第154話 部活保護者会に参加してきた。(前編)
もしかして明日子供の調子が良ければ東京へ行くかもなので、明日分の妄想日記を書いている、そんな本日の妄想日記パート2。
「東京行きたい行きたい行きたい行きたい行きたい行きたい。……行かなきゃ書けねー!」
パソコンに向かい続きを書こうとしたら、やっぱり東京に行かなきゃ書けないだろうという自分に妄想内で遭遇し、もうどうにもこうにもその妄想が消せる気がしなくて通帳を見たら交通費ギリギリ入ってたのを見つけました。
「パパ? あのね、あのね、いまさ、お金のかからない趣味してるじゃん? ほら、電気代しかかからない趣味してるじゃん? だからさ、だからさ、あのさ、明日取材に東京に行きたいの。ダメ?」
などと少し甘えた声で聞き、オッケーをもらえたので、取材に行ってきたいと思います。だがしかーし! 二番ちゃんが熱っぽいらしいので、行けないかもしれません。その場合は続きを書くのが来週になってしまう気がする。
「やだ。そんなのやだ。今すぐにでも書きたいのに。そんなのやだよ。やだよぉ」
しかし、母親業が一番。そして小説を書くのは趣味。仕事ではありません。
「行けないかもしれない……」
少し悲しい私です。どうか熱が下がってくれますように。と言っても、37.2度とかなんだけど。今は厳しいので、ダメなものはダメですね。もしなんかあったら行けないので、私も自粛してた方がいいかもしれません。
「そうか! 書けるシーンで物語を書いて、その後に加筆したかったら後々付け加えればいいんじゃないか?!」
映画監督のような気分になってしまった。そのシーンカットして使わないわ的な。別の撮影で撮ったとこ、そこに挟んでみたいな? 本当にそうやっているかはわかりませんが、子供の剣道の修了式用に毎年動画編集をしていたり、会社の紹介ビデオの構成と絵コンテ書いていた経験から想像するにそういうことなのかと、妄想しました。
で、あれば、出会いのシーンに向かう道筋を駅から出て歩いているところからにすればいいのだろうか。しかし、電車に乗りながら思いふけるところで主人公のモノクローム回想シーンを入れたい。となると、駅から出て歩くまでが続くのか。あぁぁ。悩みは尽きませんが、今少し閃いたので、もし明日取材に行けなかったらプランBの妄想で書いてみるとします。
さて、前置きが長くなりましたが、今日は中学の卓球部の保護者会でした。もうそれはそれは、後期の役員ぎめで誰が役員になるかの攻防戦が凄すぎて、思わず話を聞いているふりをして、仲良しの大好きなカクヨムさんにコメントでその模様を実況しようかと思ってしまいました。
そんな本日の役員になりたくない保護者の皆さんと、何やら訳ありな保護者会に来ていない保護者さんと、実は会長やりたいんじゃね? な保護者さんとの心理戦が面白かったので、ノンフィクションよりのフィクションで妄想を残したいと思います。
久しぶりにヘッドフォンをセットして、ノリノリでいっちょ行ってみよー!
***
「心理戦! 誰が卓球部の保護者会会長になるのか!?」
N中学校卓球部。部員は男女合わせて39名の大所帯である。
今日は新入部員の保護者を入れての前期保護者会。そのメインイベントはもちろん、後期保護者会役員決めである。
中学の部活の保護者会は前期、後期と年に二回行われ、その際に次期役員を決める。まさに天下分け目の下克上。誰が会長になるのか、それぞれの思惑を持った保護者たちがゾロゾロと中学校の会議室に集まってきた。
もちろんこの女、五人子持ちの和響も例外ではない。今年は前期剣道部の保護者会会長、PTA副会長をしているのにもかかわらず、中二の息子が剣道から卓球部に移籍したため、剣道部、卓球部、どちらの保護者会にも出席の義務がある。もちろん、役員選考の可能性も。
「絶対役員はやらないわ。だって、PTA副会長と、剣道部保護者会会長を兼務しているのよ。それに長編小説でも書いていようものなら会議をすっぽかすなんてざらにあるもの。これ以上失態は犯せない」
和響はそう独りごちながら、薄っぺらい緑色のスリッパに玄関口で履き替え会議室へと向かう。
会議室に入ると、すでに多くの保護者が保護者会が始まるまでの時間を楽しそうに談笑しながら過ごしていた。
――途中移籍だから、知ってる人誰もいない……。
少々心細い気持ちで空いている席に座ると、知ってる顔が会議室に入ってくるのが見えた。
――あ、あれは遥子ちゃん(仮名)
遥子ちゃんとは、子供が小さい頃一緒に飲んだくれた、近所の飲み友達である。偶然にも同じ卓球部。そのことを顔を見るまで忘れていた自分に驚きを隠せないが、声をかけようとする前に、入り口近くの席に着いてしまった。
――しまった。隣の席に、あ……
和響が思ったが時すでに遅し、マイクを持った保護者会副会長が話を始めた。
「え、今日はお忙しいところ、N中卓球部保護者会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます」
そこからの話は長いので、時間を早送りで先に進める事にしよう。
――咲jvksjdmヴィd不gdsjvhaghaog;cmgvilu
「それでは、二年生の保護者さんは後期の役員決めを行ってください」
その言葉をきっかけに、二年生の保護者の中でもリーダー的オーラを発している女性の周りに人が集まり始めた。この時、和響の脳裏にははっきりとそこにいる10人の母親たちの立ち位置がわかった。
リーダーはあの人に間違いない。
いかにもスポーツ少年団から子供に付き添って頑張ってますオーラが、アロハな花の模様が所々に背面に飛んでいる黒いTシャツから溢れ出ている。ショートカットの髪の毛にメガネ。自信に満ちた張りの有る声。和響はこの女性がリーダーで間違い無いと確信した。
――で、あるならば、先手必勝。
「すいません、私今年PTA副会長なので、ちょっと。申し訳ないんですが、剣道部の保護者会会長もしてて」
――こういうのは先にリーダー的存在の人に助けを求めるのがいい。
サッと斜め前の席に座り直す。これで顔色を伺い、必要な時はすぐに声をかけられる。
「そうなの? 和響さん、それは大変だわ」
――な、なぜ、私の名前を!?
