第54話魔改造




我が家の作業部屋で、一生懸命に作業をしていた。


作業場で無線機を解体して、魔改造を施して性能アップを計る。

そしてソーラーパネルも雷魔法の【付与】を使って、太陽光を電力に変換する率を向上させる。

前に作った魔改造のバッテリーに繋げれば、1日中使っても消費仕切れない程に充電できるだろう。

次に八木アンテナを組み立てられるように、部位別に6セットを作る。

それら魔改造した無線機・パネル・バッテリー・アンテナの4つで1セットが6つ完了。

この4つでの通信システムをダークレイ公爵は、いくらで買取ってくれるだろう。

トランシーバーで電波の使用が確認できたが、今後、現地の国と協力し合って魔王に挑むには通信手段が必要。

なのでアマチュア無線などに慣れて貰わないと、いざ行動を起こすのに時間を浪費させる訳にいかない。


ここでは、軍によるトカゲを使用しての手紙の配達か、鳩に似た空飛ぶトカゲでの配達でしか伝達方法はない。

もっと時間が掛かるが、商業ギルドの荷馬車での配達だでけである。

距離が長くなれば、もっと時間が掛かってしまう。



次はダークレイ公爵のお土産のレコードプレイヤーとステレオスピーカーに取り掛かる。

レコードプレイヤーは、磨耗した部品を【創作】を使って元に戻し目立った汚れも拭き取る。

魔法のコーティングを施しツヤをだして新品状態にする。

ステレオスピーカーは、外装にキレツが入っていたが【創作】でくっ付けキレツ跡をなくす。

あとは【強化】と魔法のコーティングで、新品のようにして見栄えよくする。

遠くから見ても立派に見えて、近くでも立派であった。

公爵の屋敷で、コードで無線のバッテリーに繋げば何時でも聞けるだろう。


レコードは中古なので、2枚が音飛びする部分があった。

これも【創作】で元の状態に戻す。

手元にあるレコードは、クラシック23枚とジャズが8枚でお土産には良いだろう。



そして魔改造していて、1つのひらめきが思いついた。

ゲートや結界を使って、移動していたがこれは余り人に知られたくない魔法。

なので見られてもOKな物を作ろうと思いたった。

手元には自転車がある。モーターとバッテリーを積めば何とか成るだろう。


後輪とモーターを合体させたような物を魔改造をしてみる。

モーター部は、厚さ10センチ程で直径は30センチ程。

銅線を規則正しく巻くのが大変だった。


銅は幾らでも有ったので、何度も失敗しては作り直した。

磁石も超が付く程の性能がある物が出来上がっている。

出来上がった車輪モーターだが回転するのだろうか?

雷魔法で電気を流すと、凄い勢いで回っている。


この回転に指でも入れたなら、即、切断されるだろうと想像してしまう。

この回転を調整する回路が必要だと考え、【創作】で試作して右レバーに繋げる。

右のブレーキを右足で踏むタイプに作り変え、前輪もブレーキ自体もディスクブレーキに変更。

タイヤも空気タイヤだと心配なのでノーパンクタイヤに変更。

同じように後輪もモーターの反対側にディスクブレーキを追加する。


このディスクブレーキも10回程も試作して10センチの厚さにおさめた。

魔改造バッテリーを取り付け、配線を繋いだ。

バネも取り付け、強い衝撃にも耐えそうな自転車に魔改造。


試し運転で低速運転を試みる。

おお中々な物が出来上がった。少しスピードアップする。

40キロは出ている。カーブもなんとか曲がれた。

ブレーキを掛けると、かかりが強そうでもう少し遊びが必要。

ツマミを回して調整する。再度、試運転すると順調に走り回れる。

色々考える所はあるが一応完成。

全体を【強化】で頑丈にする。

結局作り上げたのは自転車ではなく、太くなったフレームで頑丈になった、電動バイクに近かった。




フロルを伴ないゲートで異世界へ行く。

隊長が居る屋敷にいき門番に伝言を頼んで王都をあとにした。

向かう先はダークレイ城塞都市。


自転車は順調だが、道の凸凹にはうんざりしてしまう。

いくらバネがあっても40キロで走ると、跳ねてしまい一度は尻を強打してしまった。

だから荷馬車の速度が遅いと思った。

この悪路が原因であった。


既に暗くなった道を、ライトを付けて慎重に走る。


なので道の形状に注意しながら、予測と判断を素早くこなし跳ねそうな所は事前にスピードを落とす。

これも戦いに通ずる物があって、良い訓練に成りそうだ。


そして長い日数を掛けて行った道を1日で達成。

正門の列で、焚き火にあたり人と話して朝日が昇るのを待っていた。



空が明るくなり、正門がギギギィーと開いた。

俺の銀のメダル効果ですんなりと入場。


自転車にまたがり、10キロの低速で走り人の視線が強い中、走り続けた。

屋敷の門番も、俺の顔を知っていたが手紙を預かっていると伝えた。

しばらくして案内人がやってきて案内されるが、途中で付けた荷物一杯のアルミ大型四輪キャリーを引張る。

案内人が遅く、低速回転で自転車を押しながらノロノロと動かしていた。

やっと着くと、警護人にダークレイ公爵に売りたい物があると言い、うしろの荷物を運ぶのを手伝って貰う。

軽いバックを案内人に渡し、重いバックは俺が両手で持って運ぶ。

護衛の2人に睨まれながら、しばらく部屋で待っていた。

公爵が入ってくるなり言い放った。


「ご苦労、君のお陰で娘はまたも助かった」


「とんでも有りません。これが預かった手紙です」


「うん、確かに受取った」


「それとは別に売りたい物があります」


「何が売りたいのだ」


「以前渡した、トランシーバーの本格的通信機器です」


「その袋に入っているのか」


俺は無線機をだし、ソーラーパネルとバッテリーと八木アンテナも出した。


「このソーラーパネルで太陽のマナを取り込み電気に変え、このバッテリーに溜めます」


「成る程な、それで」


「その電気を使って無線機を使います」


「この紙に書いたのが、私の国の数字です。この数字を合わせた同士が通話できる仕組みになってます。どんなに離れていても通話可能です」


「どんなに離れていても話せる・・・分かった買おう。ただし使ってみて利用価値を知りたい。そのあとで払う」


「それで良いです。その前にお土産を持って参りました。受取って下さい」


そう言って、レコードプレイヤーとステレオスピーカーをセットしてバッテリーに繋げた。

レコードを載せて、電源をオンにして回りだしたレコードに針を置く。


周りにクラッシクの音が響きわたり、公爵も驚きで動けなくなっていた。


「なんと不思議な音色だ、これは君の国の音色だな」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る