第91話 犯人はこの中にいる!
「い、いけませぬ、お嬢さま!そこは・・・・・・、ハッ!?」
悪夢に
いや、悪夢ってのは言い過ぎか。
ずっとリリカちゃんにぺろぺろされている夢だったのだから。
おかげで目覚めたばかりだというのにすごく疲れているぞ・・・。
っていうか今何時なんだろ?
目線を窓に移すと、外はまだちょっと薄暗かった。
あーそっか!!
昨晩のエロ本騒動から避難するために、いつもより早く寝たんだった。
そのせいで、まだ夜明けの時間なのに目覚めてしまったみたいだ。
こんな時間に起きたのは狙撃屋敷に住んでた時以来だな・・・。
ん~、もう一眠りした方がいいかな~?
今起きたってみんな寝てるだろうし。
布団にもぐって横向きになろうとしたら、生温かいモノにぶつかった。
「ぬ!?」
なるほど。今日は一人なのかと思ったら、お姉ちゃんズの誰かと一緒に寝ていたのね・・・。えーと、誰と一緒に寝る日だっけ?
確認するため、布団をめくってみる。
―――――タマねえだった。
「うぇええええええ!?なんでタマねえがここにいるのさ!?」
「ん~、クーヤうるさい」
「あ、すいません」
タマねえに布団をかぶせた。
・・・これは一体どういうことだ?
何がどうなったら隣にタマねえが寝るような事態になるんだよ!?
アイテム召喚で一喜一憂した後は、ちゃんと自分の家に帰って寝るのがタマねえのルーティンだ。ウチに泊ったことなんて今まで一度も無い。
いや待て!じゃあ、ぺち子姉ちゃんはどうなったの!?
タマねえがここにいるってことは、あの猫もウチにいるような気がするぞ。
とにかくあのエロ本のせいで、何か異常事態が起きたんだ。
大した事じゃないとは思うけど、めっちゃ気になる・・・。
それにしてもタマねえって、思ったよりも体温が高いのね・・・zzzz。
パチッ
また目が覚めた。
目線を窓に移すと、外は完全に明るい。
どうやら、いつの間にか二度寝してたみたい。
ふとタマねえのことを想い出したので、布団をめくってみる。
―――――やっぱりタマねえがいた。
「・・・ん?」
どうやら起こしちゃったみたいで、タマねえが身体を起こした。
「なんで横にクーヤがいるの?」
「いや、こっちが聞きたいよ!!あの後何があったのさ!?」
タマねえがキョロキョロと部屋を見渡し、自分の部屋じゃないことに気が付いた。
そして昨日の出来事を思い出すために考え込む。
「あ、思い出した。えーと、あの本を見てたらなんかムズムズしてきて・・・、クーヤがこの部屋で寝てるのを見つけて・・・」
ちょっとその先を聞くのが怖いんですけど!!
「寝ているクーヤの顔を見てたらリリカがぺろぺろしてたのを思い出して、真似してみたらなんか盛り上がって・・・、それでしばらくぺろぺろしてたんだけど」
タマねえが頭をこてっと横に倒した。
「いつの間にか眠ってた」
「だから、ぺろぺろされてる夢を見たのか!!」
謎は全て解けた!犯人はこの中にいたのだ!(布団のことです)
しかし小学生をムズムズさせるとは、なんて恐ろしいエロ本なんだろう・・・。
まさかタマねえまでもがぺろぺろ攻撃に手を染めてしまうとは!
・・・いや、手じゃなくて舌か。
でも逆に、部屋へ侵入したのがタマねえで良かったのかもしれない。
これが真正ショタコンのティアナ姉ちゃんとかだったら、事案発生だろ!
とにかくぺろぺろ攻撃くらいならば、まだショタは穢されちゃいない。
死ぬまで童貞を貫いた自分としては、エッチぃイベントは望む所でもあるんだけどさ、でもまだ5歳ですからねえ・・・。
う~、早く大人になりたい!
リビングに行くと、すでにみんな起きていた。
いや、ぺち子姉ちゃんは床に転がったままだけど。
でもなんか全員眠そうな顔をしているな。
もしかしてこの人達、ほとんど寝てないんじゃ・・・。
ただですねえ、犯人はエロ本だってわかってるので、どんだけ眠そうでもそのことについて触れてはいけないのです。当然ながら消えたエロ本の行方も聞けません。
「おはよーーーーー!」
「クーヤくんおはよ~、あふっ」
「おはよ~クーヤちゃん」
洗面所で顔を洗って食卓に着くと、お母さんは台所でパタパタしていて、クリスお姉ちゃんは茶色いシェイクを作っている所だった。
「あっ!コーヒーの香りがするってことは、もしかしてコーヒーシェイク!?」
「クーヤくん正解!今回成功するかはわからないけど、絶対に極めるわよ!」
「それ美味しいと思う!だって良い匂いがするもん!」
おそらくクリスお姉ちゃんは、コーヒーもシェイクも飲みたくて、どっちにしようか迷った結果これを閃いたに違いない。
生前コーヒーシェイクが好きだったから、思わず大好きだったって言いそうになったけど、創作意欲を失わせたくないから余計なことを言うのはやめた。
他のみんなもこの世界の食材を使って、きっと驚くような味を体験させてくれるんじゃないかな?お姉ちゃん達の閃きに期待だね!
クリスお姉ちゃんは眠い目を擦りながら出社し、ティアナ姉ちゃんとタマねえも登校して行った。
そして毎日遊んでるだけのクーヤちゃんは、ぺち子姉ちゃんが一瞬でクビにならないよう彼女の身嗜みを整えていたんだけど、来客をお知らせするブザーが室内に鳴り響いて手を止めた。
「はいは~い」
ガチャッ
『おはようございますマリアンネさん!えーと、レオナとクーヤはいるかい?』
『あら~!ライガーちゃんおはよ~。今日は二人ともいるわよ~!さあ上がって下さいな~』
『いや、ライガーちゃんって・・・』
今のってライガーさんの声じゃない?一体何の用事だろ。
ガチャッ
「お、クーヤおはよう!レオナは自分の部屋か?」
「ライガーさんおはよー!今レオナねえの部屋に行って呼んで来るね!!」
ボクとレオナねえに用事ってことは、商売関係の話かな?
もしくは、ポレフィータ討伐の準備が整ったって話もあるか。
そういえばアイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんも、レオナねえの部屋で一緒に寝てるのかな?あそこで寝たら病気になるとか言ってたのに・・・。
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