第165話 私の家族
雨の月曜日。今日は朝から家事をこなし、「花束みたいな恋をした」を動画配信で視聴して、関川君を書いていた。いつもならスラスラ書けるのに、今日は書いては読み返し、「ん? こりゃあかんぞ」と書き直し、また書いては書き直しを繰り返して、結局一話しか更新できなかった。
なぜか。
それは、すっかり沼っている悠木さんの小説の中に出てくる枕先生の教えが胸に刺さりまくりだからだ。その作品がこちらだ!ドーン!
【 お姉さん先生は妥協しない 作者 : 悠木 柚さん https://kakuyomu.jp/works/16816452220137805454 】
もうですね、めっちゃ眼から鱗がいっぱいなんです! 恋愛小説らしいのですが、Web小説家の主人公に、枕先生=お姉さん先生がダメ出しをするのですけども、そのダメ出しが毎回胸に突き刺さる!!!
「ぐほっ! そ、それはまさに、私に言っているようだー!」
時に何度も読み返し、勉強させていただいております。もしかして記憶のない私は、この紹介は二回目かもしれません。もしそうなら、二回も言いたいくらいどっぷり沼ってるのだと思ってくだされば嬉しいです。私も主人公に完全になってるつもりで、毎回心の中で正座して、枕先生のお話を聞いています。
だからなのか、今日は自分の書いた文章を読み返しては直し、読み返しては直しを繰り返していました。
さて、そんな本日は、昨日の妄想日記でスケジュールを立てたのにもかかわらず、早速リスケしないといけないような気がしてきました。なぜなら今週の私のスケジュールが、結構バタバタしているのです。
「ぐおー! パソコンの前に集中して座れないじゃないかー!」
今日の昼頃にそれに気づき、脳内ではなくリアルで思わず叫んでしまいました。実は今週末は家族旅行。受験生の一番ちゃんはもう受験モードになってしまうので、今年の家族旅行はもうありません。でも、やっぱりその前にもう一度くらいは家族で出かけたいと、企画しました。金曜日の学校を休み、二泊三日。馬鹿になりにバカンスです。もうこれ以上バカにはなれないんじゃないかと思う自分もいますが、多分まだ少しだけ馬鹿になれるキャパは残っているような気がします。
どうしよう。五分で読書のミステリー。旅行中に妄想をして脳内ストックしておけばなんとかなるでしょうか。ううむ。先にそっちを書いたほうがいいのか、否か。悩むところです。でも思いつくままに書いてみようと思います。
「結局書くんかーい!」
書かずにはいられないそうなので、旅行中一文字も書かない時間が三日も流れると思うと、今から少し怖いです。来週の月曜日あたりはものすごい量の文章を書いていたりして。
……( ˘•ω•˘ ).。oஇ
゜∀゜!!✨
閃きました。そうか、ため込んで一気に出すのもありかと。そうすれば集中してお話の中に潜れる! 天才か! さっきまで一文字も書けないいことが憂鬱だったのに、あっという間に解決しました。えがったえがった。
さてと、であれば、気も楽になったことだし、今日は小咄をひとつ。少々お待ちください。うちの四番ちゃんにネタをもらってきます。
「四番、なんかお題ない? 妄想のお題ちょうだいよ」
「え? なんかぁ、アニメがぁ最近はぁ……」
「なしで。はい三番! お題ください」
「お題ね、いいよ、家族」
「四番よ、お題とは、こういうことなのだ。さらばだ四番、お母さんはもうヘッドフォンをする」
お題は「家族」のようです。
なるほど。
三番ちゃんになり切って、やってみます。
****
「私の家族」
作:和響家の三番ちゃんのつもりの妄想
私の家族はとっても仲がいいです。なぜなら、お父さんとお母さんが無茶苦茶ラブラブだからです。
でもそんな我が家に、大変な事件が起きました。
それは、お母さんがアキレス腱を切ったのです。
お母さんは四十歳をすぎているのに、私たちと一緒に剣道をやっていて、思いっきりアキレス腱を切ってしまったのです。
でも、お母さんは手術は嫌だと言いました。入院を二週間もするだなんて、絶対無理だしと言いました。だから、アキレス腱を手術じゃなくて、固定して直す病院みたいな病院じゃないところに行きました。
私は正直言って、病院じゃないところで治すなんて大丈夫かな?と思いました。
それが2019年の12月30日のことです。
お母さんは、三ヶ月くらいかけて、その病院みたいな病院でないところでなんとかアキレス腱をくっつけました。私はすごいなと思いました。お医者さんじゃなくても、アキレス腱をくっつけることができるのです。
春休みになりました。
コロナウィルスのせいで、私たちは学校に行けません。お母さんはたくさんプリントを印刷して、毎日私たちに自宅で学校をしました。一時間目から五時間目までをそれぞれの子供に作り、タイマーで時間を図るのです。終わるたびにお菓子の入ったガチャガチャを回すことができるので、私たちは毎日自宅で学校を楽しみました。
ある日、ピンポーンと、家のチャイムが鳴りました。お母さんは、自転車屋さんが来たんだと言って、玄関に行きました。お姉ちゃんが中学生になったので、中学生用の自転車が家に届いたのです。
しばらくすると、玄関から、お母さんの悲鳴が聞こえてきました。
