第43話 陰キャになりたい和響ちゃん

 ただいま! カクヨム! 今日の家事は長かったぁ! やっとお家に帰ってきた気がする! だって雪の中、お買い物行って、洗濯物を三回まわして干して、お昼にインドカレー作って、今までおでんの仕込みで大根22個も面取りしちゃったのです。今煮込み待ちなので、やっとパソコンに来れたってわけですよ。ふぅ。仕事しながら主婦をしてカクヨムしている方を尊敬します。ほんと尊敬ものです!


 おっとヘッドフォンのボリュームが脳内再生の声より大きいので、ちょっとお待ちを。えっと……あ、ちょっとそれは小さすぎる。もっとこうちょうどいい感じに、ほらそこの横のバーだって、そうそうそれそれ……おお、そんな感じばっちし!いいねぇ、今日もイケイケですねぇ。音楽に合わせて指もダンスダンスできますわ。さて、テンション調節用音響のセッティング完了したところでっと。


 本日のお題ですが、最近漫画やアニメでも「陽気になりたい・・・」やら「コミュ障の・・・」やらと、隠キャなキャラたちが、陽気な仲間と触れ合いながら青春を謳歌するといった物が流行ってますね。うちの子達もその辺のアニメは好きでたまに見ております。ストーリーが可愛くて、結構私も好きなのですが、私は陰キャではなく、多分どう考えても陽キャなので、私のような物議を醸してしまう様な陽キャの物語はないのかなと思い、今日はその妄想を実話をもとに書きたいと思います。あれ? それって妄想ではないのでは? うん、その辺はご想像にお任せしましょう! あんまりにもひどいこと書いてたら、それは妄想ってことでいいんじゃないかと。ではでは、上手く書けるかわかりませんが、行ってみよー!



『隠キャになりたい和響ちゃん』


あるところに和響ちゃんという女の子がいました。和響ちゃんはいつも明るく元気いっぱいです。


和響ちゃんはいつも近所の男の子達と川でザリガニをとったり、ザリガニをとったり、ザリガニをとったり、たまにカメを捕まえたりして遊んでいました。雨でザリガニがとりにいけない日は、近所の女の子の家で紙人形の着せ替えごっこなどをして遊んでいました。


さてさて、そんな和響ちゃんですが、学校ではというと、クラスの誰かと仲が悪いということも特になく、そして誰かと特別仲がいいということもありませんでした。そうです。和響ちゃんは、一匹狼タイプだったのです。


女の子グループに入ったりすることは好きではありませんでした。誰かの悪口を聞いたり、絶対一緒にこれしようねなどと縛られるのが好きではなかったからです。


そんな和響ちゃんですが、小学校一年生の時、掃除時間にプールの裏にいた時のことです。同じクラスのAちゃんが、そこにいる女の子全員を集めて言いました。


「昨日遊ぶ約束してたのに、Bちゃんが約束破ったからみんなでBちゃんの足蹴って〜」


Aちゃんはちょっと気が強くて、誰かがAちゃんの気に障らないことをすると、


「みんなでまるまるちゃん無視しよ。無視しなかったやつも無視するでね」


といつも仲良しグループの中で威張っていたそうです。和響ちゃんはそういうのが嫌なので、仲良く話はするけど、グループには入らないとどうやら決めていた様です。


でも、さぁ大変、そんな和響ちゃんも今ここにいます。和響ちゃんは、


「なんでそんなことするの! やめてよ!」


と、もちろん止めに入りました。するとこともあろうかAちゃんは、


「和響ちゃんにも石投げて!」


と言ったではありませんか。もちろん石は和響ちゃんに飛んできます。和響ちゃんはそれをやめてよと言いながら受け続けました。和響ちゃんは決して石を投げ返しませんでした。やりかえしてしまったら自分も同罪だと、いつもおばあちゃんに教えられているからです。和響ちゃんのおばあちゃんはとっても怖いので、おばあちゃんのいうことは絶対に守らなくちゃいけません。


