第49話 ハレンチ⭐︎☆モウソウ学園

 僕の名前は二番。中学一年生だ。僕が通ってる学校は、なんだかちょっとおかしい。だって……あ、あんまり大きな声じゃ言えないんだけど、……ね。


 ここだけの話。内緒にしてよ。多分、なんかのテスト校に認定されていて、男の子だけ、性教育が盛んなんだ。いやいや、ぼ、僕はいたって普通の純粋な男の子だけどね!でね、 何がお盛んかというとね、この学校は、入学すると、男の子一人につき、女の子が六人、彼女に指定されちゃうんだ。学校の指定だからさ、僕の好みとかじゃないよ! そ、そこはそう思っててね! そんなある日の僕の出来事をちょっとだけお話しするね。



**********


ある日の休み時間のこと。僕が猛烈に眠たくて、教室の机に顔を埋めて寝ていると、僕の六人の彼女がやってきた。六人の彼女に揺り起こされる僕。もう、せっかく寝てたのに。早速それぞれが僕にして欲しいことを言ってくる。


まずは、バイリンガルのエーコ。アメリカ人と日本人のハーフで、なかなかのナイスバディだ。いや、いたって僕は普通の男の子だから、そこはあんまり関係は、ない。うん。エーコの肩までのびたブラウンヘアーは、ちょっとウェーブしていてとても可愛いが、主張が強すぎるのが難だ。エーコは僕の顔のある位置まで屈んで、僕の背中を指でなぞりながら、


「ダーリン、ねぇ、起きてよぉ。今日は私のAからZまでの全部をくまなく&もらさず、一緒にしようって約束してたじゃなぁい。もう待ちくたびれて、どこまでしたかわかんなくなっちゃうよぉ?」


などと聞いてきた!!な! なんてことを! み、みんなの前で! クラスメイトのクスクス笑う声がちらほら聞こえてくるではないか。それは僕たち二人だけの秘密だろ?!僕はすっかり目が覚めて、エーコから体を遠ざけ、


「や、やめてよ! みんなの前でそんな……あ……」


他の五人が僕たち二人を睨んでる。こ、怖いな、僕のその他の彼女たち。


「えぇ? だってぇ。もうエーコ待てないぃ。もっともっといっぱいして欲しいもん。まだまだ知って欲しいことがいっぱいあるのぉ。早くぅ。もう時間もないよぉ? お昼休み終わっちゃうよぉ?」


さっきよりも僕にくっついて、さらにさらに僕を誘惑してくる。うっ。とちょっと僕が身体を縮ませると、エーコをめいっぱいひっぺがして、知里さんが今度はやってきた。


「もうあなたはもういいでしょ! もう今更遅いわよ! それより、二番くん、私よねぇ。 ねぇ二番くん? 私のどこに何があるか、もっと知らなくていいの? エーコよりも、もっともっと深いところまで、調べさせてあげたいの」


知里さんは、ボーイッシュな女の子。でも、ものすごく!ものすごく!お胸がでかい。そのギャップがたまんないんだけど。って、いやいや、違う、そうではなくて! いつも僕にもっと自分の中にある深いところまで細かく調べて欲しいって、擦り寄ってくるんだ。私の中にある全てって、それ聞いただけでもう、大変な妄想をしちゃうじゃないか! って、ぼ、僕はしないけど。


「二番さん! それよりも、わたくしではございませんか?もう、わたくし待ち疲れましたわ」


さらに横から知里さんを押しやってきたのは、れーきさん。れーきさんは遥か昔から続く由緒正しき家系のご令嬢だ。なぜか、彼女だけは学校の制服ではなく、着物を着ている。校則違反、ではどうやらないらしい。ご令嬢パネェのである。


「二番さん、聞いておられますか? まだ私のこの帯をほどくようなふりをしてくださったくらいしかないではありませんか。もう、時間がございませんの。お着物は脱いだらまた着なくてはいけないのでございますから。それとも、本日はこの辺りで一緒に学校を早退して、わたくしの家に参りますか? それとも?理事長先生に言って、お部屋を貸していただきますか?」


ええ!! なんてことを!!清楚なお顔で!!


「わたくし、この帯の中に、たくさんのものを持っておりますのよ。早く二番さんに全てを捧げて、受け取っていただきたいのでございます。もう、ものすごくそれは、たくさんお伝えしたいことがございますのに。早くめくって欲しくて、わたくし、も、もうぅぅぅ」


やばいやばい、泣き出してしまった! そこまで僕にめくって欲しかったとは!


「わ! わかったわかった! でも、全部一緒にっていうのは、さ、さすがに僕もしたことがないし、それでは誰にも集中できないからさ、ま、まずは、えっと、そうだな、Aから少しは進んで今は組み合わせ技に入ろうかと思ってる、エーコさんをささっと終わらせてさ、そ、それから、えっと、知里さんで、そう!その後は知里さんで! で、その後に、ゆっくり時間をかけて、ゆっくり丁寧にれーきさんでど、どうかな?」


僕はなんとなく、順番を決めて提案してみた。すると、


「ちょっと! 私はもう充分だって言いたいの?」

「そうよそうよ!もう私たちだってもっとして欲しいのに!」

「このままではきっと、一緒にしてたこと、忘れちゃいますよぉ」


と、ちょっときつめで美人なかずこさんと、理系美女のりかさんと、読書が大好きで、眼鏡の中からの上目遣いがたまらない、くにこさんが言ってきた。


えええ!!だって! 僕の身体はひとつなのに! 六人もいっぺんには無理だよぉーーー………



はっ!!

いかんいかん、昨日のサザエさんで自分に前振りした『ラブコメ』考えてたら、変な妄想してたわ!!


しかも、あろうことか、自分の息子で!なんてハレンチなことを!!!


うちは高校生まで男女交際禁止なのにぃ!


って感じなので、反省の意味も込めて、本日の妄想は、この辺で。



CAST


二番くん ―――和響の妄想内の二番くん。決して本人ではない。すまん息子よ。


エーコ―――――英語の教科書

知里――――――地理の教科書

れーき―――――歴史の教科書

かずこ―――――数学の教科書

りか――――――理科の教科書

くにこ―――――国語の教科書


クラスメイト――その他の参考書やテキストたち 





理科と数学はまぁまぁらしい。国語は未知数。漢字を覚えてるかが心配。英語、社会は完全アウト。


テストは休み明けである。おお、バレンタインデー。だから今日はこの妄想だったのか。もうそういうことにして、今度こそ、本日はこの辺で。



本日もお読みいただき、ありがとうございました。


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