第2話 角どうよ?
「皆の衆、よくぞ参られた。今日、貴殿らに集まってもらったのは他でもない」
角のとがったデビルの少女が言った。
「いや、私以外だれもいないのだけれど」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「おいおい、水をさすなよ。雰囲気だよ雰囲気。それぐらいに重要な話があるということだ」
「随分とハードルを上げなさるのね。自己責任で飛び越えなさい」
「走りながらは無理だな。せめて高跳びの要領で」
「背中の羽は使わないのね」
「いや、これ使っても大して飛べんぞ」
「ホント? じゃあその羽は何のためについているのよ?」
「飾り」
「ダサ」
「うぉい! 辛辣にも程があるコメントだな!」
「背中に羽なんて今時流行らないわよ」
「なにを世迷い事を。お前も生えてるじゃないか、そのあるのかないのか分からないくらい透明な羽が」
「あるのかないのか分からないのなら、別にあってもなくても同じでしょ」
「む? ……それはそうか」
「嘘? 信じられないわ、今ので納得するなんて」
「常識では計り知れないのが、アタシという人間さ」
「流石。計測器も煙吹いて爆発することでしょうね。というかあんたって人間なの?」
「まあ、正確には違うな。俗にいう半人前という奴だ」
「言葉の使い方間違ってる。流石、魔族」
「誉めてもアメしか出んぞ。ほい」
「ありがとう。いや、誉めてないけど」
「そうなのか?」
「そうよ。で、何よ重要な話って?」
「ん? ああ、このアタシの角……どうかなっていう話?」
「別に……素敵だと思うけど」
「お、おう。ありがとう」
二人は喫茶店をあとにした。
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