Shooting Star

 彼女の誕生日が4月5日。

 私の誕生日が、3月22日。

 一年近く違うのに、同級生。


 彼女はそれをいつも笑う。

「だから私よりも、恵奈は小さいんだね……何もかもが」

 身長も、胸も、足の長さも全部負けてる。

「同じ日に生まれたとしても、負けてると思うよ。頭以外は」

 愛情と皮肉を混ぜた言葉を、最高の笑顔で返してあげると、彼女は喜ぶ。

 ただの変態でしかない。

 でも、それを見てもっと笑う私は相当な変態だろう。


「生まれた日は違うなら、死ぬ日は一緒がいいな」


 一点の曇りもない瞳で彼女が笑う。

 彼女の首筋から香ってくる死の匂いが色濃くなるその瞬間に、私は笑う。


「そうだね」


 この時、私がどんな瞳をしているのかわからない。

 けれど、彼女が笑っているのだから、最高の笑顔を返しているのだろう。

 だって、本音だから。

 嫌味なんてない、純度100%の本音。

 彼女が少しだけ鼻を鳴らした。


 私の首筋からも死の匂いが出ているのかと思うと、頬の筋肉が緩んだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る