(6)
「お姉ちゃん! ミカすごいこと知っちゃった!」
猫を拾いに行ったミカはまだ両腕が健在だった。
「ユウキくんってね、ちょーのうりょくしゃなんだって!」
超能力者というのが何かは分かっていないらしく「ミカよりもすっごくお勉強とかできるし大きくなるんだよ! 他の人にのーりょくを使わせて大変なことになっちゃっても治せるって言ってたのに、ミカには見せてくれなかったの。ひどいよね!」と大真面目な顔で言っている。
「あ、これね、秘密なんだって。でもお姉ちゃんにだけは言っていいって言われたの。だからね、お姉ちゃんも内緒だよ!」
昨日ユウキを誘ったことで今までのようにいかなくなったのか、私はこんな話をしたことがないし、冗談でも祐樹から聞いたことだってないと思う。
「お姉ちゃんもちょーのうりょくしゃなの?」
ミカは微笑むだけの私に気を遣ってくれていたのか学校であったことを話すだけ話して「明日はおしゃべりしよーね!」と帰っていった。猫のことは言えなかったし、ミカからはイレギュラーな言葉ばかり出てきた。砂時計をひっくり返せることをこんなに嬉しく思ったのは初めてだった。
私は超能力者なのか。それは手紙を理解してから何度も考えたことだった。砂時計一つで平行世界に行けるなら超能力者と言っていいかもしれない。砂時計がなければただの人だけれども。
……そういえばあの時「ミカ」の砂時計、消えなかったっけ?
私が砂時計をひっくり返したら「ミカ」も消えた。
私はタイムカプセルに砂時計を入れた? タイムカプセルに一人が入れられる量は決まっていた。私は手紙と絵日記と大切にしていたプラスチックの宝石箱と昔集めていた大量のシール。砂時計を入れる隙間なんてあった?
私の砂時計って「ミカ」のものじゃないの?
それなら、祐樹が持ってきた砂時計は、祐樹のもの?
——祐樹は、何者?
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