第22話

私は作りたい料理を頭に浮かべながら、パントリーを覗く。


小麦粉に米、麺類などの主食になりそうなものはだいたい揃っている。ハーブや香辛料の類いも、まぁまぁ揃っていた。逆に足りない物が調味料だ。マヨネーズやケチャップ、ソース、ドレッシングなどはない。お肉や魚は前の生活と変わらないので、いろいろと工夫をすればなんとかなりそうな気がしている。




「まぁ、無いものはどうしようもないもんね、そこは無いなりに工夫しよう。」




ぎっしりと詰まったパントリーの中からお米を取り出した。


やはり日本人だ。久しぶりに食べるなら米が良い。


ご飯に合うおかず…


焼き肉? とんかつ? 鮭? 唐揚げ? 刺し身? カレー?


さて、どれにしようか?


次に保冷庫の中を見ると、肉も魚もあった。


魚も肉も両方食べたい気がする。


せっかくの誕生日だし、贅沢をしても許される気がしている。




ここで、最大の問題が浮上してきた。


作っても食べ切れない…


そう、今日9歳になる私は身体が小さいのだ。食べられる量にも限界がある。


せっかく作っても残したらもったいない(日本人の悲しい性だ)腐らせるなんてもっての外、保冷庫に入れても保存に限界があるし、他の材料もあるから、今度は他の材料が傷んでしまう。


そこを考えると肉も魚も両方食べるという贅沢な事はできないだろう。


それにお菓子も作りたい…


出来たばかりのキッチンを見ると、あれもこれもと作りたいものばかりだ。


誕生日にはケーキでしょ、と思ってしまう。




私は保冷庫の中身を見て作る料理を決めていた。


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