41、レイラ覚醒
「レイラ、そろそろ顔隠そうか。俺のストックのマスクあげる」
俺達はまだ教会下のパラダイスにいた。
おそらく半日程滞在しているだろう。
王様スライムは何度倒しても、すぐ湧くのでひたすら戦っていた。
まさにパラダイス。
「どうしてですか?」
二人ともレベルはかなり上がっている。
特にレベルが低かったレイラの上がり方は驚異的。
レベル98になったようです。
「綺麗過ぎて見れない」
見ると力が抜けます。
ある種のチート。
「‥‥‥嫌です、見て下さい」
「はい?」
「ニア様の為に綺麗になりたいのに、そのニア様が見てくれないなんて悲しいです。お願いします、ちゃんと見て下さい!」
そう言うとレイラは顔を赤らめながら、俺に顔を近づけた。
「くっ‥‥‥やめろレイラ! 身体の力が抜けて動けなくなる!」
「嫌です、もっと私を見て下さい!」
「こうなったら俺も奥の手だ! くらえ!」
俺はマスクを取り、レイラを見つめた。
魅力は俺の方が高い!
「きゃ! ニア様カッコいい」
「くっ!」
俺たちは同時に膝から崩れ堕ちた。
ダブルノックアウトである。
稀に見る好試合。
好敵手の出現。
レイラは俺に匹敵する力を手に入れたのだ。
「貴方達さっきから何してんの?」
「自分たちの強さの確認作業です」
「いちゃいちゃしてるようにしか見えないわよ!」
少し離れた場所から怒っている女性の声。
俺は地面に転がったまま。
レイラも赤い顔のまま、転がってモジモジしている。
「うるさいな、ほっといて下さい」
「いい加減、戦いなさい!」
実はこの広い洞窟内の部屋で王様スライム討伐をしている時に、豪華な宝箱とそれを守るように立つこの魔族の女性を大分前から見つけてはいた。
王様スライムを倒してから戦おうと思っていたのだが、王様スライムが何度倒しても湧いてくるのでずっと放置したままだった。
こちらから戦わないと動けない仕様のようです。
なんかかわいそう。
「宝箱が気にならないの?!」
「勇者の剣でしょ?」
「そうよ! 貴方達もこれを探しに来たんでしょ?!」
「今は王様スライムの方が興味あります」
「この状況でよくずっと無視出来るわね、貴方達異常よ! しかも私のこの美しさに驚かないの?!」
淫妖な雰囲気の女性の魔族。
大きな胸やしっぽの生えた尻が、今にもこぼれ落ちそうな布地の少ない服。
黒く長い髪に艶っぽい顔。
かなり色っぽい。
「この『色欲のイレイザ』を無視する男なんて今まで見た事がない。いい加減こっちに来なさいよ、貴方は特別にいっぱい可愛がってあげるから」
投げキッスをする色欲のイレイザと名乗る女魔族。
誠に申し訳ないが、レイラの方が数段色っぽい。
「レイラどうする? そろそろ戦うか」
「ニア様を色気で誘惑しようなんて、絶対に許せません!」
さっき色気で俺を誘惑してたのは誰でしたっけ?
「ニア様、ここは私が戦います!」
「おお! レイラが一人立ちした!」
レベル98になりレイラはかなり強くなった。
王様スライムとも一人で戦えるほどに。
「大丈夫か?」
「ニア様は私のものです!」
そんな事は聞いてない。
‥‥‥まあ、危なそうだったら助けに入るか。
「よし、レイラがんばれ!」
弟子を見守る師匠の気分。
「はい! がんばります!」
勇者レイラと色欲のイレイザ、世紀のお色気対決が今始まる!
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