第25話 手紙

 昼ごはんを食べ終わり、このまま夕方まで歩き続けた。

 そして、日が沈む頃に町の宿屋に着いた。

 部屋に入りアリーから本と兄上から貰った箱について聞かれた。


「そういえば、ランが持ってきた本は何が書いてあるの?」

「ん?俺が持ってきた本?」

「そう、何の本を持ってきたのかなと思って…」

 あぁ、前に本を持ってきた話をしたから

「俺が持ってきたのは植物図鑑と魔物図鑑だよ」

「なんで図鑑?」

「これからどこに行くか分からないし、着いた所が何も分からない植物や魔物しかなかったらどうしようもないから…」

 そう答えたら納得したのか

「確かに…どこに何があるか分からないとどうしようもないね」


「それから、ジル兄上から貰った種は人参と大根、後…じゃがいもなんだ」

「なんでそれなの?」

「全部土の中で育てられるから。土の中だったら、知らない人はただの草だと思うし…知ってても掘ってまでとる人はいないと思うから」

 その言葉に

「確かに、掘ってまでとる人はいないと思う。掘ってる最中に人が来たら大変だし…」

 そんな話をしながら和んでいた。

 アリーにジル兄上の事を話しながら、家を出る時に話した事を思い出し…

「あ!忘れてた…」

「い、いきなりどうしたの?」

「あ、ごめん。大きな声出して…」

 ジル兄上から貰った入れ物を開けて、手紙を取り出した。

『ランへ…行く前に話した事は、きっと覚えてないと思うから手紙を残しとくよ。この入れ物に入ってる種は人参と大根だよ。種の下に絵が書いてあるから分かると思う。そしてランが持ってる図鑑に(人参、大根、じゃがいもの)育て方、収穫してからの使い方が書いてあるから分かると思う』

 そんな事が書いてあった。

「ジル兄上…」

 ジル兄上が色々と心配してくれてたのが、嬉しい気持ちと悔しい気持ちが半々になっていた。


「ラン…ジル様からこの図鑑2冊を貰ったの?」

 アリーが不思議そうな顔で聞いてきた。

「う、うん…そうだけど…」

「なら…ジル様はランが家を出てからの事を考えてくれてたんだね」

 アリーからそんな事を言われて動揺した。

「そ、そうなのかな…」

「うん…きっとそうだよ!だってそうじゃなきゃ図鑑なんて渡さないよ…」

「そっか…確かに、そうだね」

 そんな事を言われ、俺は納得した。


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