不幸な少女5
その表情を見て、ヨウサは納得顔で頷いた。
「……やっぱり。アレよ、恋人同士ってヤツよ。もー、そーゆーところ、シンくんてば鈍感なんだから……」
ヨウサは腕を組み、少々お怒り気味な様子で言う。それを聞いて、シンが何か言おうとするよりも先に、リタは頬を赤らめて首を振った。
「そ、そんな関係じゃないです……。その、私が勝手に片思いしているだけで……」
その回答に、思わず言葉をなくしてリタの方を振り向く男子三人だが、それとはまるで真逆、たちまちヨウサの声が大きくなる。
「じゃあ余計に辛いわ! 片思い中なのに……その好きな人に攻撃されるなんて……そんなひどいことってないわよ……」
ますます感情的になるヨウサである。どうにも恋愛がらみの話となると、感情移入してしまうようだ。しかし、感情的になったのはヨウサだけではなかった。ヨウサにつられるように、シンジもうなだれた。
「確かにそれは辛いよね……。好きな人に攻撃されるなんて……」
「そーゆーもんだべか?」
こういうことには非常に鈍感なシンが首を傾げると、ガイは呆れたようにため息をつく。
「まったくもー、シンってはオトメゴコロがわかってないなぁ〜」
「む、おめーにいわれたくねーだ」
と、ケンカが始まりそうな二人の間に、シンジが割って入って口を開いた。
「考えてもみてよ、シン。例えるならキショウが闇の石に乗っ取られた時のようなものだよ。あの時だって、僕ら、キショウを助けるために攻撃したけど、キショウ、闇の石のせいで僕らのこと分からなくて攻撃されて……キツかったじゃない」
キショウとは彼らの友達の小鬼だ。過去、彼らはそのキショウが自我を無くして暴走したとき、彼を助けるために彼を攻撃して止めるという、辛い戦いをしたことがあるのだ。もっとも、キショウはそのおかげで助かって、今はどこかでピンピンしているのだが。
シンジの説明に、先程まであっけらかんとしていたシンの表情が曇った。
「それならわかるだ。確かにあの時は嫌な戦いだっただべ」
「でしょ。あの時と同じような状況に、このリタさんはいるんだよ」
シンジの説明に、途端シンは熱くなってリタの手をとった。
「そーゆーことなら、オラ達に任せるだ! なんとしてもあの白いヤローを元に戻してやるだ!」
しかし即座に反対したのはガイだ。
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