その日の帰りの会のことです。


「先生! 今日AちゃんがBちゃんの足を蹴ってってみんなに言って、それを止めたら私も石を投げられました!」


さすが和響ちゃんです。頭と口でやり返したのです。この記憶は三十五年後も脳内に忘れることなく記録されているので、きっとこの時から和響ちゃんはこういう性格だったのでしょう。


さて、ここまで読んで皆さんは和響ちゃんがいい子だと思いましたか? 残念。そうではないのです。実は和響ちゃんは家では下の妹にひどいお姉ちゃんでした。


例えば、妹の大事にしているお人形の髪の毛をハサミで切ったり、温風ヒーターでチリチリにしてしまったり。思いっきり蹴っ飛ばして黒くなった足を見て、


「腐ったバナナみたい〜気持ちわる〜」


などという、とんでもなく嫌なお姉ちゃんでした。え?今は仲がいいのかって?そうですね、普通です。


では、その後成長した和響ちゃんはどうなったのでしょう?

続きを見てみますね。


和響ちゃんは小学校、中学校と学級委員などを毎年します。仕切られるより、仕切りたいタイプなのです。そんなわけで、誰ともそつなく仲がいいけれど、よくある仲良しグループがあるわけではありません。


花火大会や映画など、一緒に行こうねなどという話はそういったグループ内で始まる物です。和響ちゃんは所属グループがないので、そういう話をしているなと思うと、


「あ、私も行きたーい」


などと言ってスルッと混ざって一緒に遊びに行くタイプでした。なかなか上手にやるもんだと書いていて思い出しました。でもいつも仲良くグループにいるわけではないので、どっか浮いています。そう感じながらも、なんとかうまく混ざりたいと思っていました。


そんな和響ちゃんは、高校生で初めて彼氏ができました。彼氏というものは二人きりでいるものです。和響ちゃんはついにいつも一緒にいてくれる人を見つけたのです。よかったね和響ちゃん。


でも、高校生男子という生き物は男友達とも一緒に遊びたい生き物です。さぁ大変、和響ちゃんは一人の時間ができてしまいました。ちょうどその頃、その彼氏という人が浮気をしたことがわかりました。というわけで、和響ちゃんは閃きました!


「彼氏は一人じゃなくていい」


そうです。彼氏はばれなかったら一人じゃなくていいのです。その頃の和響ちゃんはモテ期が到来していたので、付き合ってくださいや、一緒にカラオケ行かない?などのお誘いは学校でも、通学中の電車の中でも、バイト先でも、どこでもありました。そういうわけで和響ちゃんは最初の彼氏をその後十年ほどダメ男としてキープしながら別の彼氏が何人かいる時期がありました。多分ちょっと若気の至りです。書いてはいけないやつだと思ったけど、まぁいいか昔の事だしと続けていきますね。


学校では特に仲の良いグループを持たず、学校外ではバイトしているか、誰かと一緒という状況がこうして生まれました。幸せだと思いましたか? いいえ。心に何か大きな穴が開いている和響ちゃんは一人になると、自分を傷つけて生きていることを実感します。


―― なんで私はいつも一人なんだろう。女の子同士の仲がいい世界が私にはないんだろう。でもあっても入りたくはないな。気の合う友達とたまに遊べばいいし。と思ってもなぜか虚しいのはなぜだろう。


和響ちゃんはザリガニをとってばかりいる様な子供だったので、本などは読みません。どこのクラスにも一人はいる様な読書をしている子は多分和響ちゃんの反対側にいる人です。でも、本当はいつも思っていました。


―― 無理して話題を合わせて楽しそうにしゃべらなくても、あぁやって本を読んでいれば自分の世界に入れるんだろうな。ちょっとうらやましい。


和響ちゃんが女の子グループに入れない本当の理由は、入りたくても入れてもらえなかったからなのかもしれません。和響ちゃんは思ったことをすぐに口に出してしまうので、その場を乱したり、その人の心の奥の言われたくないことを指摘してしまったりするのです。


