第87話 リリカちゃんにアレを作ってあげる

 試食会の翌日。


 目が覚めてリビングへ行くと、ハンター達の視線が突き刺さった。

 どうやらボクが起きるのを待っていたみたい。


「クーヤくんが起きて来たよ!あ、おはよ~!」

「おはよ~~~」

「えーとね、昨日のバニラアイス?あれを食べてから学校に行こうと思って、クーヤくんが起きるのを待ってたんだ!」


 ティアナ姉ちゃんは完全にバニラアイスの虜ですね!

 あ~~、そんなに期待されてるのなら寸胴鍋を出してから寝ればよかったね。

 でも夏だから冷凍庫に入れないと溶けちゃうか。


「明日からバニラアイスのお鍋を出しとく?すごく大きいから冷凍庫の中をいっぱい空けなきゃ入らないと思うけど」

「出しておいてもらえると助かるわ!今日会社の帰りに小さな冷凍庫を買って来るから、それに入れるようにしましょうか!」


 ってことは、クリスお姉ちゃんもバニラアイス待ちしてたんだね!


 自分は朝からアイスクリームなんて食べた記憶ないけど、たぶん昨日食べた時の感動が大きかったんだろな~。


 とりあえず食卓の上にバニラアイスの詰まった寸胴鍋を出した。

 あ、そうだ!アレを作ってあげよう。


「このまま食べるのもいいけど面白いのを作ってあげるよ!すぐ出来るから!」

「面白いの?」



 隣にフードプロセッサーを出してから、中にバニラアイスを入れ、牛乳をドボドボ入れてからスイッチオン!


 ギュイーーーン!


 たったこれだけの手順でバニラシェイクの完成です!


 二つのコップの中にバニラシェイクを注ぎ、クリスお姉ちゃんとティアナ姉ちゃんの前に置いた。


「美味しいよ!」


「なるほど~!飲み物にも出来るんだね!!」

「もう作ってるのを見ただけで美味しいのがわかったわ!」


 ゴクゴクゴク


 シェイクを飲んだ二人の目がキラキラと輝いた。


「美味しい!!」

「これも素晴らしいわ!時間がある時ならば、本を読みながらストローでゆっくり飲むなんてのも良さそうね」

「お姉ちゃん、それだ!!」


 二人ともかなり気に入ってくれたみたいで、ああしようこうしようと盛り上がっている。そこで一つ閃いたんだけど、お姉ちゃん達はもう家を出る時間だから帰って来てから話そう。


 そして二人は出社・登校のため家を出た。

 レオナねえも朝一でギルドへ向かったみたい。


 その後すぐタマねえもぺち子姉ちゃんを家に連れて来たんだけど、シェイクを飲んで目をキラキラさせながら登校して行った。



 家に残ったのは、クーヤ・お母さん・リリカ・ぺち子姉ちゃんの四人だ。



「おはよーーーーー!」


「あ、リリカちゃんおはよー!」

「おはようにゃ!」


 リリカちゃんはお母さんに連れられて洗面所に行き、顔を洗って戻って来た。


「クーヤ!アイスクリームたべたい!」

「あ、ウチも食べたいにゃ!昨日のめっちゃ美味かったにゃ!!」

「みんな朝から元気だね~。そうだ!すっごく美味しいのを作ってあげるよ!」

「おいしいの?」

「あ、お母さ~ん!すごく美味しいのを作るから手伝ってほしいの!」


「はいは~い!今度は何を作るのかしら~?」



 本当は一人で出来なくもないんだけど、お母さんに覚えてもらいたい気持ちもあったので、一緒に台所に行って鍋でチョコレートを溶かした。


 まあ焦がさなきゃいいってだけで、すごく簡単なんだけどさ。

 ・・・あれ?もしかして電子レンジでチンすりゃいいだけだった!?まあいいや。


 そしておわん型の器にバニラアイスを盛ってから、溶けたチョコレートを垂らしていく。板チョコ一枚で4人分だから豪快に使えないのが残念だけど。



「これで完成です!」



 その完成品を見たリリカちゃんの目がキラキラと輝いている。



「これは『チョコレートパフェ』っていいます!溶けないうちに食べよーーー!」

「ぜったいおいしいにきまってる!アイスクリームにチョコだもん!!」

「お母さんもドキドキしてきたわ~!えーと、『チョコレートパフェ』ね?」

「うん!」

「この黒いのいらにゃいにゃ~」

「食べたらもう絶対そんなこと言えなくなるからね!?」


 そういや猫ってチョコレートを食べても大丈夫なのか?

 ・・・いや、猫っつってもほとんど人間なんだからいけるっしょ。



 パクッ



 ―――――その時世界が止まった。



「「おいしーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 当然ながら大絶賛だ。チョコレートパフェを嫌いな女性なんているわけがない。

 しかし本当に美味いな!更に生クリームを乗せればもっと凄いのが完成するぞ!


「すごいすごい!もうこれがぜったいさいきょーよ!!」

「本当に美味しいわ~!お母さんもチョコレートパフェ大好きよ~~~!」


「・・・・・・・・・・・・」


 ぺち子姉ちゃんが固まっている。

 そしてスプーンでチョコだけをすくってペロッと舐めた。


「黒いのめちゃめちゃ甘くて美味すぎにゃ!!いらにゃいとか言ってこめんにゃ~~~~~!もうこれは神のアイスクリームにゃ!!」

「でしょ?チョコレートパフェって名前だから覚えてね!」

「チョコレートパフェ、覚えたにゃ!二度と忘れにゃいにゃ!!」

「お姉ちゃん達が帰ったら食べさせてあげなきゃだね!」

「みんな絶対喜ぶわね~!その前に後でもう一回作りましょうか~!」

「やったーーーーーーーーーーーーーーーー!!」



 やっぱりチョコレートパフェは大正義だよね!

 今ここにいないお姉ちゃん達も、食べたら大興奮すること間違いなしでしょう!

 

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