第9話 死にたい私と温もり
「お待たせしました。カフェオレのホットとキャラメルラテのホットです」
「やったー!」
「ありがとう」
「それにしても
「別に遊んでたわけじゃないです~。ここ三日間はちゃんと勉強してました〜」
「ほぉ〜、なら……」
挑発的な
「なっ……いつも一夜漬けの
「ふふっ! あたしってやればできる子だから!」
完全に勝ち誇った顔をする
「こりゃ、二桁順位目指せるんじゃないか?」
「そう? まぁ確かに全教科ある程度できるようになったしいけるかも」
「
調子に乗っている
私たちが通う高校は三百名近くの生徒が通っている。順位が真ん中より下の
「
「えっと、終わってない課題とまだ習ってない範囲をさらっと予習させたくらいかな。あと重要そうなところの暗記」
ここ三日間にしたことを思い出しながら口に出す。予習と言ってもテスト範囲のページを読ませて、週明けの授業で定着しやすくするためにしただけだ。
「そうか……やっぱり二桁に行けるんじゃないか?」
「え?」
それでも意見を覆さない
「
「確かに言ったことは大体すぐに覚えていたけど定着は無理じゃない?」
「それができるのが
私なんて勉強して半分定着していたらいい方なのに。そのスペックが羨ましい。
「もう、そんなに見つめられたら恥ずかしいよぉ〜」
「ご、ごめん」
目が合って思わず視線を外した。それにしても
中間テストは来週火曜日から金曜日までの四日間。
私にとっては一週間しか……だけど。もうすぐ一週間を切るんだ。そろそろ追い込みを始めないと。
「今日は初めて見るお客さんがいるなぁ」
「あ、マスター」
声と共に奥から若い男性が現れた。見た目は三十代くらいで、お父さんよりは確実に若い。私の中のマスターは老けた印象があるので違和感を覚えた。悪いけどマスターよりも店員という言葉の方が似合うと思う。
「
「はい! クラスメイトの
「
マスターさんに顔をマジマジと観察される。あまり異性の視線に慣れていないので恥ずかしい。
「マスターさん、それ
「あぁごめんごめん」
「可愛い子じゃないか。
「ちょっ! マスター⁉」
「大丈夫、お似合いだよ」
「なんの話してるんですか!」
珍しく動揺する
「え! 二人って一緒にご飯食べてたの⁉」
「つい最近はな」
「
「中間二週間前に勉強がてら、昼休みに屋上行くと
「ぼっち飯なんて言わないでよ……」
「
「でも
「そうだけど、
私の左手が
温かい……人の手ってこんなにも温かいんだ。
「ありがと、でも気持ちだけもらうよ。私はいつも勉強ばかりしてるし」
「そんなの気にしないよ。あたしは
そんな嬉しいことを言われて断れるほど私は強くない。だから
「うん。分かった。本当に、ありがとね」
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