第22話 友人の助言と激励。そして……

 式部さんが僕に好意をもっていることを理解した翌日。

 僕は連の家でいつぞやのように格闘ゲームをしていた。

 そう、格闘ゲームをしているのだが、如何せん昨日からずっと式部さんのことをどう思っているのか、式部さんの思いにどう答えればいいのかとそればかり考えていて眠れず、今もずっとそのことを考えているので全然画面に集中できていない。

 今も、体力ゲージがゴリゴリ削られている。

 そして、操作キャラの体力が全部削られ、相手の勝利画面が出たところで

「どうした、何か悩み事か?」

 と連が聞いてくる。

「……何、急に?」

「いや、全然ゲーム画面に集中できてないみたいだしさ。何か悩んでるのかなって。俺に聞ける事だったら聞くぜ」

 正直、連は恋愛経験がほぼゼロに等しい(本人談)ため、この悩みを解決できるとは思えない。

 だが、一人だけで考えて結論が出てきていないのも事実だ。

 であるならば、連も聞いてくれると言っているので聞いてもらうのもありなのだろう。

 そう考えて、僕は口を開く。

「昨日、僕が仲良くしている女子の後輩が僕に好意をもってるってわかったんだ」

「うん……うん?」

「それで、後輩から『自分みたいな人と付き合いたいか』って聞かれて、僕自身もその後輩に好意に近いものは持ってるし、後輩みたいな子と付き合いたいって思うって答えたんだ」

「なるほど、なるほど……うん、ちょっと待って、少し聞いてもいいか?」

 連がいつになく真剣な顔で聞いてくるので、僕は「うん」と言いながら頷く。

「まず初めに、お前、いつ後輩の女子と仲良くなったんだ?」

「仲良くなったのは、四月の下旬かな。サークルで知り合って僕と同じ二次元オタクってところから一緒にアニメショップ行ったりして仲良くなった」

 僕が二次元オタクであることを受け入れてくれている連になら、式部さんが二次元オタクだということは言ってもいいだろうと考え、知り合ってから仲良くなるまでの経緯をそのまま説明する。

「……まあ、仲良くなった経緯は認めたくはないけどわかった……それで、なんでその後輩が隆也に好意をもってるってわかったんだ?」

「それは、しき……後輩が僕の呼び方を変えたり、浴衣姿で僕のバイト先に来たり、さっきも言ったように『自分みたいな人と付き合いたいか』って聞いてきたからかな」

 僕が説明すると連は腕を組みながら

「それは確かに好意をもってないとしないような行動だな……で、お前の悩みはそんな後輩に好意に近いものを持ってるけどそれが好意かどうかも分からないし、後輩が向けてくれてる好意にどう対応したらいいかわからないってことか」

 と言った。

「そういうことになるかな」

「……そう言うことなら好意を確認する方法はあるぜ」

「どんな?」

 連の方にグイッと顔を近づけながら尋ねる。

「それはな、お前がその後輩と一緒にいたいかとか一緒に笑っていたいかとか確認するんだよ。そんで、一緒にいたい。一緒に笑いあっていたいって思うってことはその後輩を好きなはずってこと」

「なるほど……」

 確かに連のいうことは最もだ。

 一緒にいたいか。一緒に笑いあっていたいかは、好きであるということを構成する重要な要素だ。

 そう考えた僕は、今までの式部さんとの思い出を振り返る。

 そうして、実感する。

 僕は、式部さんと一緒にいたい。

 式部さんと一緒に笑いあっていたい。

 僕は、式部さんが、式部春が好きだ!

「どうだった?」

 式部さんへの好意を自覚したところで、連が聞いてくる。

「うん、わかったよ。僕、式部さん……その後輩が好きだ!」

「もろ名前言っちゃってるから誤魔化しても無駄なんだけどな……でも、そうか、自覚できたか」

「うん!」

「ならこんなとこいないでさっさと告白しに行っちまえ!」

「ああ、悪い。また遊びに来るよ!」

「その時にはいい報告しろよ!」

 僕は連の激励を受けながら、連の家を出て式部さんに電話をかける。

 数秒間のコール音の後、繋がる。

『隆也先輩、どうしたんですか?』

 ムードとか場所とか、そんなものは知らない。

 今すぐにこの思いを伝えたい。

「式部さん、好きだ!」

 そんな思いの中、僕は力いっぱい式部さんへの思いを叫ぶ。

『え? へ?』

「式部さん、好きだ。大好きだ! 僕と付き合ってください!」

 僕のムードもへったくれもないような告白に式部さんは数秒の間の後

『……はい。こちらこそ。お願いします』

 という返事を返してくれた。

 こうして僕達は、付き合うこととなった。

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大学生(2次オタ)の僕と女子大生の不器用な恋愛 アア @29092000

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