第127話仙桜種

「いきなりそんなこと言われましても……というよりもなぜそんな事を?」


 鍛治神の口から出た衝撃の言葉に対し、エルピスは冷静に間違えないよう慎重に返答する。

 こう言う時は何か一つでも間違えるとロクな目に合わないことは経験で分かっている、相手が相手なだけあり失敗するわけにはいかないのだ。


 赤髪をかき揚げニッコリと笑みを浮かべた鍛治神は、頬杖をつく手を入れ替え口を開いた。


「元から君がここまできたら言うつもりだったんだよ。

 私の娘は誰に似たのか今の今まで自由奔放に生きていてねぇ、未だに恋の一つもしていないんだ。

 そこでちょうど良さそうなのが来たんでね」

「ちょうど良さそうなのってなんだか腑に落ちませんが、お断りさせていただきます」


 どんな理由なのかと思ってみれば、随分とまぁ自分勝手な事である。

 確かに最初出会った時から鍛治神のフリをしたり周りを振り回したりと、自由奔放なのは言われずとも見て既に思っていた。


 婚約相手や恋愛対象を親が選ぶのはそれほど珍しい事ではないので、それに関しては何も思うところはないが、巻き込まれるのは勘弁してほしい。


 アルヘオ家に来たお見合いの誘いくらいならば外面もあるので受けるが、知り合ったばかりの子供と付き合うだなどと冗談もいいところだ。


「なんでだい? 私が言うのもなんだけれど可愛いよウチの子は、そりゃもう凄くね」

「確かにそれには同意しますが、僕は既に四人も彼女のいる身、新しくそこに加えるだなんてとんでもないですよ」


 鍛治神である母親の血を濃く引き継いでいる彼女の美貌は、たしかに別種族であるエルピスですら魅力を感じるほどの美貌ではある。

 とはいええそもそも増やす増やさないとかではなく、エルピスが優柔不断な結果ああなっているので、彼女達になんの断りもなく新しく増やしますなどとは絶対にするつもりはない。


 優柔不断な結果が産んだモノではあるが、せめてそれくらいは守り通すのが筋だ。


「でも幽霊の話だと五人になるって言っていたじゃないか。それがここなんじゃないかい?」

「人が自分と話してる時の内容聞かないでいただけませんかねぇ!?」

「人の家で勝手に喋っておいてそれはないだろう? 

 絶対誰にも見られない場所を貸してあげたんだから少しは対価があってもいいだろう」


 そう言われてはぐうの音もでず、エルピスは鍛治神から目線を逸らす。

 確かに先程改めて決意を固くした所ではあるが、創生神から新たに五人目が来ると言われている以上少々エルピスも浮ついた気持ちがあるのは否定しない。


 それに呼ばれてほぼ無理やりここに来させられたとはいえ、前世の自分の幽霊が場所を借りて大事な話をしてくれたのだ、対価としてそれを要求するのもまぁ分からなくはなかった。


「……まぁ確かにそれはそうですが。ですが丁重にお断りさせていただきます」

「火傷が気になるのかい? あれは土精霊の入れ墨の様な物だから消そうと思えば消せるけれど」

「随分とまたカッコいい刺青を掘ったもんですね。

 ですけどそれとは違いますよ、なんで言えば良いんですかね、こう感じる物がなかったので」


 エルピスか恋愛において、最も重要視するのは初対面の印象だ。

 もちろんそれだけで決定するわけではないが、次に会えるかどうか分からないこの世界では早期の決断が望まれる。

 エラもアウローラもセラもニルも、初めて見た時からエルピスは彼女達に心を強く揺さぶられて居た。


「幼女はきらいなのかい?」

「そういうわけではないですけど、好きとは言えませんね!」


 小さい子供を愛でる対象としては見る事もできようが、恋愛対象として見始めたらいよいよ周りからの目がきつい。

 記憶を共有したのだからそれくらいは分かって欲しいものである。


「異世界の法律はここでは関係ないんだよ? それに君神だってこと忘れてないかい?」

「貴方も神ならもう少し謙虚になれませんかねぇ!? 

