第227話 ぼくたちの戦いはこれからだ
「ヴォルガーさん、そんな恰好でうろうろされては困ります、お嬢様に見られたらどうするおつもりだったのですか?それともあえてそういう姿をお嬢様の前に晒すことで反応を見たかったのですか?」
風呂上りに廊下を歩いていたらルビーさんからボロクソに言われた。
まあ腰にタオル一枚だけしか身に着けていない俺が悪いんだが。
部屋戻るまでもう誰も会わんやろとか思ってたのがいけなかった。
「これはですね、風呂で服を洗ったから裸なのであって決してそのような性癖の元、露出しているわけではないのです」
「着替えはどうされたのですか」
「一着しか服を持ってません」
「そういうことはもっと早く言ってください」
怒られました。
いやだって買う暇なかったんだよー。
今日だってダンジョン行って帰ってすぐ風呂の準備させられて…
大体風呂沸かすの結構重労働なんすよ…セサル様もお嬢様も長湯でなおかつお湯がぬるいとすぐに家の中から文句が飛んでくるし。
二人が入ってる間、俺はずっと湯を沸かしてんすよ?
それからルビーさんが風呂入ってる間に飯食って、最後に俺はぬるくなった湯で体洗って…
「とりあえず部屋に戻ってお待ちください、着替えを用意します」
「はい」
従順な使用人の鑑である俺は、素直に部屋に戻り小脇に抱えていた自分の洗濯した服を室内にロープを張って部屋干しする、臭くなるかなこれ、やはり夜に洗濯するもんじゃないな。
「セサル様の服を持ってきました、これを着ておいて下さい」
部屋のドアがノックされてルビーさんの声がした。
少しだけ開けられたドアからシャツとズボンを渡される。
シンプルな白い長そでのシャツと黒いズボンだ。
「いいんですかこれ?俺が着たら怒られません?」
「ご安心ください、今日買ったばかりの服なのでセサル様はまだ一度も袖を通しておられません」
「むしろそれは余計に怒られるのでは?」
「問題ありません、同じようなものがあと七着あります」
七着も…多いな、荷物を失う前の俺ですら三着くらいを着まわして使ってたのに。
金持ちは毎日綺麗な服を着なければならないということか。
「ではお言葉に甘えて…あの、ところで下着は?パンツがないんですけど」
「それは自分で用意してください、とにかくさっさと服を受け取って着なさい」
後半がもう命令形だった。
これ以上ルビーさんの怒りのボルテージを上げるわけにいかないので、さっと服を受け取ると急いで身に着ける。
あれ…なんだろう、シャツはまあいいとして、ズボンが…
腰まわりとかちょっときついのに裾が余る不思議な現象が起こったよ。
おかしいな、俺とセサル様はほとんど背丈は同じなのに。
この件について考えることはここで終了です。
「着られましたか?」
「はい、………ちょうどいいですよ」
悲しい見栄をはってしまった。
「では部屋の外に出て来て下さい、少々お話があります」
ん、あれ、今日はもうこれでおやすみかと思ってたけど。
出てこいと言われたからには行かないわけにもいかないので、部屋の外へ。
「…足がみじ「話とはなんでしょうか」
俺の足元を見て何やらおかしなことを言いかけたルビーさん。
それ以上言わせねえよ。
「…では、ここでは何ですから台所にでも行きましょう」
ということなので台所へ移動、ついた。
食卓には椅子が四つあるが全部一度に使われたことはない。
先にセサル様とお嬢様が食事をして、その後に俺とルビーさんが使う。
初日に部屋まで持ってきてくれたのはサービスだったもよう。
翌朝からはここで食事をとっている。
「今日の夕食時にダンジョンでの出来事について、お二人から話を聞きました」
今の俺とルビーさんは向かいで座っている。
「お二人とも大変楽しそうにいろいろと語っておられました」
「そうですか、良かったですね」
「いいえ、まったく良くありません」
え?なんで?
