第88話 お買い物&就活

 みんなで美味しそうにチョコレートパフェを食べるほんわか家族。

 でもこれがゴールだと思われちゃ困りますね。



「リリカちゃんや、これが最強ってのは大間違いです!」


 美味しそうにチョコレートパフェを食べるリリカちゃんの手が止まった。


「えーーーーーーーーーーー!?ぜったいさいきょーだよ!!」

「あら~?その言い方だと、まだ何か先がありそうね~!」

「ねえお母さん、生クリームってある?」

「え~とぉ~、お店で買って来ないといけないわね~」


「ぐぬぬぬ、そっか~。チョコレートパフェに生クリームを入れると完璧なチョコレートパフェになるの!あとね~、バニラアイスの上に色んな果物を切って乗せてから、その上に生クリームをかける『フルーツパフェ』ってのもあるんだよ!」


 ショタのそのセリフを聞いたほんわか親子の手が完全に止まった。


「リリカちゃん、クーヤちゃん、お買い物に行くわよ~!!」

「いくーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「うにゃっ!?」


 うおっ!煽りすぎたか!?

 なんか、ほんわか親子を本気にさせてしまったような気がする。


「あ、ぺち子姉ちゃんが仕事を探しに行くのに道案内が出来るから、ちょうど良いかもだね」

「それは助かるにゃ!」



 チョコレートパフェを残すなんてとんでもないことなので、全員がちゃんと食べ切ってから買い物へと出発した。






 ************************************************************






 我が家の近くにはお目当ての店が無いみたいなので、ぺち子姉ちゃんに道を覚えてもらいながら街の中央広場まで来たわけだけど・・・。



 ぺろぺろぺろぺろ


「・・・・・・・・・・・・」


 ぺろぺろぺろぺろ


「・・・・・・・・・・・・」



 なるほど。


 マイホームにはテレビゲームやパンダちゃん、そして美味しい甘味があるからそれ所じゃなかったってだけで、リリカちゃんのぺろぺろ癖は健在だったのですね!


 今はそれらが無いから興味の対象がクーヤちゃんになってしまい、初めて会った頃のようなぺろぺろ攻撃が始まってしまったと・・・。


 結構歩いたから休憩するためにみんなでベンチに座ったんだけど、その直後からずっとこんな状態なのです。


 左手から始まり、次にほっぺを舐められ、今やあひるポンチョのフードまで脱がされ、首の辺りをぺろぺろされてます。


 ・・・何なんスか、この高度なプレイは!?


 これが美人のお姉さんとかだったらエッチぃ気持ちにもなると思うのですが、かわいい幼女なのですよ。本当に何とも言えない気分です。すごくこそばゆいです。


 しかも隣にお母さんが座っているのに、完全にガン無視なのです!

 よく見る光景だからか、クーヤちゃんの非常事態を一切気にしてません。


 ぺろぺろぺろぺろ


 あ、またぺろぺろが顔に戻ってきました。


「ぐむッ!?」


 ぺろぺろぺろぺろ


 とうとう口にまで来たあああああああああああああああ!


 お、お嬢さま、いけませぬ!そこはらめなのおおおおおおおおおおおおおお!!




 ◇




 ようやく休憩が終わり、ぺろぺろ地獄から解放された。

 いや、人によってはぺろぺろ天国!?


 とにかく幼女ぺろぺろは危険度SSです!新たな扉が開かれてしまう恐れのある、最高難度のプレイと言わざるを得ないでしょう。


 せめて10年、いや、5年後にお願いします!

 それならば好きなだけぺろぺろして構わないですから!



「あっ、このお店よ~!」



 生クリームを売ってるお店は広場のすぐ近くだった。

 ここでは他に買う物も無かったので、生クリームだけたっぷり購入した。


 そして次は食器を売ってるお店に行き、パフェを入れるのに最適なガラスの容器を人数分+α購入。


 割ってしまう可能性があるし、ウチに遊びに来たお客さんに食べさせたい気持ちもあったので、多めに買ったのだ。


 ちなみにガラスと認識してるけど、剣と魔法の世界だから地球のガラスとは違う物だと思われる。とにかく見た目はガラスみたいな透明な器なのですよ。


 最後に向かうのは果物屋さんなんだけど、家の近くの果物屋さんで買って帰ることになった。この辺で買っちゃうと重くて大変だからね。



「仕事が見つかったにゃーーーーーーーーーーーー!!」



 広場まで来た所で、ぺち子姉ちゃんがボク達を発見して駆け寄って来た。

 ここを合流ポイントに指定しておいたのだ。


 短時間で仕事を見つけるのは絶対無理だと思ってたのにやるじゃん!


 一緒に帰らないと迷子猫になってしまいそうだったので、今日の所は道案内程度に考えていたんだけど、まさか一瞬で仕事が決まるとは・・・。



「ぺち子姉ちゃん、やれば出来るじゃない!」

「ウチも意味が分からにゃいにゃ。あの数日間はにゃんだったのか・・・」


 確かに意味が分からない。なんで今日は大成功だったんだろ?


 ・・・あ!


「臭かったせいだ。絶対そうだ!!」

「うぇええええええ!?匂いくらいで断るにゃんて差別にゃ!!」

「いや、差別じゃなくて当然の結果よ?臭くて汚い人なんて普通雇いたくないから」

「そうにゃの?」

「身嗜みには気を付けなきゃダメだよ。今日もお風呂だからね!」

「それは嫌にゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」



 まあそんなこんなで、ぺち子姉ちゃんの就職先は一瞬で決まりましたとさ。

 そして帰りに果物を大量に購入。


 よーーーし!帰ったらフルーツパフェを作って就職祝いだ!

 

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