第66話

宰相の言葉が切れるタイミングを待つ。


私の疑問も晴らしてもらおう。




「では陛下、このもの達と離れの侍女。他にもいないか確認したいと思います」


「そうだな・・・ネズミの駆除は早い方がよい」


「では・・」




「陛下、私からもよろしいでしょうか?」


「姫?」


「口を挟むような不躾なことを・・・申し訳ありません」


「構わない。どうかしたかな?あのもの達の処罰に希望があるかな?構わないぞ。姫の希望も聞こう」


「処罰に関しては陛下と、この国の法律にお任せします。そうではないのです。私の部屋の事で気になることがあって」


「何でしょうか?」


宰相も気になるのか先を促される




「もしかしたら、防犯用なのかもしれませんが・・・」


聞くつもりでいたがいざとなると尻込みをしてしまって予防線を張っておこう


「防犯用?」


陛下は心当たりがないのか疑問形だ。宰相も同じ様子、騎士さんだけは違う反応だった。こう見るとやっぱり陛下は知らないのかも


私はその様子に安心し、続きを言ってみた


「私の部屋にある鉄格子の事ってご存知ですか?」




「「鉄格子?」」


怒り心頭だった陛下も、冷静な宰相も声が裏返っていた。やっぱり知らなかったのかな〜




「姫、鉄格子と言うとあの、鉄格子か?」


「牢とか脱走できないようにしている、あの鉄格子ですか?」


細かい説明ありがとうございます、宰相




「はい。私の認識ではその鉄格子です。」


陛下と宰相は、いやこの部屋にいる全員が呆然としている。管理番なんか口が開いていた。




管理番、みっともないわよ。口、閉めときなさい




「失礼します。」


騎士さんが口を開く。


「姫様のお部屋とは、庭に面したお部屋になりますでしょうか?」


「そうよ。知っているの?」


「部下の話では姫様のご希望で格子を付けたと聞いていましたが…」


「防犯用とか?そう。言われてた?」


騎士さんに確認。確認は正確に。確認は細かい方が良いだろう。


今日の教訓だ。




「はい。そう聞いておりました。」


なるほど。陛下たちには報告せず、身近な人間には『本人の希望』だと言っておけばどうにでもなると言うことか…




騎士さんは苦い顔だ。飲みたくない薬を飲んだみたい。


そして、侍女長も苦い顔だ。二人は同じ表情だが意味合いは真逆だろう。


こうなると陛下をみるのが怖いな… 自分で、聞いてて申し訳ないが陛下を見るのが怖い…


そろっと顔を上げる




陛下の顔は怖かった。先程のこめかみ怒りマークの方がまだマシだ。




「っつ」


恐怖で息が詰まる。前の人生も含めこんな怖い男の人の顔を見たことがない。


私は後ずさりたいのを必死に我慢した。




私が怖がっている事を見た宰相が。陛下を諌める


「陛下。姫様が驚いております」




『怖がっている』って言わないでくれてありがとう、宰相。


マジで怖いから。




「姫の部屋に鉄格子をつけたと… なんのためだ」


先程の様子から侍女長がつけた事は間違いないだろう。


陛下は断定していた。本人の意見は聞きもしない。


侍女長、罪が増えていくわね。


なんか、これからどうなるんだろう…


いろいろ出てきてるし…


上手く収まるかな…

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