「楽しげに冒険して帰って来た…のが良くないと?」
「はい、私としては現実の厳しさを思い知ったお二人が疲れ果てて帰ってくると予想しておりました」
「意味がわからないんですけど…」
「…私がヴォルガーさんをお二人と一緒にダンジョンへ行かせたのはなぜだと思いますか?」
「荷物持ちをさせるためでは?」
「それは表向きの話です」
裏向きの話があったのか、裏向きってなんだ。
「ダンジョン内で冒険者らしき者たちに襲われたそうですね?」
「ええ…」
「貴方は何をやっていたんですか?」
「えっ…いやー…それは…」
え、バレてる?こっそり魔法使ったのバレた?
「真っ先にやられたそうですね!しかも一発で!」
良かった、バレてない。
でもやっぱ良くない、ルビーさんおこだわ。
「これでは何のために雇ったのかわかりません!完全に見込み違いです!」
そこからルビーさんにくどくどとお説教された。
で…何か良く分からんけど、ルビーさんの中で俺は凄腕の格闘家…ということになってたらしい。
セサル様とお嬢様では解決できないなんらかのトラブルが発生したとき、俺が問題を片付けると考えてたようでして…
実際片付けたけどね、まあそれは俺以外誰もあずかり知らぬことではあるけども。
とにかくルビーさん的にあの二人にはダンジョンを体験してもらった上で、駆け出しの冒険者二人でどうにかなるような場所ではないのですよ、今回のことでそれがわかったでしょう、とか言って説得し大人しく家に帰らせる予定だったっぽい。
「それがどうなってるんですか、帰るどころかお二人は明日もダンジョンに行く気です、最下層を攻略するまで絶対に諦めないとまで言いはじめました」
「えー、俺にそう言われても…そういう作戦だったと事前に言ってくれないとわかんないですよ」
「言おうが言わまいが、3級冒険者が同行すれば普通はそうなると思うでしょう!それが…いえ、もう3級というのも疑わしいですね…嘘をついたのですか…?」
「いや3級は嘘ではないですよ!い、今は証明できませんけど」
まずい、これもしかしてクビかな?
どうしよう…せっかく見つけた就職先をわずか一日と少しでクビになりそう。
…実は俺が魔法でこっそり助けたってバラすか?
いや、しかしそうなると俺の魔法のことが広まるリスクが高まる…
ルビーさんなら黙っててくれそうな可能性はあるが…ていうか、今言って信じてもらえるかな。
既に俺のことを家畜のエサになる草を育てる肥料にするウンコ以下みたいな目でこちらを見ている。
背中に変な汗かいてきた。
「ふう…それにしても…こんな失敗は初めてです…この私が読み間違えるなんて…」
「え、えーと…ご期待に沿えず申し訳ありません…?」
頭を抱えるルビーさん、そして沈黙、気まずい。
「俺はやっぱり…クビ…ってことになるんですかね?」
「…いえ、それはありません、お二人はまだ貴方のことをダンジョンに連れて行くつもりです」
「荷物持ちとして?」
「そうです、戦闘はさっぱりなのにどういう訳か荷物持ちとしては恐ろしく優秀らしいですね、ヴォルガーさんは」
これは褒められているのだろうか、皮肉だろうか、ちょっとわからない。
とにかくクビではないようだ。
しかしルビーさんの俺に対する好感度はマイナス一億くらいいってしまった。
明日から俺の食事だけ生ゴミとかにされないだろうか、不安が募る。
「ははは…ま、まあ、あの二人強いから別に俺が弱くてもいいんじゃないですか?それにほら、何か魔剣が力を貸してくれる…らしいですし?」
「その話も今一つ納得いきません…今までそんなこと一度たりとも無かったのに…ダンジョンという環境が何か影響を与えたのかしら…確かにあの剣は由緒あるものですが…そんな都合のいいことが…」
ルビーさんはぶつぶつ独り言を言いながら思考モードになられてしまった。
俺はもう早く部屋帰って寝よう、ボロがでないうちに。
「では明日のこともありますので、お先に失礼致します!お疲れ様です!」
