第113話 母さんがボクの家に来た!

そこからの行動は自分で言うのもアレだけど、早かった。


その日のうちに父さんとお姉ちゃんに連絡を取って、母さんと会うための算段を立てた。因みにこれはボクと母さんの一対一ではなくて、父さんとお姉ちゃんも混ぜて話す。所謂、家族会議というものだ。


話す場所はなんとボクの家になった。

これでいいのかと父さんに聞いてみたら、「確かに不安要素はあるけど、ここが一番良いと思う」とのことらしい。


母さんの方に父さんが連絡をしたら、「日付や時間はそちらに任せる」と返事が返ってきた。ボクたち三人のスケジュールを確認して、会う日付は3日後と決まった。


◇◇◇


そして今日がその日。とうとう母さんが来る。


早いうちに掃除とかも終われせていたので若干時間が余ってしまったので少し作業をやろうとパソコンを立ち上げるも、作業にあまり集中できなくて五分もしないうちにやめてしまった。


他に暇つぶしができるようなものが無くて、手持ち無沙汰になっている時、とうとう家のインターホンが鳴った。


息をのみながら恐る恐る返事を返す。


「は、はい」


『お、ゆうき!来たぞー』


モニター越しに見える顔は母さんではなくてお姉ちゃんと父さんだった。


そのことに少しほっとしながら二人を家に入れた。


「ゆーくん大丈夫?」


「う、うん」


「確かに緊張するのもわかるが...今日、お前にやってもらうことは単純で簡単だ。それにお前がやることは俺たちには出来ないからな...ゆうきの意見はゆうきにしか分からない。今日お前はそれを全部恵子にぶつければいいんだ」


「...うん」


それから少し三人で雑談をしているともう一度家のインターホンが鳴った。


今度こそ母さんだろう。


また息をのんで返事を返す。


「はい」


「ゆうき、来たわよ」


モニターに映る母さんは短く返した。


「今開けるね」


そう言ってボクは急いで玄関のカギを開け、母さんを家の中に招き入れる。


「ゆうき...結構すごいところに住んでるじゃない」


「父さんが見つけてくれたんだ」


玄関やエントランスを見た母さんがそう感想を言った。


「やあ、久しぶりだね。恵子」


「ええ、久しぶりね。りんとさん。それに蒼も」


「そうね、たぶん4か月振りくらいかな?」


久しぶりの家族の再会にしては硬い会話。

例えるなら、前まで何気なく話していた友人に久しぶりに会ったら何を放せばいいかわからなくなった。見たいな感覚に近い。


「早速本題なんだが...」


急に話を切り出す父さんに待ったをかけた母さん。


「確かにその話をしに来たのだけど、その前にゆうきが暮らしている家を少し見てみたいわ」


思ってもいなかった提案が母さんから出てボクは少し目を開いた。


てっきり、早く本題を済ませて帰ると思っていたのに...


「...だめなら別に構わないわ」


眉を少し下げながらいう母さん。


ボクの家に来てから思っていたのとは違う反応を多く示す母さんに少し驚きつつも、別にみられて困るような物は無いので「大丈夫」とボクは返事をした。

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