第19話
「えっと、どういう意味でしょうか?」
「そのままだが?」
「?」
私は陛下の言葉を反芻する。
『何を作るのかな?楽しみにしているのだが』だったよね
…そのまま受け取ると、食べてみたいってことで合ってる?
「そのまま受け取ると、食べたいって言う意味に聞こえるんですが、あってますか?」
「合っているよ、姫がどんな料理を作るのか。楽しみにしているよ」
口角が緩やかに上がっている。
最近と言うか、この間の謁見から笑顔が増えた印象のある陛下だ。
このままなし崩しで『はい、わかりました。』とは言えない。
私の作った料理を食べてもらうわけにはいかないからだ。
いろいろと問題がある。
まず、王宮の料理人から反感を買う。
小国の姫の作った料理と同列にされるのか、と怒り心頭になるのが目に見えている。
次は、安全面の問題だ。
この大陸の支配者だ、暗殺や毒殺には注意が必要だ。毎食食べる料理も当然毒味がされているだろうし、知らないものを口にさせるのは側近たちが許さないだろう。
万が一お腹でも壊したら大騒ぎだ。
それだけで毒殺、と騒がれるだろう。
そして、第一容疑者は私になる。
そんなのはゴメンだ。
それに付随して私のスローライフに影が差す。
私の作った料理を陛下が食べたとなれば、騒ぐ人たちも出てくるだろう。そんなのを食べさせるなんて問題だ、とか。自分も食べたいとか言う人もいるだろう。そして、食べたいと言われても作ったとして、一番心配なのは、体調に問題ないのに体調を、壊したと言う人も出てくる可能性がある…と言うことだ。
私の責任問題になるだろう。
そうなると、人質として来ている私はどうなるかわからないし、安全が保証されなくなる。
そんなのは怖いし遠慮したい。
と、なると陛下の希望は却下な方向性の1択になる。
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