ビシィ、と挨拶してルビーさんの反応を伺うこともせず、その場からすたこら逃げた。
そして部屋に戻りベッドに飛び込んで、寝た、ズボンは脱いだから下半身丸出しで寝た。
………
翌日の朝食は生ゴミではなかったのでホっとした。
しかしルビーさんは「魔石を拾って全部保管しているそうですね…?なぜ黙っていたのですか…?」と猛烈に固いパンを俺の頬にぐりぐり押し付けつつ問いただしてきた。
美人のメイドさんがあーんしてくれてると脳内変換してその場をしのごうかと考えたが、俺の口が勝手に「すぐ全部持ってきます」と答えてしまったので全部提出した。
最後の抵抗で「分け前は…」と口にしたら「これらすべてが昨日の服の代金です」と冷たく返された。
魔石のことは忘れよう。
「いつまで食べてるの召使い!ぐずぐずしてないで出発しますわよ!」
食卓にお嬢様が乱入してきたことでルビーさんのいてつく波動からは解放された。
「お嬢様、もう一度お考え下さい、昨日はたまたま上手くいったかもしれませんが、そのような奇跡が毎日起こるとは…」
「もう、何度言わせるのかしら?わたくしとお兄様の力があれば恐れるものなど何もありませんわ!魔剣も必ず力を貸してくれます!」
「でしたらせめてパーティーの仲間を増やして下さい、お二人とゴ…召使いだけではあまりに危険すぎます」
ゴ…で始まる単語ってなんだろう、俺の名前に一文字も入ってないからきっと聞き間違いかなー。
ていうかルビーさんからも召使い呼びになってるぞお、わあい、泣ける。
「嫌ですわ!だって荷物なら召使いが運べますし、それに昨日のことでこの街の冒険者ギルドにいる冒険者がどういう者なのかよくわかりましたわ!そんな者たちをわざわざお金を払って雇う意味などありませんわ!」
「…それはそうかもしれませんが、中にはまともな者もいるかと…」
「俺みたいな?」
ちょっと口出ししてみたらルビーさんから無言で足を丹念に踏まれた。
すいません、調子乗りました、やめてください。
「で、ではこうしましょうお嬢様、私がおとも致します」
「ルビーが?そうすると家は誰が留守を預かるのです?」
「それは…この召使いが…」
「…召使いのことは一応信用していますけど、男性ですし…わたくしのお部屋の掃除は任せたくありませんわ、家はやっぱりルビーがいないと不安なのですわ」
うむ、正論だな、俺も勝手に女の子の部屋に入る訳にはいかないからな。
「そうですね…この男がお嬢様の下着を盗む可能性も無いとは言えません…」
俺の評価そこまで落ちてるの?
「なぜ召使いがわたくしの下着を盗む必要がありますの?」
お嬢様は純粋だった、下着は履くものだと信じているんだな。
ああ全くその通りだ、かぶったり口に含んだりするのは間違った使い方だからな。
勿論俺はそんなことはしない、紳士だからだ。
例え今ノーパンでも心は紳士だから。
ルビーさんもこの問には答えにくいようだった。
「まあまあお嬢様、セサル様を待たせるのもなんですから、そろそろ行きましょう」
「そうですわ!お兄様は外で待ちくたびれているに違いありませんわ!」
フッ、さりげなくルビーさんを助ける俺。
これで少しは好感度あがっ…てないですね、お嬢様が走って行ったあと小声で「お二人に何かあれば貴方を殺します」と言われたからね。
おお…もう…なぜこんなことに…
この状況、どうすれば改善するのか悩みつつ、再び大荷物を背負ってダンジョンへ赴く俺。
今日も元気に前を歩く二人がダンジョン飽きてくれるのが一番いいのだが…
具体的ないい方法は何ら思いつかないままダンジョンへたどり着き、階段を降りて中へ。
今日の二人の方針くらいは聞いておくか。
「今日はどうするおつもりで?昨日のように気ままに探索ですか?」
「いや、今日は地下2階を目指そうと思っているよ、ここの広間に階段があるみたいだからね」
セサル様が地図をのぞき込みながら教えてくれた。
