第8話 ノエルとの再会

 翌日、俺はノエルと会う事ができた。

 彼女の傍には長身の地球人と小柄な少年がいた。


「ご迷惑をおかけしました」


 ノエルはペコリと頭を下げる。


「いや、こちらこそ申し訳ない。俺たち沿岸警備隊がすぐ傍にいたのに、いいようにやられちまった」


 俺も頭を下げた。


「詳しい事情は高橋隊長にお話してありますけど、何かお聞きしたい事、ありますか?」

「そうだね。彼がすんなり帰って来れたのはどうしてかな?」

「それはですね。着ぐるみタクシーの運転手さんが気を利かせてくれたんです」

「着ぐるみタクシーで逃げてたの?」


 これには驚いた。着ぐるみタクシーと言えば、金さえ払えば誰でも何処にでも運ぶタクシーだから、犯罪者とは相性が良いはず……。


「運転手さんがね、タクシーを警官隊の前に故意に停車させたんです。でね。『俺は殺しだけは許さねえんだぜ』って啖呵切っちゃって。ああ、格好よかったな。トドの運転手さん」


 なるほど、運転手の矜持ってのもあるのか。たとえ犯罪者に目をつけられても、着ぐるみを変えれば仕事は続けられる。


 何はともあれ、とりあえず事件は解決した。

 今日から再び『湖畔のリゾート』生活が始まる。しかし、クリスの面倒だけは欠かさないようにしないといけない。そう心に誓った。

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睦月班長の午後は妙に騒がしい 暗黒星雲 @darknebula

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