こうして社会人になった和響ちゃんですが、場が読めず物議を醸してしまう陽キャ黒歴史は続きます。


二十代の頃、選挙事務所でバイトをしていた時です。お昼のお弁当でうなぎが出た時、周りの奥様達は、


「わぁ! 今日はうなぎですって! 豪華ですねぇ!」


などと言ってるのに、和響ちゃんは一口食べて、


「うわっ!!どろくさ!めっちゃくちゃ泥臭くないですか!?このうなぎ?お店の人に教えてあげたほうがいいですよ!」


などと大きな声で言ってしまうのですから大変。派遣会社の社長にけちょんけちょんにど叱られました。そうですよね、そこにいる奥様達、県会議員や市議会議員の奥様達ばかりでしたものね、って、え?そこじゃない?ですよね。そういうことがついつい口に出てしまうんですが、本人はいたって明るいし、よく喋るので目立つのです。


―― 目立たない様になればいいのかな?でもどうやったら目立たなくいれるかがわからない。口は勝手に動いちゃうし……


その後の人生も、Mちゃんと会社を共同経営していたときは、そんな私、おっと、和響ちゃんの、普通は見逃して誰も言わない様なことを言ってしまう性格に傷ついたスタッフさん達が、Mちゃんに愚痴を言いにいきます。Mちゃんは私の言ってることは業務上正しいと分かっていることでも、スタッフさん側にいつも立って和響ちゃんに意見します。ある日もう我慢がならない和響ちゃんは、


「Mちゃんは誰の心と頭で生きてるの!あなたの話を私は聞きたいって言ってんだよ!」


と言って胸ぐらを掴み、いい年したおばさん二人で思いっきり喧嘩しました。


こうして、Mちゃんと私はその時も今も、心がいつも一緒の親友、彼氏、彼女??です。


それ以外の仕事、子供会、スポーツ少年団、ありとあらゆる場所で、このエッセイのまんまの和響ちゃんは、思いついたことを指摘してしまいます。それはとても物議を醸し出し、結果、いつも和響ちゃんは家で泣いてしまうのです。


―― またやってしまった。なんでいつも目立つことをしてしまうんだろう。言わなかったらなんともないのに、心に嘘をついて言わずにいることができない。あぁ、普通に、モブになりたい。誰か私をモブにしてください。でも本当はモブなんて誰もいないんだけどね。


そんな和響ちゃんに仲の良い友達や愛する夫はいつもこう言います。


「絶対無理だから、あきらめろ」


周りから見た和響ちゃんはとても幸せで楽しそうに見える様です。でも和響ちゃんは、とても幸せで楽しい毎日はそうなんですが、ひっそりと隠れて、あまり外に出ず、特に親しい友人と、愛する家族だけで繰り広げられる毎日を楽しみたいと思いました。


こうして和響ちゃんは約二年間ほど引きこもり主婦をしておりましたが、最近はカクヨムでとても楽しい時間を満喫している様です。


そうです。ここはまさに天国。最高です。カクヨム。

なんと和響ちゃんはカクヨムで、お友達やお姉さんやお兄さんだと思う様な人たちにもたくさん出会えている様です。と、勝手に思っているのですが。


でも来年度はPTAです。ついにPTAです。こないだ行った初めての会議では、やはり先陣きって目立ってしまいました。多分誰よりも。


でも、もう和響ちゃんは泣きません。目立ちたくないのに目立ってしまうのはもうそういうオーラが出過ぎているのです。もうしょうがないことです。本を読んで静かに自分の時間を楽しんでいるクラスのあの子の様に、崇高にはなれないのです。もうこれは、致し方ない。


来世ではそんな崇高な人生を静かに送りたいです。



めちゃくちゃ長くなったと、今初めて気づきました。

右下のカウンターも今日はツッコミを入れず、黒歴史を暴露させてやろうかと思ったのでしょうか。忌々しい。こういう時こそいつもの様にうるさく文字数言ってこれば良いのに!


というわけで、隠キャがうらやましいけど、絶対なれない和響ちゃんの悩みでした。カクヨムという天国で物議を醸してしまう前に、この辺で。長々と書いてしまったものをお読みいただき、ありがとございました。(過去最高かもしれん)

 

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