第77話 は、初めまして!【コラボウィーク3日目】
アイン先輩の料理スキルが壊滅的なことが白日の下にさらされてから一夜明け今日。
コラボウィーク3日目のこの日はオフでの配信となるので、ボクは事務所に来ていた。
案内されたスタジオには今回初めて言葉を交わす同じセカプロ所属の一期生のシロ先輩・クロ先輩が待機していた。
セカンドプロダクション一期生。シロ&クロ。白い衣装に腰まで伸ばした綺麗な銀髪の少女がシロで、反対に黒衣装に肩ほどで整えている黒髪の少女がクロだ。二人で同じチャンネルを運用しているという企業勢でも珍しい人たちだ。
二人はゲームを最も得意としており、その腕はVtuber界でも五本指で数えられるほどの実力を持っている。
何よりの強みは苦手なジャンルがないことだ。誰しも苦手なゲームがある中、うまいかどうかは抜きにしてもどのジャンルでも一定以上の実力を発揮することで有名である。
「私がシロ。
最初に自己紹介してくれた人がシロ先輩で、アバターと同じように銀髪ではないものの背中まで伸ばした綺麗な黒髪が印象的な人だった。
「僕がクロだ。
クロ先輩はウルフカットのような髪型をしたクールな雰囲気を持つ人だった。
「ぼ、ボクは氷柱ゆいです。本名は水瀬ゆうきです...えっと」
「ゆうきが言おうとしていることは分かる。僕たちはこっちでも双子でね」
「一卵性なので余計に容姿が似ているのよ」
軽く自己紹介が終わったところで今回のコラボについての話し合いをするつもりだったのだが、企画はシロ先輩たちが考えてくれたみたいで、内容については本番まで秘密だという話。今までのことを考えると不安が出ては来るが、この二人は変なことはしないだろうという謎の安心感がボクを納得させた。
◇◇◇
<シ ロ>『みんなこんばんは。シロよ』
<ク ロ>『みんなこんばんは。クロだ』
<ゆ い>『今日はこっちにお邪魔しています。二期生の氷柱ゆいです』
【コメント】
:このチャンネルにしては珍しく長い挨拶だった
:二人ともいつも手短だからね~
:コラボウィーク中全部に出演するゆいちゃん
<ク ロ>『ちなみに今回は事務所からの放送になっているよ』
<シ ロ>『ここまで言えば察しの良いみんなならわかると思う』
<ゆ い>『初対面の先輩との初コラボがオフになってしまって緊張してます...』
<シ ロ>『そんなに緊張する必要はないわ』
<ク ロ>『その通り』
因みに今回のオフコラボを決めたのはみんなお察しの通りマネちゃんだ。
<シ ロ>『今回のオフは私たちの方から誘ったの』
<ク ロ>『人見知りっていうことは知ってたけど、実際にあってみたくなってね。迷惑だったらすまない』
<ゆ い>『た、確かに緊張はしますけど、迷惑なんて思ってないですよ!』
<シ ロ>『それは良かったです。ねえクロ』
<ク ロ>『うん。前から思っていたけど...』
<ゆ い>『な、なんですか?』
<シロ&クロ>『実物はもっとかわいい』
<ゆ い>『ええ!?』
二人はそう言うとゆいを撫で始めた。
<ゆ い>『ちょちょ!?』
<ク ロ>『あ、もしかして撫でられるのは嫌いだったか?』
<ゆ い>『そんなことは...ないけど』
<シ ロ>『なら問題ありませんね』
:カメラぁああああ!
:てぇてぇ
:切り抜き班!
:初の絡みでこれか
:クールな二人が!
企画の説明がないまま時間が過ぎていったのはもう少し後に気が付くことだろう。
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