ちなみに地図はもう俺が持っている、どうせ案内するの俺だし。
セサル様も「召使い君はなかなか見どころがある、これなら僕が地図を見るまでもないね」と俺に丸投げしてくれた。
たぶんそうしないと迷うと思われる。
「今日も頼りにしてますわよ、エキセントリック」
お嬢様、特に何もないところで急に剣を抜かないで下さい、びっくりします。
そして剣に話しかけてると周りからは危ない人に見えます。
ごきげんなお嬢様は昨日と同じく、力技でスケルトンを粉砕して進む。
俺は後でルビーさんに没収されるとわかっていても、条件反射で魔石が落ちてないか探し拾ってしまう。
セサル様は俺とお嬢様の間にいるが、昨日ほど戦闘には参加していない。
お嬢様一人で片付けられる雑魚だと判断したら、前方より後ろに注意を払っている様子だ。
別に俺のことを気にしてるわけではない、昨日みたいにたちの悪い冒険者に後をつけられてないか心配なのだろう。
少し成長していると言ってもいいかもしれない。
そんな感じでダンジョンを進んでいくと、大き目の部屋が先に見えてきた。
恐らく地下2階へと続く階段がある部屋だ。
今日はあちこちふらふらせずに一直線にそこを目指しているので早く着いた。
「あっ、見てくださいお兄様!強そうなスケルトンがいますわ!」
「おや、本当だね、あれはきっとスケルトンウォーリアーというやつだろう」
広間の中には確かに今までと違うスケルトンがいた、数は一体。
腕が四本あって剣と盾を二つずつ持っている。
頭にも兜らしきものをかぶっている…骨だけになって今更頭守って意味あんのか?
まあ守ってるからには弱点なのかもしれないな…逆にわかりやすくなってる感あるな。
スケルトンウォーリアーはこちらに気づいてゆっくりと向かって来ている。
お嬢様が大声で叫ぶからだ、あれ言わなきゃまだ気づかれてなかったのに。
まあ骨だから音が聞こえてるかどうかわかんないもんな。
でもたぶんお嬢様ならあれがオークとかであっても叫んだだろうなぁ。
「腕の数を増やしたところで!わたくしとお兄様の敵ではありませんわ!」
「その通りだ妹よ!二人で軽く捻ってやろう!」
勇ましいっすね、あ、俺は後ろで見学ね。
一応<プロテクション>だけはこっそり二人にかけておくか。
何かあったらルビーさんに殺されるからな。
セサル様とお嬢様がスケルトンウォーリアーに近づき、息ピッタリな感じで同時に突きを繰り出した。
キンッ、キンッ。
普通に盾で防がれた、金属製の盾だからそれじゃ無理だろうなあ。
「そんなっ!?」
「僕たちの兄妹剣が防がれるとは!」
二人いるんだからもっとバラけたらいいのに…
なぜ礼儀正しく二人でまっすぐ行ってまっすぐ突くのか。
昨日の経験値どこいった?
スケルトンウォーリアーはお返しとばかりに二人を挟むよう両手の剣を振るった。
「くっ!このっ!ですわっ!」
「こいつ…できる!ただのスケルトンではないな!」
知ってた、それ知ってたよねお兄様。
二人は背中合わせになって両側から来る剣を自分たちの剣で受け止めていた。
と、なると正面ががら空きである、あーまずいー。
スケルトンウォーリアーは盾を持った手で二人を殴りつけた。
「きゃあ!」
「うわあっ!」
吹き飛ばされる二人。
「…くうう…あっ、でもそんなに痛くありませんでしたわ」
「僕もだな、あいつ…思ったより力は無いのかもしれないな」
力あるよ!剣止めるの精一杯だったでしょ!今吹き飛ばされたでしょ!
もー困ったなー、早く魔剣にたよらねーかなー
…もう別に勝手に魔法かけてもいいかなぁ…
「お二人とも、左右から攻撃してみてはどうでしょうか」
とりあえず口出ししてみる、これで倒せるならそれにこしたことはない。
「それくらいっ、召使いに言われなくても、今しようと思っていたところですわ!!」
はい、わかりました、余計なこと言いません。
そして左右に分かれて攻撃を開始する二人。
さっきよりはいい形になったが…?