 感じる物がなかったっていうのはなんかこう……一目見た時の感じですよ」

「君それで恋人選んで四人もいてよかったね。

 下手したら一生誰とも付き合あってなかったかもよ?」

「痛いところつかないでください!」

「まぁ私も旦那とはそんな感じで付き合ったから、あまり文句は言えないんだけれどね」


 いつの間にか思い出したように惚け話をされるが、なにぶん相手が死んでいるだけあってそれにエルピスは口を出せない。

 愛する人が目の前で死んだ彼女の気持ちは記憶の共有でなんとなく理解はできるが、あまりにもな悲しさと憎しみの感情に今のエルピスでは触れることすらままならない。


 丁度タイミングも良いだろうとエルピスは小さく咳払いをすると、傍に置いて居た物を取り出す。


「──そう言えばなんですがこの生首のこと知ってます?」

「ああ、それようやく話題に出すんだね。

 ずっとなにしてるのかと思ってたよ、答えだけど知らないよ。

 この迷宮すべてが私の管轄ってわけじゃ無くて、歴代の鍛治神達の遺物もあるからね。

 秘密兵器としてソレが居るのは知っていたからだね」


 先ほど倒したあの不死身の彼の生首を机に置くと、鍛治神からすぐに答えは帰ってきた。

 確かにこの迷宮は歴代の鍛治神達の手によって作られたのは既に聞き及んでいたが、まさか知ってすらいない領域があったとは驚きだ。


 最後に戦った相手なのだから自分の秘蔵の品を持ち出したと思ったのだが、そうで無いというのなら一体この生首はなんなのだろうか。


「私も触れられてホッと胸を撫で下ろしている。

 この様な姿で失礼する当代の鍛治神よ、私は始祖型二号機エイル・ライン・アーベスト・セカンドだ。よろしく頼む」

「始祖型……アーベスト……何かと思えば仙桜種じゃないか! 動いている仙桜種は初めて見たよ」


 聞き出そうとすりよりも早く首の方から自己紹介が入り、鍛治神が手を叩きながらそういえばそんなのも居たなと納得する。


 共有された鍛治神の記憶の中からなんとかして思い出そうと記憶を探ってみるが、なにぶん生きてきた年月がこちらとは段違いなので記憶を探るのにも時間がかかる。


 数十秒してようやくエルピスの脳裏にもうっすらとではあるがその内容が映り始め、思考の中から溢すように声を出す。


「確かにうっすらとですが仙桜種についての記憶ありますね」

「細かな説明は私からしよう。我等仙桜種とは創生神の手によって直接作られたこの世界でも稀有な種族だ。

 不老不死としてこの世に生まれ落ち、生殖能力こそ数千年に一度程度ではあるが、いまでは200人近い種族となっている。

 個々が高い技術力を持ち、神を抜けば純粋な種族としては最上位クラスだな」


 またもや現れたのは創生神という名。

 その当の本人である創生神に先ほど出会ったばかりなので驚きは少ないが、それにしてもいきなり随分とまたその名を聞き始めるようになった物だ。


 三つの神の称号を解放するエルピス相手にあれほど渡り合えた時点で、最上位種に近いのは判明していた様なものだ。

 創生神が手作りで一から作ったとなれば強いのも当然といえる。


「他にも原初の魔物とか災害系の魔物。あと神獣系統も最上位クラスだね」

「なんとか思い出せますね。他人の記憶だと自分のより思い出すのに時間かかります」

「まぁそれは気にしたら負けだよ。多少のロスは仕方がないところがあるからね」

「それでそんな仙桜種が一体どうしてここに?」


 創生神が用意した、そうも考えたがそれならば創生神の方から何か言ってくるかもしくはエイルから何か言ってきそうなものである。

 だというのに両者ともにお互いの名を口にせず、また口にする素振りも無いので創生神が託したなんらかの別の理由、もしくはそもそも創生神が関わってない可能性の両方がある。


