となく歩いていると

「まさか、こんな所で会うなんてね」

俺の背後からそんな声が聞こえた。

「は?誰だ」

そう言い返し、後ろを振り向くと

「やあ」

橋本みづきがいた。

「なんでこんな所にいるんだ」

「それはこっちのセリフだよ、君こそなんでここにいるんだい?」

「こっちは、ちょっとした旅行だ。お前はなんでここにいる」

「日光の山奥に五感病専門の病院と言うか、研究所があるんだよ。あとお前って言うのやめてって言ったよね?君はホント学習能力がないね」

「ほっとけ。それで、研究所?」

「うん。研究所」

「研究所に用があって来たのか?」

「うん、そうだよ」

「入っていいもんなのか?」

「わたしは研究チームのメンバーなんだよ」

「そうなのか」

「うん、しかもわたしは副リーダーだよ」

と、謎のドヤ顔をかましてきた。

「高校生なのに副リーダーなんかをやってるのか」

「研究チームを立ち上げたのがわたしだからね」

「みづきって一体何者なんだ」

「天才少女とでも思っておいてくれたまえ」

「わ、わかった」

「そうだ、君も研究所に着いて来てくれないか?」

「は、俺が?なんで」

「まあ、ちょっとね」

「別に、いいけどさ。どうやって行くんだ?山の奥なんだろ?」

「徒歩だよ」

「はい?」

「歩いて行くって言ってるんだよ」

「どのくらいかかるんだ……?」

「二時間くらいかな」

二時間か……まあ頑張るか


研究所に着いた。疲れた。もう一歩も歩きたくない。

外観を見てみると、研究所なんだろうが、確かに病院でもある様だ。


「で、見た感じ病院でしか無いが、研究所はどこにあるんだ?」

「地下だよ」


みづきの後ろを着いていく、どうやら地下への道は階段しかないらしい。初めて来るはずなのに、どこか懐かしい感じがした。


研究所に着いた。研究所に行くまでの道には何個ものセキュリティが設けられていた。ただ、研究所には誰もいないようだ。


「なあ、誰もいないのか?」

「うん、ここはたまにしか使わないからね」

「ところで、ここには何があるんだ」

「公には出来ないようなものやらが沢山あるよ」

「大丈夫なのか……?」

「まあ、バレなければいいんだよ」

「で、なんで連れてきたんだ?」

「渡したい物があってね。ちょっと待ってて」

そう言って棚を漁り始めた。

「お、あったあった。はい、これ」

「これ、なんだ?薬か?」

「うん、薬」

「何の薬だ?」

「君、手術してから丁度十年だよね、確か」

「多分、そうだな」

「手術してから十年経つと能力の効果が強まって、幻覚や幻聴、目眩や耳鳴りと言った症状が確認されているんだ。これは、それを抑える薬だよ」

「確かに昨日、目眩があったな」

「朝昼晩の三回服用してね、ちゃんと飲まなかったら最悪死ぬからね」

「わ、わかった」


そんなこんなで、二日目は研究所に行って終わった。

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