あのスケルトンウォーリアーは地下一階のボスかなんかなのかな。
二人を相手にしてもそれほど苦戦しているようには見えない。
器用に剣と盾を使って両側からの攻撃をいなしている。
このままだとまずいか…?
「妹よ!こうなったら魔法を使う!」
「わかりましたわお兄様!」
お、やり方を変えるみたいだ。
でも敵の前で堂々と宣言するのはどうだろう。
セサル様は魔法を使うためスケルトンウォーリアーから距離を取った。
お嬢様の負担がその分増えるが…
「風よ!我が呼び掛けに応じ力と…なにっ!」
残されたお嬢様の相手をするかと思われたスケルトンウォーリアーだが、なんとお嬢様を無視してセサル様のほうへジャンプ。
「お兄様ーーー!」
スケルトンウォーリアーの手から振り下ろされた剣を、セサル様はかろうじて自らの魔剣で受け止めた。
しかし、二つの腕から振り下ろされた勢いを止めきることができず、セサル様の魔剣はその手から弾き飛ばされる。
お嬢様が慌ててスケルトンウォーリアーに突っ込む。
このままだと次の攻撃がセサル様に繰り出されるのを止めるのが間に合わない。
えーいちくしょう!
「<ウェイク・スピード>」
お嬢様が地を蹴って急加速した。
「えっ、えっ、はやっ…たあああああ!」
一瞬そのスピードに慌てたものの、目の前にスケルトンウォーリアーがいることに気づくと、高速で突きを繰り出した。
ズガガガガガガガガガガガガガガガッ。
ピシッ。
ガッシャーン。
スケルトンウォーリアーはバラバラになって床に崩れ落ちた。
「い、妹よ…今の攻撃の速さ…これまでにないものだったな…」
「お兄様を早く助けなきゃと思って無我夢中だったのですが…確かに信じられないほどの突きが放てましたわ」
「いやあああああお二人ともすごいですね!今のが魔剣の力なんですね!」
俺はこの状況を勢いで乗り切ることにした。
「お嬢様のセサル様を助けたいという気持ちに応え、あのような速さを与えてくれたとは…さすが魔剣と言われるだけはありますね」
「なるほど…確かにあの時、もっと速くお兄様の元へと願いましたわ!」
「…父上より授かりしこの魔剣、まさかそこまでの力があるとは…」
「わたくしたちは知らず知らずのうちに、ずっとお父様に守られていたのですね」
飛ばされた剣を拾い、大切そうに鞘に納め爽やかな笑みをたたえるセサル様。
その隣に寄り添い同じく笑顔のお嬢様。
魔剣は父親からのプレゼントだったんだなぁ。
「妹よ、これは実家に帰ってきちんと父上に礼を申し上げねばならないな」
「そうですわねお兄様、その通りですわ」
おっ!これは!もしかして、実家に帰る気になった流れか!
や、やった!これでもうルビーさんに殺される心配をせずに済む!
今後の生活をどうしようかという問題が残るがそれのほうがたぶん今よりマシ!
「ですが!お兄様!このままでは帰れませんわ!」
おやあ。
「わかっているさ妹よ、父上の想いには相応の礼をしなくてはならない」
「…それはつまりお二人が実家に帰りご無事な姿を御父上にお見せするということが何よりの」
「何を言ってますの!」
お嬢様が腰に左手を当て、右手でふわっと縦ロールの髪をかき上げた。
お嬢様っぽい動きだなぁ。
「このダンジョンで魔剣に劣らない宝を見つけ、お父様に献上するのですわ!それこそが魔剣を頂いたお礼に相応しいのですわ!」
「ふふっ、この兄も全く同じことを考えていたよ」
えー!もう帰ろうよ!宝なんかねえよ!
あっ、その剣に劣らないのであればこのスケルトンウォーリアーが持ってた剣でも…うわああ剣っていうか何もかも地面に沈んで無くなってるううう!
あっ、でかい魔石だけ残ってる、これは拾っとこう。
「さあ行きますわよ召使い!わたくしたちの冒険はまだ始まったばかりですわ!」
そしてセサル様とお嬢様は新たな冒険を求めまた一歩踏み出したのであった。
完…ではなく、続く。
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