 鍛治神がこの迷宮を作ったということなので後者の方が確率は高いが、前者の場合は早く聞いておくに越したことはない。


「四代前の鍛治神にこの迷宮の一部になってくれないかと頼まれてな。

 ゴールドスリープとやらで体感時間を削ってくれる上に強い奴らと戦えると聞いて協力していたんだ、今日は四度目の戦闘だな」

「他の人達はどうなったんですか?」

「ん? 皆死んだ。私が負けたのは同種を除けば初だ、誇っていいぞ」


 当然のように殺したと宣言するエイルだが、そこに驚きはない。

 この迷宮に挑んだ以上、歴代の鍛治神達にお願いされた非常に優秀な戦士達だったのだろうが、目の前の生首を倒すのに足りるかと言われると不安なところではある。


 人だろうと亜人だろうと、こういった類の種と戦うときは等しく無力だ。

 身体能力と技能において若干の優勢があったおかげで勝利することができたが、技術面においてはアルキゴスに指導してもらったにも関わらずかなりの開きが感じられた。


 もしアルに剣について教えを乞うて居なかったら、一太刀も浴びせられなかったところだ。


「ありがとうございます?」

「仙桜種に勝つには力もいるけれど技術力も必要になるからね。

 用心棒として君を買ったのは彼に勝ったところも大きい」

「まるで先程思い出したばかりの人間の発言とは思えない……」


 自慢げに鼻を鳴らす鍛治神を前に、エルピスは深くため息を吐く。

 確かに戦闘自体はここから見て居たようなので腕っ節は把握できただろうが、今までの話の流れからして仙桜種を倒したのは関係ないだろうに。


「ああそうだ、近々私達の村に来るといい。

 仙桜種を倒した人間は村に呼んで皆で挑むのが生業なのだ。

 もちろんその時は死なない様にするし、勝てば勝つほど色々なものが貰えるぞ」

「僕神ですけど参加していいんですか?」

「仙桜種相手に神はぶっちゃけると関係ないんだよ。彼ら弱い神は狩れるからね」

「はっはっは! そんなに褒めるな当代の鍛治神よ」


 鍛治神が指す所の神とは戦闘に特化した神ということだろう。

 一体一だからエルピスも余裕を持って戦えたが、こんなのが二百人も一斉に襲いかかってきたらさすがに無事に倒し切るというのは無理だ。

 生産職の神だったら1対1でも万に一つも勝ち目は無いだろう事は予想に難くない。


「確かにあれだけの戦闘能力があれば、権能に慣れていない神程度あっさりとやれそうですね」

「そういう事で近々内の村には来てもらうぞ!」

「まぁ気が向けばですが、そのうち向かいますよ。

 ところでですが先程の話にあった通り人に力を貸す神について何か知りませんか?」


 村に呼ばれるのは勘弁してほしいが、こちらの要求をさりげなく通すくらいは勝利したのだからいいだろう。

 そう思いエルピスが何気なく聴くと、エイルは首を器用に動かしこちらを向く。


 正直いってグロテスクこの上ない見た目だが、ここまで運んできた時の彼曰く魔力回復しなければ新しい肉体ができないらしいので仕方がない。


「ん? ああ、見当は付いているぞ」

「な、本当ですか!?」

「良かったじゃないか、私が紹介するまでもなく当たりを引けて」

「いや、本当にそいつかどうかは確証がないから話半分程度で聞いて欲しいのだが、まぁいい。そんな顔をされてはな。

 とりあえず頭をもう少し高いところに置いてくれその方が話しやすい」


 部屋の隅で空気を読んで控えて居た龍を呼び出し、その背中に頭を乗せる。

 なんともシュールな絵面ではあるものの、彼が望んだ通りにしたのだから文句は言わないでほしい。


「どうぞ」

「ありがとう。それではまず創生神について話そうか。

 先程何度か話して居た時の口ぶりと創生神との会話を聞く限り、どうやら創生神の生まれ変わりらしいが間違いないか?」

「ええ、それは事実です」

「創生神が言っていることは確かに全ての様に見えたが、理由はそれだけではない。

先程言った通り私は創生神に作られた身、いくつかあの方について知っていることもある。

どうやら私がこの迷宮にいた事をあの方は気がつかなかった様だがな。

あの方が話していた理由の九割はあの通りだろうが、残りの一割は破壊神の活動が原因だ」


 また物騒な名前が出てきたものだ。

 破壊神、創生神とは真逆の破壊を司る神の総称。

 創生神がセラを救うために打ち倒し、この世から消し去ったはずの存在。

 そんなものが一体なんだというのだろうか。


「創生神が破壊神をかつて打ち倒したという話を聞いたことはあるか?」

「ええ、何度か聞きました」

「その打ち倒した破壊神だが、消滅したわけではないのだよ。

破壊という事情がこの世に存在する以上、破壊神というのは一定周期で生まれてくる。

どこかの世界の誰かになって、もしくは封印された状態で世界に生まれ落ちてくるのだが、それに対抗する手段でもあったのだよお主は」


 合点がいった。

 わざわざ二つの世界を跨ぐような──こういう言い方をしてしまうとあれだが随分と遠回りで面倒な方法で──エルピスはこの世界に来た事に今まで疑問を抱いて居た。

 最初からこの世界に転移させればよかったものをわざわざ前の世界を経由し、さらに言えばその世界での産まれたてのとき、残留思念となった創生神が関わってすらいたのだ。


 この世界でもし生まれたのならばイロアスとクリム、両者から愛情をたっぷりと貰いながらすくすくと育ったエルピスをわざわざそんな場所に送った理由、それは見る世界を増やすためだったのだろう。


