第55話 まるで友達のように3

次の日は日曜日だった。


蛍ちゃんの言う通り、朝の十時に中央駅前の広場。待ち合わせ場所としてもけっこう使われる噴水の前に来ていた。

私たち二人はここでリリアちゃんと待ち合わせをしている、らしい。



「リリア、ほんとに来るってさ」

蛍ちゃんは携帯を見ながらそう言った。

連絡先知ってたんだって、私は軽い衝撃を受けた。

まあ、別に仲良くなくても同じアイドルグループだったら連絡先くらい知っているかもしれないけど。

なんかあんまり考えたことなかったなって。だからってリリアちゃんに迷惑だし教えてもらおうとかは思わないけれど。



そんなに待たずにリリアちゃんの姿が見えた。

あんまり実感がわかなくて軽い気持ちで家を出てしまった。

今になってどうしたらいいんだろうと思う。



「飛鳥ちゃん、昨日ぶりね。最近よく会うわね」

「あ、うん! そうだね!」

勢いよくリリアちゃんに挨拶をしたものの、やっぱり状況がよく分からなくてソワソワしてしまう。



「おはよう」

リリアちゃんが私の隣にいる蛍ちゃんに話しかけていた。

蛍ちゃんも

「……うん、おはよ」

って答えている。

他人事のように私はその光景を見ていた。


「ほんとに連れてきたんだ?なんかの冗談かと思ってたわ」

リリアちゃんが蛍ちゃんにそう言った。


「だから言ったじゃん!」

「へー。まだ信じられないけど」


リリアちゃんは私と蛍ちゃんが姉妹になったっていう話に驚いていたみたい。


それでリリアちゃんの提案で

本当にそうなら三人で待ち合わせしない?ってことになったらしい。


どうしてそれで三人で会うことになるのか。

そのあたりの流れがよく分からないけど、

リリアちゃんと蛍ちゃんが話しているのを見ながら私はいまだに固まっていた。




「あれ? 本当にみんな来てるの?」


「えっ!? ええ!?」

そうしていると横から声がして、私はそっちを見るなり思わず叫んでしまった。



「ユカ、来てくれてありがとう」

リリアちゃんもそう言っていたから間違いない。

そこにいたのは、シューティングスター、オレンジ色担当の最年長メンバーのユカさんだった。


「あ、見たことあるファンだ。親の再婚でなんとかって話、ほんとにそんなことあるんだね。まじウケる!」

ユカさんとは話すのは今が初めてなんだけど、そんなの気にする様子もなくあははって笑っていた。

ウケるかはともかく。

私が困っていると、変わりに蛍ちゃんが話してくれた。


「なんでユカさんいるの?」


「私が呼んだのよ。こんなよく分からない待ち合わせ、一人で来るわけないじゃない」

リリアちゃんがそう言った。

ユカさんはリリアちゃんがグループで一番仲が良いらしい。ブログとかライブ中のトークとかでそんな感じのことを聞いたことがある。


ちなみにユカさんは明るい色のロングの巻き髪が似合う、ちょっと派手な人。あとは大学生ってことくらいしか私は知らない。


そういうわけで、私、蛍ちゃん、リリアちゃん、そしてシューティングスターのオレンジ色担当ユカさん。

ある秋の天気の良い日。そんな四人で駅前の広場に集まった。

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