第27話 ラムネ先輩とコラボ配信するよ!【改稿しました】

担当さんことマネちゃんに乗っ取られた配信から数日。ついに初コラボの日がやってきてしまいました。

コラボは事務所にあるスタジオで行うからと六条さんからあったので、今ボクは言われていたスタジオルームの扉の前に立っていた。


「ううぅ...お、落ち着けボク。大丈夫だから....多分....」


受付の人曰くコラボ相手である、一期生の星空ラムネ先輩はもうスタジオについているらしく、緊張しないためにもボクが先に入って居ようと思っていたのだ。


一様決意ができたボクはスタジオの扉を開けた。


「し、失礼しまーす」


中に入るとそこには誰もいなくて、マイクやカメラを始めに見たこともない機材が備え付けられている空間が広がっていた。


「す、すごい....」


ボクも男の子の端くれ。こんなに機械があったら探検せずにいられないのだ!


「なんだろうこれ?人の頭みたい...」


少し中を見渡すとマネキンの頭みたいな何かがおいてあった。


「それはバイノーラルマイクよ。気を付けてね?ざっと数えて100万くらいするから」


興味本位で伸びていた手をすぐに引っ込めた。


「うわっ!ご、ごめんなさい!」


「あ、あら、そんなに驚かせるつもりではなかったのだけれど...ごめんなさいね?」


「い、いえ...大丈夫...です」


「リアルでは初めましてかな?星空ラムネの魂をやっている桐山あかねきりやまあかねです。よろしくね」


「あ、えっと...ボクは氷柱ゆいの魂をやらせていただいている...ええっと.....」


「ゆうきくんだよね?社長から聞いているわ」


綺麗な茶髪を腰まで伸ばしているこの人はまるで親戚のお姉さんの様に話しかけてくれた。


ここで出てきた『魂』というのはVtuberの中の人を意味する言葉で、昔はキャラクターの声優さんをそう呼んだこともあったと聞いたことがある。


「今回のコラボは歌枠のつもりでいるけど、大丈夫かしら?」


「ボカロ曲ぐらいしか分からないですけど...大丈夫ですか??」


「全然大丈夫よ!それから、今回はゆいちゃんの歌練習を兼ねてやるからたっっくさん歌うわよー!」


意気揚々と準備を始めた桐山さんは慣れている機材関係を、ボクはここに置いてある設備の9割がわからないものだったので、告知とサムネ方を担当することになった。


◇◇


氷柱ゆい/セカプロ2期生 @Turara_Yui


この後13時からラムネ先輩とコラボします!

先輩が歌を教えてくれるって言ってくれたから、怖いけど頑張って歌うからみんな見に来てね!


◇◇


(ピピッターの方はこれで良しっと)

お互いに配信準備が終わり軽く雑談をしていると、もう配信をする時間になっていた。


(...桐山さんは本当に話し上手で聞き上手だったから、気が付いたらボクが一方的に話しているような気がして恥ずかしかったな)


◇◇◇


<ラムネ>『皆さんこんばんは。セカプロの一期生の星空ラムネです』


<ゆ い>『しずねえ、しずにいのみんなこんばんわ!氷柱ゆいです』


<ラムネ>『今回はコラボ回ということでやっていきますよ!』


<ゆ い>『り、リアルでも一緒にいるから怖いよぉ』


<ラムネ>『皆さんが可愛がる理由がわかりましたよ!もうリアルであっても可愛いっ!!』


<ゆ い>『わわっ!くすぐったいよぉ//』


新しいCPの波動を感じ取った視聴者たちだった。

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