 破壊神がおそらく発生するであろう地域に目星をつけ、その二つの世界のどちらかに居るところまでは絞ったのだがどちらに居るかは分からなかったという事だろうか。

だとすればクラスメイトを巻き込んだのはもしかすれば自分のせいなのかもしれない。


「破壊神は厄介な神だ。この世界は様々な神がいるが、創生神と破壊神、この二柱だけはこの世界に居ない。

それは強大な力を制御できないのが一つ、その器に足りてる存在がいないのが一つなのだが、転生に限ってはそのルールを打ち破る。

そもそも転生という概念自体がこの世界の常識を覆しかねんほどのルール外だからな、そしてそのどちらかが生まれるとどちらかもこの世界に産まれる」


 転生者としてエルピスがこの世界にやってきたのは17年以上前、あのとき創生神ではなくとも創生神の器たりえてしまうエルピスがこの世界に生まれてきた。

 エルピス本人は創生神の残留思念をエルピスが転生の際にひっかけてしまった事が原因だと思っているが、それは大きな間違いだといえるだろう。


「ということはもう既に何処かに破壊神が?」

「居るだろうな。とは言ってもあやつが居るならもっと大々的な争いになっているはずだ、だというのにそれが起きていないということは今回封印されているのだろう」

「どこで封印されているか目星をつけたいところではあるけれど、残念ながら私の知る限りそんなところはないね」

「私も知らん。おそらくは次元の狭間やそれに類する様な場所に隠されているはずだ」

「話は分かったが、それと雄二の神様の話とどんな関係が?」


 大まかな全体図と今後の敵の姿は浮かんできたが、エルピスがした質問は雄二の裏についている神の話だ。

 権能の種類からして、直接的に破壊神が雄二の裏にいるとは思えないのだが。


「その人間が人を殺そうとしていたのならば、おそらくは破壊神を復活させようとする神の手の元で動いているのだろう。

破壊神が産まれるにはこの世界が混沌としている必要がある、現状この世界は至って平和だからな。

どこかで火種を起こそうと躍起になっているのだろう」

「その火種を起こそうとしている神に心当たりが?」

「順当に行けば戦神の中でも気象の荒い鬼神や死を司る死神だろうな。生産系の神が関わっていないとも限らんが」


 なるほど心当たりがあるといったわけだ、確かに海神やそれに類する話が本当ならば戦神の中でも死神や鬼神は怪しいところである。

 死神が住むのは悪魔達が住む領域、鬼神は森霊種の国の遠洋に存在する島に住んでいたはずだ。


「誰なのか断定するにはまだまだ足りないけれど、これで随分とやりやすくなったね。それにまさかそんな大事が裏で動いていたとは」

「そもそも我ら仙桜種含めいくつかの創生神によって作られた種族は、いずれ生まれてくるであろう破壊神に対抗する為生み出された種族だ。

 やつを倒す為であればどの様な協力もしよう」

「それは素直に嬉しいね、貴方達のような戦力が手に入れば百人力だ」

「そうは言っても破壊神に関することだけだ。

神同士のいざこざやそれら以外のことであろうと、破壊神が介入しない限り我ら仙桜種は基本的に口を挟まん。

観測者としての立ち位置が我らの本分だからな、私は少々その道から外れてはいるが」

