お城へ行きましょう2

「果物だけじゃないわよ。私が買おうと思っていた魔鉱石も駄目だって言われたわ。なんでも王女様の治療のために集めているらしいって」

「そーそ〜。おかげでろくな買い物ができなかったんだよ〜。でも気になる話も聞いたよ〜。なんでも王女様が病気だから、今は大臣が政治を取り仕切っているんだって〜。それから、やたらと治療のためにって、献上品を多く求められるようになったんだってさ〜」

 ヨウサに続いてガイがそう言うと、薬屋のお姉さんは重々しい空気で頷いた。

「ああ、だからあたしの家も、献上品をもってこいと、あのクソ大臣がうるさくてな」

「く、クソ大臣て……」

 急に口が悪くなるので、思わずヨウサが苦笑いすると、お姉さんはフン、と鼻を鳴らした。

「キライなんだよ、あのクソ大臣。ウコン様を治したいとほざきながら、肝心の王宮薬師は解任だ。やっていることがあべこべなんだよ、アイツは」

「ああ、それがさっき言ってた、薬師解任って話だね」

 お姉さんの愚痴に、ようやく話が繋がった、とシンジが笑顔だ。

「もしかして、お姉さんが、王宮薬師だったの?」

と、シンジが尋ねれば、お姉さんはため息を一つ挟んで答えた。

「いや、ウチのばあさんさ。長らく王宮薬師として務めていたんだがね、年だから引退しろと、半ば無理やり解任されたのさ」

「なるほど……それで、お姉さん、大臣がキライなんだべな……」

 ようやく腑に落ちるシン達である。

「それで……王女様がご病気なのと、献上品が、どう繋がるんですか……?」

 それた話を、黒髪の少女リタが元に戻すと、思い出したと言わんばかりに薬屋のお姉さんが振り向いた。

「ああ、それでだな、その献上品をお前たちが運べばいいのさ。そうすれば、何の疑いもなく、城に入れるだろう?」

「なるほど! それはいい考えだべな!」


 ――と、いうことで、彼らが献上品を運ぶことになったのである。もっとも、唯一の誤算は、その献上品が思いの外重かった、ということだが。

「それにしても、どうしてこの暑い中、フードをかぶらなきゃなんねーだ?」

 思わずフードを取って汗を拭うシンに、シンジが慌ててフードを被せ直す。

「だめだよ、村の人でないってバレたら駄目なんだから!」

「あくまで、薬屋さんの親しい村人を演じなきゃいけないのよ。明らかによそ者だってバレたら面倒だもの。ちゃんとフードかぶってよ、シンくん」

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