第154話 最下位、分かってますよね

<ク ロ>『さあ、ここからは再起不能になったマネちゃんに代わって僕が進行役を務めるよ。一回こういうのやってみたかったんだよね』


ステージの角で小さくなっているマネちゃんを尻目にクロはそのまま司会として企画のエンディングへと舵を切る。


<ク ロ>『それじゃあ、早速になるけど最下位の発表を審査員の二人からお願いします!』


その言葉を聞いた瞬間、器用に耳だけをピクリと反応させた後、小さくなっていた体を元のサイズに戻しながら息巻いた。


<マネちゃん>『そうです。そうです!今回の勝負は最下位にデメリットがある!だから私は!』


<六道>『お前はまずもって不合格だ。順位争いのステージに立ててすらいないんだぞ?』


<マネちゃん>『なんでですか!?アインさんより先に判定をもらっていたのだから、最下位はアインなのでは!?』


<六道>『仮にお前の理論で話を進めてたとしても、メニュー違いで失格だこの野郎』


<マネちゃん>『え~それはないですよぉ~』


<六道>『これはお料理対決なんだぞ?何で調理済みを買ってくるんだよ!作れよ!料理しろよ!』


<ゆ い>『ということで、最下位はマネちゃんです!』


<アイン>『よしゃー!』


何とか奇跡的に最下位を免れたアインは観客達にサムズアップして見せる。


<ゆ い>『そして、マネちゃん』


<マネちゃん>『ど、どうしたの?』


<ゆ い>『ボクはとある権利を持ってるんだ』


<マネちゃん>『そ、それはどんな権利なんだろ?』


言葉の節に現れる違和感が拭えないマネちゃんは不安の色を強くして聞き返す。


<ゆ い>『重大なルール違反をした人に対して、罰ゲームを追加することが出来る権利だよ!そう、例えば...メニュー違いとかね』


<マネちゃん>『ゆいちゃん!?』


不敵な笑みを浮かべるゆいを見て、更に不安げな声をあげる。


<ゆ い>『それでは、判決を下します!』


ここぞとばかりにガベルが2回叩かれるSE流れる。


<ゆ い>『後日!ソロでの歌ってみたを制作すること!』


<マネちゃん>『うそだ!』


<シ ロ>『いい案ですね』


<ラムネ>『そう言えばマネちゃんの歌声をちゃんと聞くのは初めてかも』


<アイン>『新しく挑戦をするのはいいことだね!』


<マネちゃん>『なんでみなさん乗り気なんですか!?いやですよ、嫌ですからね!?』


<ゆ い>『がんばれー』


ゆいの若干投げやりな対応は、まるで普段の仕返しとでも言うような物を感じてしまう。


それから、マネちゃんが歌う曲は何にするかなど、かなり前向きに話は進んで行き始める。


<マネちゃん>『ちょっと!?ホントに勘弁なんですけど!?』


...当の本人を蚊帳の外にして話は着々と進んでいくのだった。

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