「それでも嬉しいよ、敵が増えた分味方も増えたわけだからね」


 破壊神などという大層な名前の神を敵に回すのだ、それくらいの援護はあってもいい。

 しかしそうなってくると質も大事だが、数ももっと増やさなければいけないだろう。


 人類だけではなく亜人やさらにその上位種まで、この世界にいる全ての種族の存続をかけた戦いが起こってもおかしくないのだから。


「まぁそういう事で近々聖戦が起きるだろう。どちらが勝つかは分からないが、それまでに腕を磨いておくのだな」

「──という感じで話は終わったわけだけれど、最後にもう一つあるんだよね」

「まだあるんですか、僕もうお腹いっぱいなんですけど」


 戦闘に際して準備できる時間がかなりあるという点では気が楽だが、考えなければいけないことは山のようにある。

 丁度今は手すきだったので良い議題が現れてくれたものだが、それにしてもこれ以上鍛治神と会話を続けたらまた何を頼まれるか分かったものではない。


 だが無闇に断ることもできないので精一杯嫌な顔をしながら理由をとう。


「いやいや、この話にあながち近からず遠からずってところさ」

「分かりましたよ、それでなんですか?」

「人間が作った教育機関。亜人種達も通う知恵の集まる場所である学園、そこで私の娘と一緒に入学してきてほしい」

「──本気で言ってます?」

「まじもマジ、おおマジだよ。ちなみに話は通してないけど別に神だからいけるよね」


 言いはずがないだろう馬鹿なのか。

 そう言いたくなるのをグッと堪え、エルピスはこれはチャンスなのだと自分に言い聞かせる。


 世界最高の学術機関、そこの存在はもちろんエルピスも知っている。

 亜人種の生徒が通う人類生存圏唯一の学校であり、世界最高峰の設備と教師が揃う学校であることも。


 王国祭での王族お披露目の際にも、確かそこの学長が見に来て居たのが記憶に残っている。


「神の娘がいきなり編入してくる編入先のクラスメイトと教師がかわいそうで仕方がないんですが」

「君が断るからだよ? 彼氏探しの旅に娘を出させないといけなくなったんだから」

「なら仙桜種の中からえりすぐりの一人を選出してそちらに送ろう。

 村代表としてな、早い方がこちらも良い」

「行ってくれたら海神とも話しつけてあげるよ。

あそこは確か島だからね、いつでも海神と連絡取れるのは中々いいんじゃない?」


 戦力増強の中で最も戦力の平均値を押し上げてくれるのは、もちろん戦闘のできる神だ。


 海神をこちら側に丸め込む事がもし出来たのなら、随分と破壊神側にアドバンテージをとれる。デメリットも特にないし、断る必要もないだろう。


「分かりました乗りますよ、乗ってあげますよその話に。

 とりあえずパーティーメンバーとだけ話してきますね」

「いってらっしゃーい」


 かくしてエルピスの鍛治神との交渉は終了した。

 破壊神と創生神、二柱の思惑に振り回される予感に頭を悩ませながらも、これから起きるであろう常識外れの事柄に期待に胸を躍らせつつエルピスは自分のことを待ってくれている人達のもとへ向かうのだった。

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