第18話 アルビノ美少女
「ふえ? お、お姉ちゃん?」
「裏切り者ぉおおおお!! やっぱりアンタもハーフよりアルビノがいいのか!? アタシよりもその女を取るのか!!? 子供は認知しなさい法廷で聖戦ジハードよ!!!」
どうしたアリス一体何を錯乱しているんだ!?
これが前にアリスが言っていた舞踏病なのか? 確か舞曲タランテラを流せば治るんだよな、カバンの中に津軽(つがる)三味線(しゃみせん)のCDと妹ボイスVol.9のCDしか入っていない俺を許してくれ。
「ヤマト君いつのまにアリスちゃんと子供作ったのさ!? わたしにはキスもしてくれないのに!!」
「オレ様とのあの熱い一夜は遊びだったのかだぜ!!!」
マズイ、混乱してイヨリまで変になっている。
そりゃ親友が俺の子供を妊娠したとなれば驚くだろうが後半の言葉は意味不明だし、ヒデオも便乗して余計話を変にするな!
「ヤマト君とヒデオ君てそういう関係だったの!?」
「そうだぜイヨリ、ヤマトは男色家なんだぜ、だからヤマトとアリスはなんの関係も無いんだぜ、だからイヨリは安心していいんだぜ」
「ヤマト君が男色家ならわたしも困るよ~!」
「イヨリ、俺は誰とも何もしてないし女子にしか興味ないから安心しろ」
子供のようにべそべそと泣きながら「ほんと?」と聞いてくるイヨリが殺人的に可愛いがここは我慢だヤマト、いやむしろこの空気はやれちゃう空気なのか?
キメろ男ヤマト、目の前にはアホ毛の揺れるエロボディ幼馴染、出陣は今この時だ!
「このスイカ甘くておいしいんだぜ」
「空気読めよ筋肉バカ!! 何急にスイカ食ってんだよ!」
「みんなの話聞いててまだ食べてないのを思い出したんだぜ」
「ここで会ったが百年目! さあおとなしくマリーアントワネットのようにギロチンにかかりなさい! むしろ私よりも大きな女はイヨリを含めて全部女王マリーと同じ末路を辿るがいいわ!!」
「お前らどんだけマイペースなんだよ!? てかなんでイヨリまでギロチン刑なんだよイヨリはアリスよりも背低い、ああ大きいって背じゃなくてむ」「言うな!」「ひでぶ!!」
顔面にパンチ、みぞおちに肘鉄、最後にスネ蹴りで俺の足を払って仰向けに倒すとそのままマウントポジションを取り、どこからか取り出した乗馬用のムチを顔目掛けて振り回す。
「女の敵めぇえええええ!!」ビシバシビシバシビシバシ!
「にぎゃあああああああ!!」
くそ! せっかくのローアングルなのにアリスの胸じゃ下乳(したちち)成分ゼロじゃないか!
イヨリとの交代を要求する!
そしてあの縦横無尽に揺れる暴れ乳を俺の物に!
「そうだ、ヒデオ君がいなくなればヤマト君はわたしの物に!!」
「ぶべらっ!!」
「……みなさんてお仲間なんですよね?」
『そうだよ』
「……そうですか」
なんだ今の質問は、今の俺らのどこに仲間じゃない要素があったっていうんだ?
「それでですね、みなさんにお伝えしたい事がありまして」
「アンタと話す事なんて何もないわ! アタシが求めるのは死刑のみよこの白髪女!!」
そんな王政じゃ三日天下確実だな……って、白髪女? そういえばさっきナンバ先輩の容姿を説明している時に何か変なのが混ざってたよな、えーと確か〈純白のロングヘアー〉〈真紅の瞳〉……もう一度ナンバ先輩を見直す。
「…………」
「どうかしましたか?」
「アルビノだぁあああああああああああああああああああああああ!!!」
俺の絶叫にナンバ先輩は全身をビクリと大きく震わせて悲鳴をあげる。
マジだ! マジでアルビノだ! まさか俺が生きている間に本物を拝める日がくるとは思わなかった。
だから俺は心から叫んだね。
「俺のお姉ちゃんになっ」アリスに首をひねられ俺は畳に沈んだ。
「アルビノ? なんなんだぜそれ? ブリーチとカラコンの種類か?」
「生まれつき色素が無い生物の名称よ! だから皮膚も髪も真っ白! 瞳も血の色が透けて真っ赤っか! 今まで英国人とのハーフとして誰よりも注目されてきたのに高校で『でもナンバ先輩のほうが珍しいよね』とか言われたアタシが今までどんな気持ちでいたかアンタに分かる!?」
そういう事かよ、まあアリスの金髪青目は綺麗だけどナンバ先輩の白髪紅目のほうが綺麗だしな。
しかし眼鏡とかお嬢様とかハーフとかアリスの自己顕示欲は自ら魔王を名乗る信長級だな、アリスくらい美人だったら十分注目されてると思うけどアリスはオンリーワンよりナンバーワン思考だから仕方ないだろう。
なんて俺が考えている間にも先輩はアリスに責め立てられて震えっぱなしだ。
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