デート 2
電車を降りてそのまま駅の地下を通ってショッピングモールにいく。駅からこういう直通の道が通ってるのは楽でいいよな。特に夏場は日差しに当たらなくてすむし。
ショッピングモールに入るととりあえずは家具売り場にいく。今あるのとは別に棚や机が欲しいらしい。とりあえずは売り場でいいのを探す。
「うーん……」
俺が口を出すようなことでもないので後ろで黙って見ておく。ふと隣をみるとクッション売り場がなんとなくそちらを見てしまう。
「おぉ、これが人をダメにするクッションか」
ちょいちょいテレビで見ていた人をダメにするクッションをみてつい座ってしまう。……このまま寝れそうなぐらいは気持ちいいな。
「冬夜くーん……あっ、ここにいたんだ」
「決まったか?」
「うん、私はね。冬夜くんはそれ買うの?」
「いや流石に買わないかな、あってもなって感じがする」
「意外と場所とるもんね。……私の部屋に置いてもいいんだよ?」
「……ほしいの?」
「私はすこし気になってます」
「買う?」
「いいの?」
「ああ。それぐらいのわがままなら言えばいいぞ」
「じゃあほしい!」
「わかった」
とりあえずクッションを買うことにして先程綾香が決めた棚などを見に行く。一応値段やサイズを確認して店員さんに購入の旨を伝える。ついでにさっきのクッションも買って家に発送するようにすれば完了だ。
しかしクッション買っちまったな……まぁ俺もちょっと欲しかったしいいか。綾香がいない時に堪能しとこ。
「あ、冬夜くん」
「なに?」
「あのクッションは私の部屋に置くからね」
「え?ああ……うん」
「だからもし使う時は私がいる時に使ってね?」
「あー……」
俺もしかして心読まれてる?
「もし私がいない時に使ったら……ちょっとだけお願い聞いてもらおうかな」
「流石に勝手に部屋に入ったりしないよ」
「そう?私に染まったクッションを堪能したり部屋を漁ったりしない?」
「するわけないだろ」
「ふふっ、冗談だよ。からかっただけ」
「まったく……」
2人で軽口を交わしながらモール内を歩いていく。今度は家電売り場、買うものはドライヤーだ。俺が使っているやつが家にあるのだが女性が使う分にはどうも足りないらしい。まぁ綾香は髪が長いし手入れもしっかりしているから妥協したくないのだろう。
家のを持ってくればよかったのではと思っていたがどうせ親からお金が貰えるので新品が買いたかったそうだ。まぁこういうのは妥協したぶんだけ損するし親に頼れるんだから遠慮なく頼ればいいだろう。
「これは……ちょっとちがうなぁ……」
「ドライヤーにそんな違いなんてあるのか?」
「ほとんど気分みたいなものだけどね。まぁ私の欲しい機能さえあればあとはなんでもいいの」
「綾香の髪は綺麗だからな、妥協しないでくれよ」
「もちろん。そうだ、また私の髪を乾かしたりしてくれる?」
「それぐらいいくらでもやるよ、綾香の髪触ってて気持ちいいし」
「今触ってみる?」
そう言って綾香は髪を手にのせて差し出してくる。そういうことならありがたくと俺は綾香の髪を撫でるように触る。綺麗なストレートの髪はつっかかりなどなくさらさらしていて本当に触っていて気持ちがいい。
「なんかくすぐったいね」
「……よく考えたら外でやることじゃないかもしれない」
「確かに……浮かれてた……」
周りをみるとチラチラ視線を感じる。嫌なものではないが慣れていないので少しだけ居心地が悪い。というか女性が俺に向けてくる視線はなに?もしかしてやらかしてる?
「むー……」
「どうした?綾香」
「な、なんでもないよ!」
綾香が若干むくれていたような気がするが気のせいだったのかすぐに元の表情に戻る。この買い物が終わったらフードコートでおやつにでもしようかな。とか考えているうちに綾香がドライヤーを選び終えていて俺はそれをレジに持っていく。
これから袋に入れて持ち歩くけどまぁドライヤーぐらいなら問題ないだろう。
「1回休憩でフードコートにでも行こうか、おやつにしよう」
「ほんと!?私ソフトクリーム食べたい!」
「俺も食べたいから2人でシェアして食べようか」
「うん!」
綾香はバニラのソフトクリームを、俺は抹茶のをそれぞれ買って席に座る。どっちも食べ慣れた味だが王道がやっぱいいんだよな。
「冬夜くん、あーん」
「ん……やっぱうまいな」
「私も1口ちょーだい」
「ほら、あーん」
「あーん」
綾香が俺の差し出したソフトクリームを食べて幸せそうな顔をする。この顔が見れるなら俺は自分のソフトクリームを全部あげてしまうかもしれない。
がここであることに気づく。つい食べさせあってたけどよくよく考えれば、てか考えなくてもこれただのバカップルでは?公衆の面前で食べさせ合うとか恥ずかしくね?
俺がそれに気づくとほぼ同時に綾香も気づいたようでお互い羞恥に染まる。
「私たち油断してるとやばい……?」
「やばいな……中身が完全に中学生だ」
「私そのうち昔みたいに冬夜おにいちゃんとかいいそう」
「ありそうだな……」
俺たちは今この歳とはいえ最後にまともな会話をしていたのが俺が中学生の時なのだ。あの時はお互い好き好き言っていたがいまそれをやるとかなりキツい。今度お互い成長したことを実感するなにかをしないといけないかもしれない。
「とりあえずソフトクリーム食べようか」
「そうだね、溶けたらもったいないし」
そうしてまたソフトクリームを食べだす。そのあと結局2、3回ほど食べさせあっておやつタイムは終わった。また羞恥に悶えたけどな。
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