ノルマ達成率25パーセント
「おお、これはまさしく必要な材料のうちの一つ……客星草です! こんな短時間で見つけられるなんてさすがココミさんです!」
「ルミナスさんに思い浮かべて頂いたイメージのおかげで見つかりましたが……ぱっと見だと見分けがつきませんね」
心美の千里眼はルミナスが必要としている物の一つ、客星草を発見した。
淡い黄緑色の薬草だが、緑が生い茂る中に紛れるように生えていると周りの草と区別がつかない。
遠目で見ても分からない。
それだけならただ見つけにくいだけでそれほど珍しいものではない。
この客星草があまり市場にも出回らず、ルミナスも入手に苦労した理由は別にある。
「確か……枯れるのが異常に早い。そう書いてあった気がします」
「その通りです! この客星草は完全な状態になってからたった一日で枯れてしまうんです! 下手な生鮮食品より寿命が短く、売りに出しても利益になるか分からないため市場にも中々並ばないんですよ!」
一日しか持たない。
どれだけ早く市場に卸しても、確実に売れる保証はない。
売れなければそれは枯れてしまい、当然廃棄となってしまうわけなので、そんなピーキーな薬草を商品として棚に置いてくれる店は中々ないらしい。
その姿を現すのは短い時の中。
客星の名に恥じぬ面倒な性質を持った薬草なため、流通量も極小。
これが入手困難の真の理由だ。
「これは正直最後になると思ってましたが……どうやら運は私達に味方してくれているみたいですね」
「はい! ありがとうございます! 私はこのまま成分の抽出作業に入りますね!」
「いつ枯れてしまうか分からないですもんね」
準備がいいのか、鞄からカチャカチャと取り出すルミナス。
あっという間に簡易的な作業場を作り上げて、いそいそと客星草を摘み、作業に入り出す。
見つけるまでは心美の仕事。
ここからはルミナスにバトンタッチだ。
自分の作業に集中している彼女をそっと見守り、心美も再び瞳を開いた。
(森の入口手前で客星草を見つけられたのはいいけれど……そろそろ森の中まで見に行った方がいいかしら?)
ルミナスがルチカを見失った付近を中心に少しづつ円を広げるように見ていた心美だったが、その円は心美の転生した森へと差し掛かろうとしていた。
森の中は一層緑が多くなり、薬草の発見難易度も跳ね上がるだろう。
それでも、喜ぶ友のためならば。
(さて、残りのものも早く見つけないとね)
ルミナスが心美に渡したメモに書かれた品目は全部で四つ。
客星草を発見したことで残りは三つ。
現在達成率は四分の一。
残りを探し出すために、心美は目を閉じ千里眼の視界に集中していた。
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