第148話 ジビエを食べに行ってきました
日付を跨ぎ、そんな投稿はやめようと言ってたはずですが、ここ三日間くらい日中に出かけることが重なるため、本日の日記を書く、そんないい加減なエッセイ?いいのかな、と思う本日。
お茶のお稽古、生花のお稽古ときて、本日は、お茶の先生とその旦那様と三人でジビエ料理を食べに山奥へと行ってきます。でも、今思いました。せっかくそんな珍しいお料理を尊敬するお二人といただくのであれば、お食事後に書いたほうがいいのじゃないかと。
――バカなの?
誰かがそう呟いた気がしました。珍しいジビエフルコースを、記録したいと思いますので、本日は深夜投稿をやめて、食べてきてから書きたいと思います。
――だよね?
それではみなさま、良い夢を! おやすみなさい!
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からの、行ってきました。ジビエ料理。ジビエといっても、山菜が中心のフルコースで、食べたのは全く臭みのない猪の鍋と岩魚の塩焼きに春の山菜、天然キノコのお料理でした。
最寄りの駅まで先生たちをお迎えに行き、そこから山に向かって車で走ること四十分。目的のお店に着くと、どうやら今日は私たちだけの貸切のご様子。田舎の一軒家を店舗にしたそのお店は、飛行機に乗ってでも食べにくるような、知る人ぞ知るお店です。事前に予約が必須で、私たちは一ヶ月前に予約をしました。
最初に出てきたのは、竹の子や山菜の盛り合わせの前菜。切ったばかりの青竹を器にしたり、趣向も素晴らしかったです。何より美味しかったのは、熊の出汁で炊いた大根。口に含むとじんわりとクマ独特の甘みが広がってなんとも言えない味わいでした。
次に出てきたのは、山菜のお浸しの上に珍しいキノコが乗った小鉢。こちらのキノコはスーパーで売っているようなキノコではなく、お店の大将が山に分け入りとってきたもので、名前は……。忘れました。はい。しかし口に含むとぷるんとしていていました。
キノコを味わいながら食べていると、岩魚の塩焼きが登場しました。炭火の遠火で焼いた岩魚はとても香ばしく、骨しか残らないほどにきれいに箸で白い身をとって食べました。天然岩魚は、昔渓流釣りが趣味だったのでよく釣って食べていたのですが、料理人の手によって焼かれた岩魚はなんだか上品な味わいを感じました。野趣的なのに、上品だと感じたのは、大きなヒノキの葉っぱの上に、三匹泳いでるように並んで出てきたからかもしれません。
誰が一番きれいに食べれるか競いあうように岩魚をいただいていると、大将が根曲がり竹の炭焼きを持ってきました。手で炭で焦げた皮をむき食べると、とうもろこしのような甘い香りに竹の子の味わいがあいまり、そこに苦味が交わって、なんとも日本酒に合いそうな味わい。思わず先生と、ここに日本酒があれば最高ね、なんて言いながら手を真っ黒にしていただきました。
次に出てきたのは山菜の天ぷらです。コシアブラに蕗の薹、タラの芽、山うどの葉に、稚鮎と、まだまだいろいろありましたが、お皿の上はパラダイスです。
最後は猪のしゃぶしゃぶ鍋ですが、そのしゃぶしゃぶは普通のしゃぶしゃぶではなく、天然キノコをこれでもかと入れたお鍋です。そこに山菜も入って、旨味がたっぷり。お店の大将が薄くスライスした猪肉をしゃぶしゃぶしてくれました。赤身に白い脂が美しく入る猪肉は、なんの臭みもなく、その白い脂の部分は歯応えもあり、噛むと甘みが広がります。豚肉よりも臭くはなく、極上の味わい。
そこへ、今日のメインと言ってもいいでしょう。追加注文した、一週間熟成させた天然うなぎの白焼きと蒲焼が登場。「伝書猫」でも書いた、天然うなぎの蒲焼を食べる夢がついに叶いました。
通常のうなぎは、養殖されたうなぎで、そのほとんどが一年ものです。しかし天然うなぎは三年ものも五年ものもいて、想像以上に太く身が厚いです。何より、皮の部分に旨味が凝縮されていて、噛むとふっくらとしたウナギの身の奥に皮の旨味が広がってきます。もちろん全く臭みはありません。「伝書猫」で書いたお料理の描写が間違ってなかったことを確認できて、よかったです。タレの甘みも私的には程良くて、いつまでもいつまでも食べていたかったです。
さて、最後の締めは猪の旨みと天然キノコの旨味たっぷりのお雑炊です。そこへまたもや名前を忘れてしまったのですが、大きな珍しいキノコのみじん切りが追加されたお雑炊をいただきました。
「はふー! 大満足!」
珍しいカタクリの花のお漬物もいただいてきました。
今年は外出する機会も少なくて、山菜をほとんど食べていなかったので、これでもか! と食べて、幸せな時間でした。
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食レポ、向いていな気がする。なんで珍しいキノコの名前を忘れちゃったんだー! というかメモも取ってないぞー! ま、まあいいか。美味しかったし。
何より、大好きな尊敬するご夫婦と一緒に半日過ごせて私は幸せでした。お店に向かう車の中では、先日先生にお借りした、『虐殺器官 著:伊藤計劃』第一章を読んだ感想などをお話ししたりして、そんな時間もとても楽しかったです。
伊藤計劃さんは、2007年に『虐殺器官』で作家デビューしてからわずか2年ほどで早逝した小説家さんです。お茶の先生にオススメされるまで、私は手にとったことのない作家さんでした。昨日読み始め、第一章を読んだところなのですが、その内容がまさに今のウクライナの戦場のようで、大変興味深かったです。
このお話は読了後にまた書きたいなと思いましたが、大変興味深いので、まだお読みでなくご興味のある方は、ぜひ。今、戦場で起きていることが垣間見れるような気がします。もちろんフィクションで、SFですが、それ以上にリアルだと思いました。
そんな本日は、「食レポするならメモを取れ」という戒め標語を最後に残し、一日家を開けた代償としてこれから家事を頑張りますので、この辺で。
*
本日もお読みいただき、ありがとうございました。先ほどご紹介した『虐殺器官』。すべて読んではいないですが、戦場で人を殺していくと、人はどうなるのかが垣間見れた気がして、怖かったです。日常になっていく殺人、それが戦争です。
殺す方も、殺される方も、どちらも幸せな結末にはならない。
戦争のない世界を心から望んでいます。
――黙祷
目の前にある幸せに感謝して。
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