海だー!!


「これがプライベートビーチか……」


 白い砂浜、照り付ける太陽、そして澄んだ綺麗な海。着替えを終えてコテージから出てきた俺は圧倒されていた。子供の時は何の気なしに遊んでた海も今は何もかも違って見える。


「とりあえず準備だな」


 綾香たちが来るまえにパラソルやらを置いておかないといけない。まずはレジャーシートを敷いてそれからパラソルを立てていく。流石に1人じゃできないので使用人の人達に手伝って貰っている。


 ここにいる使用人は休暇扱いらしく普通に海で遊ぶために一緒に準備をしている。それでもお昼やらは仕事をしている人達が準備してくれるらしいが。


「よし……こんなもんだろ」

「ですね、では我々は先に失礼します」

「そうして下さい」


 そうして海に駆け出していくメイドさん達。若い人が多いからかなりテンション高めだ。それを見ていると後ろから砂を踏む音が複数聞こえてくる。


「冬夜くーん!」

「っと、いきなり飛び込んでくるなよ」

「だって海だよ!プライベートビーチだよ!」

「お、おう」

「テンションもあがるよ!」


 綾香の後ろには花梨さんや翡翠もいる。翡翠が泳げるかわからないが大丈夫だろうかと心配していたら花梨さんがついて来てくれた。水着は借りたらしい。


「冬夜くん、ラブコメで海の定番と言えばなんでしょう!」


 テンションが上がりまくっている綾香が問題を出してくる。


「んー、ビーチバレーとかBBQとか?」

「残念!正解は……」


 するとバックの中をゴソゴソを漁って何かを取り出す。


「日焼け止め塗ってくれない?でした!」

「そういうことは花梨さんに頼め」

「頼んだらダメって言われたんだもん」

「なんで?」

「あら、こういうのはカップルがやるものでしょ?ね、翡翠ちゃん」

「ん、そうだと思う」

「翡翠まで……」

「じゃ私たちは先に海に行くわね」


 そう言い残して花梨さんと翡翠は俺たちを残して海に向かう。


「それで、塗ってくれる?」

「そうしないといけないみたいだな」

「じゃあ……」

「塗るからそこに転んで」

「はーい」


 綾香が着ていたラッシュガードを脱いで水着姿になる。そして背中の紐をほどいてシートの上に寝転がる。


「じゃあ塗るぞ」

「うん」


 手に日焼け止めを垂らして綾香の背中に塗っていく。


「ひゃっ!」

「そんな驚くなよ」

「だって、冷たかったんだもん」

「さっさと塗ってくぞ」


 あんまり時間をかけると俺の理性がゴリゴリと削れて行きそうなので心を無にして塗っていく。


「んっ……はっ、ふぁ……」

「……変な声だすなよ」

「だって、背中をぬるぬる、ってぇ……」

「日焼け止めだから、我慢しろ」


 背中は敏感なのか綾香の口から我慢できなかった声が漏れる。それに気を取られないようにどうにか塗り終わる。


「終わったぞ」

「……前はやってくれないの?」

「それは自分でしてくれ」

「仕方ないなー」


 綾香が日焼け止めを塗っている間は目を海の方に逸らしておく。翡翠が怯えながら水に手をつけている微笑ましいものを見れた。


「ん、塗れたよ」

「じゃあ海いくか?」

「その前に言うことがあるんじゃない?」

「……そうだな。綾香の水着姿を見せてくれ」

「ん、好きなだけどうぞ」


 シートの上で女の子座りをして俺に水着姿を見せてくれる。綾香が着ているのはお風呂で着ていたのとは別で今日は白色のビキニだ。かわいらしいフリルがついていて綾香の可愛さを引き立ている綾香自身の肌が日焼けなんかをしらないぐらい白いのもあって可愛いというよりは綺麗という印象が先に来る。


「綺麗だ、それにすごくかわいい」

「改まって言われると照れちゃうね……」

「もっと言おうか?」

「ううん、あんまりやってると遊ぶ時間なくなるしいいよ」

「そっか」


 綾香が立ちあがって俺はその隣を一緒にあるく。


「冬夜くんはラッシュガード脱がないの?」

「多分着たままだな」

「そっか……残念」

「見たかったか?」

「うん」

「じゃあお昼の時にでも好きすればいいよ」

「やった」


 そうこうしているとすぐに波打ち際につく。


「よーし行くぞー……海だー!!」


 綾香が少し助走を取って飛び込む。バシャーン!と大きな水飛沫が上がる。


「あはは!楽しー!冬夜くんも早くー!」


 飛び込んでそのまま少し泳いだのか少し遠くに浮き上がった綾香が俺を呼ぶ。


「すぐ行く!」


 綾香と同じように助走をつけて俺も海に飛び込む。


「きゃー!」


 先程よりも大きな水飛沫が上がって綾香が悲鳴を上げる。


「ぷはっ!」

「冬夜くんすごい飛んだねー」

「こういう時のための身体能力だから」

「とりあえず……えいっ!」

「うわっ!」

「水遊び……だよっ!」

「やったな!」


 水をかけあってお互いを濡らしていく。


 しばらく2人の世界に浸っていると突然後ろから水をかけられる。


「ん?って翡翠!?」

「……ここまで泳いできた」

「おおー!すごいな!」

「えへへ」


 頭を撫でて翡翠を褒める。


「翡翠ちゃん冬夜くんにたくさん水かけちゃって!」

「わかった」

「え……うわっ!?」


 至近距離から翡翠に水をかけられる。顔にかかって思わず目を瞑ってしまう。


「冬夜くん!後ろががら空きだよっ!」


 綾香が後ろからさらに水をかけてくる。しばらく2人に囲まれてたまに反撃しながら水遊びを楽しんだ。

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