第61話 兆し?

3Dライブまで残すところあと三日。それでもボクの本業は学生なので、今日も今日とて学校に来ているボクであった。


「おはよ~」


「お、ゆうきじゃん。おはよー」


教室に入ってみんなに挨拶をする。そうするとみんな挨拶を返してくれる。みんなにとっては当たり前のことかもしれないけど、前の学校で完全ボッチだったボクにはとてもうれしいことだね。


「ゆうきくんさ、最近綺麗になった?」


「へ?」


いつも話す女子からそんなことを言われて間抜けな声が出てしまう。


「いやあね?男の子のゆうきくんにこういうのもあれだと思うんだけど...もしかして最近スキンケア始めたの?」


「す、すごいなぁ...そう、最近始めたんだよね!まあ...男らしくないよね」


「そんなことないよ!ゆうきくんはすごくいい物を持っているんだからさ!磨かないと損だよ!」


「そういってもらえると嬉しいかな?」


それよりもすごいなぁ~やっぱり女の人はすぐに気が付くのかな?なのに気が付いちゃうなんて


感心しながらボクは授業の準備を進めるのだった。



◇◇◇


ゆうきの席からすこし離れたところで集まる男子の面々。


「なあ、最近さ...ゆうきが変じゃね?」


神妙な顔をして話す男子たち。部活でも活躍する彼らがあのような顔をするということは何か問題でも起きたのだろうか。


「あ、やっぱお前もそう思うか...あれだよな」


「ああ、なんか...」


「「「かわいく見える」」」


...別にそんなことは無かったようだ。


「確かに最初も男って言われないとわからなかったけどさ...」


「最近はそれに磨きがかかった感じしない?」


「「うん」」


「なんか仕草とかもさ、女子みたいになってる気がするのは俺だけなのか?」


「言われてみれば...」


「声も少し高くなった気がするぞ」


「服をそれっぽくすると完全に女子だな」


平和にそんな話をしているが、彼らはまだ知らない。男の娘にハマりかけていることに。



◇◇◇


「あ~やっと終わったぁ~」


つい先ほど本日最後の授業の終わりを告げる鐘が鳴った。今日はボクの苦手な科目が多くて、まあまあな体力を使ってしまった。


「おつかれさん。どうしたんだ?今日はそんなに疲れるような内容」じゃなかったはずだったとおもうんだけど...」


いつもの調子で昌くんが話かけてきた。今日の授業が苦手科目ばかりだったということを話すと笑われてしまった。


「全科目80オーバーが何を言っているんだか」


「それでも、苦手な物は苦手なんだよぉ!」



しばらくしてボクは学校から帰宅しながら配信の内容を考える。


もはやこれが毎日の習慣というまでになっているのが不思議だ。三か月くらい前まで

Vtuberになるなんて想像していなかったのに。


それは置いておいて...


(さて、今日は何話そうかな~♪)

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