「ぎゃーーーーー!」
私たちは全員でお母さんのところに走って行きました。すると、どうしたことでしょう。お母さんが足首を押さえながら倒れているのです。
「段差で、段差で、段差で……」
「「「「「お母さん、どうしたの?大丈夫?」」」」」
「かかと踏み外して……ブチって音がした……」
お母さんはまたアキレス腱を切ってしまいました。まだ完全に治ってなかったのです。お母さんはまた、お父さんの車に乗って、病院みたいな病院じゃないところに行きました。そして、前とおんなじように足に包帯を巻いて帰ってきました。また、手術をしないで、くっつけるつもりのようでした。私は、本当に大丈夫なのかな?と思いました。
四月になっても、学校は始まりませんでした。
私たちは、毎日お母さんと自宅で学校をしていましたが、さすがに暑くなり始めてくると、プールがしたくなりました。
お母さんはその話を聞いて、「よし!まかせろ!」と、大きなプールをベランダに出しました。ビーチパラソルを立てて、私たちはプールで水遊びをしました。
ところがある日、お母さんがそのベランダで滑ってしまいました。
「ああっ!」
お母さんが言うには、何回かぶちぶちっと音がしたとのことでした。
「でも、なんとか歩けるから大丈夫大丈夫!」
そう言っていたお母さんでしたが、さすがにこれはまずいと、ちゃんとした病院に行きました。病院から帰ってきたお母さんはみんなに言いました。
「やっぱし、ちゃんと手術で治さないとだめだって」
私は、そりゃそうだろうと思いました。
多分、家族の誰もがそう思っていました。
「二週間の入院だって」
私たちは家族です。
家族の誰かが困っていたら助け合わなくてはいけません。
「お母さん、家のことは任せて、入院してきてね」
八月のお盆前、お母さんは病院に入院しに行きました。
私たちは、おばあちゃんの家、魚屋さんに泊まることにしました。
「……。魚臭い……」
おばあちゃんには悪いけど、魚臭くて大変でした。お母さん早く家に帰ってきてと思いました。だから、毎日LINEでお母さんとビデオ通話しました。
「お母さんやっほー」
「うん」
「お母さんなにしとる?」
「読書」
「へー」
「お母さんなにしとった?」
「読書」
「お母さん読書ってなに読んどるのー?」
「小説。て、もういい? お母さん本読んでて忙しいんだわ」
お母さんはどうやらあんまり寂しくないようです。
入院する前に、あんなに、パパと離れて会えないなんて死んでしまうと喚いていたのに。
家族って、なんなんでしょうか。
お母さん、もう私たちのこと好きじゃないの?
そう思っていたら、あっという間に二週間が経ち、お母さんが退院してきました。
「お母さんおかえり!」
「お母さん寂しかった?」
「お母さんに会いたかった!」
「足大丈夫? もう切らんといてね、迷惑やから」
最後の言葉を言ったのは一番上のお姉ちゃんと、お兄ちゃんです。私はひどいことを言うなと少し思いました。
「もう、おばあちゃんの家に泊まるのは嫌だから。魚臭いし」
これもお姉ちゃんとお兄ちゃんです。やっぱりひどいことを言うなと思いました。私は思っても口に出しません。
お母さんは、少しばかり丸くなった顔で言いました。
「もうきっと大丈夫!二週間も入院したしね! しっかしパラダイスだったわ。ご飯は出てくるし、動画と読書三昧で洗濯も掃除もしなくていいし最高だった。パパと会えないのだけが寂しかったぁ♡ ねぇ、パパ♡」
家族って、なんなんでしょう。
お母さんは子供のことを好きじゃないのでしょうか。
「えー。ひどいお母さん」
「子供のことも大好きすぎるに決まってるけど。あのね、言わしてもらうけど、あんたたち、特に三番以降、毎回LINEでビデオ通話するけど、あんたたち、自分の顔が映るのを見て楽しんでるだけでしょ? 猫耳つけたり、変顔したり、アプリで加工した自分の顔を見るためだけに、LINE通話するのいい加減途中から嫌になるよ?」
私たちが毎日お母さんにLINEのビデオ通話をしていた理由をお母さんは知っていたようです。
さすがお母さんです。
そんな我が家は今日も仲良しです。
私は、自分の家族が大好きです。
(おしまい)
*****
あの頃からしばらく旅行にもいけずでしたが、やっと今年はいろいろな場所に出かけて行けそうです。もちろん感染予防対策をしてです。そうはいっても、受験生なので、今週末に行ったらもうあとは受験モードになってしまうでしょう。
その前にひと時、リフレッシュをさせてあげたい父と母なのでした。
「お母さーん、ネタ思いついたよ、あのね、ムササビ!」
「四番、もうそれは終わってしまった。また次回だ」
そんなこんなで夜もふけて、まだ洗濯物を干さねばならないので、本日はこの辺で。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
****
戦争のない世界になって、なんなら国境がないんじゃないかってくらいの平和な世界になって、みんなで仲良くできる未来がいつかきますように。
――黙祷
祈っています。
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