リーダーだと思われる女性が反対側に顔を向けた隙に、隣に座っている可愛らしい美人な女性に声をかけた。
「すいません、あのかたは……? お名前皆さん分からなくて」
「あぁ、和響さん、いつもうちの子がお世話になってます」
「え?」
「いつもうちの子遊んでもらってるみたいで。二番くんと」
「そうなんですか! 知らなかった。で、すいません、皆さんの顔と名前がわかんなくって」
そうやって全員顔と名前をなんとなく聞き出した和響は、パワーバランスをその少し足りない脳内で妄想スキャンした。
――リーダー的存在感の竹中さん(仮名)を挟むのは向こう側に遥子ちゃん(仮名)。遥子ちゃんはなかなか意見を言う感じで在籍しているのね。これは心強い。彼女と私はのん兵衛仲間だもの。きっと私の味方。竹中さんの反対側は、私の目の前にいる山田さん(仮名)ね。山田さんは朝した化粧が落ちても気にならないタイプ。ゆるふわの髪型からしてみても、きっと、人の意見にそうですねぇと言うタイプだわ。ふっ。もらった。この勝負もらった! 私が役員になるなんてことはこれで絶対ないっ!
「あの、私……」
「あら、和響さん、和響さんやらない? 役員」
――ちょまっ! 初対面なのに、なぜ私の名を竹中さんまで知っているの!?
「なぜ、私の名前を……?」
「だって、途中で入ってきたの和響さんだけだもん」
――そっかー! 一年生の時に途中で入ってきたのは私だけだからかぁ!
「やらない? 役員?なんかはっきり意見言いそうだし、いいじゃん」
「いやいやいやいや、あのですね、PTA副会長と、剣道部の保護者会会長を今してて、来年はPTA会長なんですよ私。ポンコツすぎる頭なんで無理っす。ねぇ遥子ちゃん、私の頭、ポンコツだよね?」
――言え、言うんだ。遥子!お前も大概だが、私も飲んだくれて物忘れがひどいと。早くその隣から竹中さんに言うんだ!
「うんと、めっちゃ仕事できますよ?」
――ばかー!それは昔の話だ! 今は頭ん中が小説でいっぱいだからもうそれしか考えられないんだー! はっ! その奥に見えるは、今季PTAでご一緒している、名前は知らんけど、しっかり者の人!
「ねぇ。私PTAでもかなりやばいですよね? ポンコツすぎて」
「いやぁ、こっちにふらないで」
冷たく失笑された和響は、うっ! とマスクの中で小さな声を漏らした。
――あの人は、名前も知らないあの同じPTAのあの人は、私を援護してはくれない。くっ! 私がこの間PTAの会議を二回も連続で忘れていたからかっ!そ、その戒めなのかーーー!!!
つづく
***
長くなってしまいそうなので、後編はまた次回の妄想日記で!乞うご期待!
本日もお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
*
「占いの館」の明日投稿予定の本日のカードを掲載します。
本当に長くなってしまうので、ご興味のある方だけお読みいただければ幸いです。
私は日々、このカードのように思いながらニュースを見ています。争いのエネルギーに飲み込まれることなく、世界中の人が手を繋ぎ、生きれる未来がいつかきますように。
祈りを込めて。
『 WE ARE THE WORLD:ゆとりを持つ 』
【カードの絵】
広い宇宙の中心に地球が描かれています。その地球の周りを手を繋いだ、虹色の人影がぐるりと囲み、楽しそうにダンスをしています。そして、地球全体を温かい光で包み込んでいるのです。
《本日のメッセージ》
地球を取り囲んでダンスをしている人々には国境はありません。虹色のグラデーションで描かれたこの人影は、どこも手を離す事なく、ひとつに繋がり、喜びのダンスを踊っています。
その喜びのダンスは、地球を温かく愛の光で包んでいます。
私はたちは時に、人と意見がぶつかり合い、お互いに嫌な思いをしてしまう時があります。それもそのはず、私は私、あなたはあなた、どちらも一人の「個」としての人間で、同じ人はどこにもいない、誰もが唯一無二の存在だからです。
それは身近な人間関係でも、国同士でもそれは同じ事。
自分ではない人の意見に反論し、その人を攻撃することは、戦争と同じエネルギーなのです。意見を交換するのと、攻撃し合うのは全く別の行為なのです。
正義も悪もないのです。
それぞれの思いや意見があるだけです。
どちらが良くて、どちらが悪いということは、ないのです。
どちらも、自分のいいと思うことを信じているだけなのです。
だからどうか、自分の信じる世界だけが正しいと思わずに、広い視野で世界の色々を観察してみてください。そして、自分以外の人の世界観を非難することなく、攻撃することなく、そういうものだと受け入れてあげてください。
世界中の人がそうなれたら、きっとこの世界から戦争は消えてなくなります。
本日のカードからのメッセージでした。
――黙祷
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