休む暇なんてなく


 ハロウィンを無事に乗り越えた翌朝は頭をガンガンと殴られるような頭痛で目を覚ました。それは糖分を取る事で治ったが……


「やっぱりあれ甘すぎだって」


 今も口の中に甘さが残っている。ほんとどれだけ砂糖入れたんだ。


「それで、だ」

「うん」

「なにその格好」

「?」

「『?』じゃない」

「普通に水着来てるだけだよ?」

「普通は部屋の中で水着は着ないんだよ」


 綾香の格好はいつの間にか水着エプロンとかいう奇妙な格好になっている。裸エプロンは出来ないけどこれなら出来るってことか。


 ただエプロンでほとんどが隠れているから下はなにも着ていないんじゃないか、という錯覚に陥ってしまう。そんな妄想をすると昨晩の記憶を思い出してしまうわけで──


「もうちょっと寝る」

「そう?」

「なんか色々ともたない」

「じゃあ逃がすわけにはいかないね」


 ソファに座ったままの俺をグッと押し倒してくる。当然抵抗する力もなくあっさりとソファに寝転がされる。


「お昼から……オタノシミしちゃう?」

「流石にしない、昨日のでもだいぶ精神持ってかれてるんだ」

「なら……」

「──んむっ」


 綾香に口を塞がれる。そのまま舌をねじ込まれて蹂躙される。


「んっ……ちゅっ……ぷはっ」

「はぁ……いきなりはやめてくれよ」

「ダメ?」

「たまに呼吸が出来なくなる」

「あはは、それはダメだね」

「後いきなり舌もいれないでくれると嬉しい」

「それはやだ」

「なんで」

「ん?だって舌入れると気持ちいいもん」

「……昨日からの数時間で本性表し過ぎだろ」

「えっちな彼女は嫌い?」

「寧ろ好きだけど、加減はしてほしいな」

「冬夜くん相手は我慢出来ないかも」

「頼むからしてくれ───んむっ」


 そうじゃないと1ヶ月もたない、そう言おうとした口を再び塞がれる。


 また舌を入れられるが今度はさっきよりも激しくない。まるで冬夜くんの方からいれて?と言うようなキスだ。


「んんっ!?」


 だから要望通り俺が攻めに転じる。綾香の体に腕を回し、抱き締めて逃げられないように拘束する。そのまま逆に押し倒す。


「…………もう、急にそういうことするの卑怯だよ」

「嫌か?」

「……ずるい」

「これだけで蕩ける綾香が悪い」

「う〜〜〜〜!!」


 ポカポカと胸を叩いて講義してくるのをキスをして無理やり止めさせる。


 以前にもしたように耳を塞いでわざと音を立てるように激しく攻め立てる。すると徐々に綾香の身体から力が抜けていって俺に全てを預けてくる。


 そのタイミングで口を離す。唾液が橋のように2人の間にかかる、綾香がそれすらもったいないと言うように距離をつめまたもや唇が繋がる。


 それからお互いの息が続く限界までキスを続けて、今度こそ唇を離す。


「はぁ……はぁ……」

「綾香の蕩けた顔可愛いね」

「うぅ……」

「まだキスしたい?」

「……うん♡」


 そう言って顔を近づけて来るのを唇に優しく指を当てて止める。


「……なんで?」

「んー?綾香はこっちの方を触って欲しいのかなって」


 唇に当てていた指をゆっくりと下げていき、2つの果実の真ん中にある深い谷に添えて滑らせる。


「ここの方がいいかな?」

「してくれるの?」

「どうだろうね」


 ちゅっ、と軽く口付けを交わす。綾香が物欲しそうな目でこちらをみて、して欲しいよぉ……とねだってくる。


「ねぇ……シて?」

「だーめ」


 這わせていた手を離し綾香を抱きしめる。キスはせず綾香の耳に口を近づける。


「(するなら夜、だろ?)」

「うひゃう!?」


 ふぅ、と息をかければ身体を跳ねさせ、言葉を紡げば身体を震わせる。その反応が楽しくてしばらく続けているといつの間にか涙目になり、息も荒らげてこちらを見ていた。


「とうくんのいじわる……」

「あやが可愛いのがいけないんだよ」

「じゃあ最後までシてよ」

「それは誕生日まで我慢な」

「1ヶ月のお預けは辛いよぉ……」


 身体を擦り付けるように強く抱き締めてきて、柔らかい身体の感触がより伝わってくる。


 そう言えば水着エプロンだったなと思い出す。


「1ヶ月我慢出来たらきっとする時は凄いことになると思うけど?」

「……凄いことって?」

「(おかしくなるぐらい、気持ちよくしてやるよ)」


 ちょっと強引に言うぐらいが多分好きらしいので口調もそういったものにすると綾香がいい反応を見せてくれる。


「さ、今日はここまでだよ」

「もっとしてよ……」

「ダメ、早く着替えて遅めのお昼ご飯作ろうか」


 ダメ押しで額に唇を落としながらいうとうん、と素直に頷いてくれる。


 綾香が部屋に戻ったタイミングで俺は全身の力を抜きソファに沈み込む。


「慣れないことはするもんじゃないな……」


 さっきから心臓がバクバクと音を立てている。綾香も同じぐらい音を立てていたから大丈夫だとは思うけど緊張していたのが丸わかりだ。


「というか経験ないのに啖呵切っちゃったなぁ」


 本番までに色々と勉強しておいたほうがいいのだろうか。大輝辺りに相談でもしてみるか?


 課題も見つかってしまったけどとりあえず今日はもう無いだろうと安心して俺はお昼ご飯を作るための準備にとりかかった。

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