第8話 『全属性魔法剣士』

――――――――――――――――――――

【SUMMONS;ダークナイトスライム】Lv21

――――――――――――――――――――

Activation

【Link;スキル】

 └【Port;2】―【Element;ダーク】

  └【Skill;分身】―【Element;ソード】

Unique

【Skill;心眼】

【Skill;中級剣術】

【Skill;闇魔法】

――――――――――――――――――――


 俺! 超強化‼

 レベル10、レベル20到達の実績達成で解除された【Uniqueスキル2】と【Uniqueスキル3】は、そのままユニークスキルの種類が増える効果だった。


 心眼、中級剣術、闇魔法。

 間違いない。

 これは希少職の『暗黒剣士』が使えるスキルだ。


 つまり……。


――――――――――――――――――――

【SUMMONS;フレアナイトスライム】Lv21

――――――――――――――――――――

Activation

【Link;スキル】

 └【Port;2】―【Element;フレア】

  └【Skill;分身】―【Element;ソード】

Unique

【Skill;心眼】

【Skill;中級剣術】

【Skill;炎魔法】

――――――――――――――――――――


 はは……、やっぱりそうだ。


 属性をダークからフレアにすれば『暗黒剣士』から『火炎剣士』にジョブチェンジできる。これって実質『全属性魔法剣士』なのでは?


「勝てる。これならルメートルが相手でも負けない」


 口角が上がる。


 おっしゃあ!

 どぶさらいもあと数日の辛抱だ!

 前世から連綿と受け継がれてきたこの呪いも、ここで断ち切ってやるよ‼


「そういえば、セイント属性も追加されたんだっけな」


 俺が処理してるのは汚泥。

 セイント属性の聖魔法には浄化の効果があったはずだ。


「サモン! セイントナイトスライム‼」


 召喚できるスライムの上限は1体らしいので、ダークナイトスライムを戻してセイントナイトスライムを召喚する。


「よし、試してみるか。【浄化ピュリフィケーション】! おおっ⁉」


 浄化の魔法を発動した瞬間だった。

 ヘドロによって、粘性を帯びていた下水が、見る見るうちにさらさらに生まれ変わる。

 だけじゃない!

 なんということでしょう。

 匠の浄化魔法によって、苔むした内壁まで新品同様に生まれ変わったではありませんか。


「仕事完了! やったー‼」


 ついにマスターしちまったな。

 清掃業!


 いや、これで食っていくつもりなんて毛頭ないんだけどね。



「おお! ジーク! 戻ったか!」

「どうしたおっさん。そんなにテンションを上げて」

「生きてるって、いいよなぁ……!」

「はあ?」


 なんだこのおっさん。

 なんか悪いものでも食ったんだろうか。


「おっさん、なんか悪いものでも食ったのか?」

「食ってねえよ!」

「年とか」

「く、食ってねえよ」


 いや食ってるだろ。

 ま、前世含めたら俺の方がおっさんなんだろうけど。

 あれ? 言ってたらなんか悲しくなってきたぞ。


「とにかく、下水処理は終わったから報酬」

「おお? ずいぶん早いな」

「スライムに手伝ってもらったんでね」


 いいつつ、俺はただのスライムを頭にのせた。

 スライムはたぶん、頭の上でドヤ顔してる。


「いや、スライムでどう楽をするんだよ……」

「想像力が足りないよ」

「なんかわからんけど腹が立つな?」


 カルシウムが足りないよ。


「おいジーク、下水は誰も確認しないと踏んで手を抜いてないだろうな?」

「抜いてねえよ。気になるなら確かめて来いよ」

「それは……、いや、いい。ジークを信じるよ」

「ん?」


 なんだ?

 今、少しだけ違和感があったような。


「なあおっさん。何か隠して――」


 言いかけた時だった。

 背後で扉が、銃撃のような音を立てて開け放たれた。

 振り返るとそこに、西日を浴びて立つ人がいた。


「今度こそ逃がさないわよ! 統魔師モンスターマスター‼」


 あ、この前のやべー人。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る