翌日。

朝の新聞には「ーー犯人逮捕、ホームレスか？」と銘打たれ、その記事が載っていた。

犯人の名前も顔写真も載っていない。だが、拓海には自首したホームレスが誰なのか？わかった。

俺がその話をしたのは、あの人しかいない。

ーーあの人がなぜ？

ーー俺の身代わりになろうとしているのか？

ーーそれとも別の意図が？？

これまでの人生でいろいろな裏切りを受けてきたせいで、俺は人間不振と呼べるような状態になっている。

ーーもう騙されない。

ーーもうこれ以上、傷つかない。

俺は自分の心を守る事だけに集中した。

これ以上裏切られたら、心が砕けてしまいそうだった。

すべてを忘れられれば、また傷ついても構わない。しかし、裏切りなど傷ついた事は絶対に忘れない。

ただ、心意を知りたかった。

あの人の心意をーー。

覚悟を決め、俺は留置場に行く事にした。本来、追われなきゃいけない立場の俺が、警察にいくなんて、とんだお笑い草だが。

翌日、早速行ってみる事にした。

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