第113話 ヘルズテーブル地方異常アリ

『ということで、ヘルズテーブルの侵略と地上げが完了したんだなもし。これから僕が雇ったバイトの小邪神群が降ってきて、土地の改造を始めるんだなもし』


「とっても侵略者らしいトークだ。それってアレなの? 自然環境が破壊されちゃう?」


『その逆なんだなもし。毒の沼地とか地獄みたいな密林とか、そういうのを安全なリゾート地みたいにするんだなもし。それで星の外からお客様を呼んで、観光でウハウハになるんだなもし』


「逢魔卿とかに迷惑は掛からない? 掛かるならお客様ゲットするけど」


『そ、それは困るんだなもし!? 星間問題になるんだなもしー! 逢魔卿は実はうちのスタッフとして働いてもらうことになってるんだなもし。ヘルズテーブル地方の責任者なんだなもしー』


 そんなことになっていたのか。

 ヘルズテーブルを支配する魔人侯のうち、五体を下した俺。

 残る一人である逢魔卿とは同盟を結んだし、これでこの地域は俺とヌキチータのものになった。


 ヌキチータの目的は、ヘルズテーブルを一大観光地にすることだったらしく、その計画が今動き始めたということだった。


『ただ、タマルさんがあまりにも有能に働きすぎたので、世界が主をタマルさんだと認識してるんだなもし』


「ヌキチータは事務所でふんぞり返ってるだけだったもんな」


『ゴッドモジュールのプログラム作ったり、あちこちと折衝したりしてたんだなもしー! ただ、仕事の比重としてタマルさんがダントツで働いたので、宇宙の法則がタマルさん優位とジャッジしたんだなもし』


「ということは、最終決定は俺のハンコが必要?」


『そうなるんだなもし。ここに拇印を』


「よっしゃ」


 親指に朱肉を付けて、ぺたっと押す。

 宇宙共通の承認印は、拇印なのである。


『お疲れ様です。お茶とお菓子をお持ちしました』


 ハイドラは大変気が利く。

 お菓子を食べながら、ヌキチータとの会議は続行だ。


「じゃあ、開拓はここで終わり?」


『一旦この辺りで止めておいていいと思うんだなもし。問題は……』


「問題は?」


『ヘルズテーブルの噂は、ドクトル太郎さんに伝わるくらいにはこの辺りの宇宙で知れ渡っているんだなもし。そうすると、素行の悪い邪神とかがちょっかいを掛けに来る可能性があるんだなもし』


「ほうほう」


『そういう不良邪神は、自分の支配する世界観ごとこの星に降りてきて、世界のテクスチャーを上から貼ってしまうんだなもし。そうしたら観光地としては台無しなんだなもしー!』


「ははあ、所有権が曖昧だし、創造神があんなになったヘルズテーブルだからこそ、そういう良くないのが利益をかすめ取りに来るわけか」


『そうなんだなもし。タマルさんにはまだまだ仕事をしてもらわないといけないんだなもしー!』


「うむ。つまりは、平定されたこの世界に生えてくる邪魔な雑草を引っこ抜くお仕事ということか!」


『平たく言えばそうなんだなもし。邪神を雑草扱いはどうかと思うんだなもし』


 そう変わらないだろう。

 だが、邪神には直接アプローチができないのが問題だ。

 オリハルコンの虫取り網になれば一撃でゲットできるが、それには世界中の生き物をゲットしないといけないし。


『あ、そうそうタマルさん! ここに生き物図鑑機能を付けたんだなもし。これで虫取り網でゲットできる生き物が全部分かるようになったんだなもし』


「有能!」


 早速開いてみる。

 すると、俺が今までゲットした生き物が提示された。

 ふーむ、退廃帝領だった時に遭遇した、仮面の山賊みたいなのもゲットしないとなんだな。


 これまでの旅で、世界に存在する生き物の五割を捕まえたことになるようだ。


「道は長いな。邪神ゲットはずっと先だ」


『邪神をゲットできない時は、彼らが持ってきた世界観をぶっ壊せばいいんだなもし。タマルさんの得意分野なんだなもし』


「ほんとだ! 天地創造スキルが唸りをあげるな」


『そうなんだなもしー! あっ、新しい舗装素材もできてるから持っていって欲しいんだなもし!』


「どれどれ……? 花畑!!」


『まあ素敵!』


 ハイドラがにっこりした。


「道のりを全部花畑にしてしまう舗装か。これなら見た目も平和だし、邪悪っぽい世界観をぶっ壊すのにも向いてそうだ」


『ということで、今後も頼むんだなタマルさん! あっ、それから』


「まだあるの?」


『50000ptで馬車をさらに拡張できるんだなもし。専用アイテムボックスを設けて、1000種類までアイテムを保管できるようになるんだなもし』


「お願いしますよ!!!」


『即決!』


 ここで、稼いできたポイントと羅刹侯爵関係のポイントが全部なくなったよ!

 後でポタルからぶうぶう言われることになるだろうが、それはそれだ。


「邪神が降りてくるまでは、俺はのんびりしてていいのかな」


『そうなんだなもし。ヘルズテーブルを安定させて開発していくために労力を裂かないといけないんだなもし。タマルさんはこっちを手伝って欲しいんだなもしー』


「よしきた。スローライフをあまねく広めていくこともまた、俺の仕事だろうからな!」


 俺はスローライフの伝道師となったのである。

 さあ、ようやく本格的スローライフの開幕だ。



▶称号

 スローライフ王(これまでのものがまとめられました!)

 スローライフの伝道師


 UGWポイント

 0(素材を売り払いまくってツケもギリギリで0)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る