#51 恋のお守り
昨日の夜、森山くんのお家へお泊りしたいことをママに相談すると、ママは寝室からある物を持ってきて、私に渡してくれた。
コンドーム
ママは私にそれを手渡し、言い聞かせるように語った。
「森山くんが相手ならよほど大丈夫だとは思うけど、念のためにね。 セックスして来なさいって言ってる訳じゃないから誤解しないでね。 あくまで備えだから、何かあった時に後悔しない様に。 それと、ママからのアドバイスをするなら、森山くんには色仕掛けは通用しないから、無理に迫ったりするのはただ自分を安売りすることになるだけだからね」
「うん、わかった・・・」
「お守りだと思えばいいのよ。恋を成就するお守り」
「そうだね・・・うん、ママ、ありがとうね。 頑張って来るね!」
◇◆◇
夕飯をご馳走になった後、お母さんが私たちに
「3人とも、お風呂早めに入っちゃいなさいね」
『いや、漆原さん送って行かないといけないから、僕は帰ってから入るよ』
「あれ?イチローに言ってないの? 今日ヒメカちゃん泊ること」
ハルコちゃんと顔を見合わせる。
うん、これはお互い相手が言うと思ってて、どちらも言ってないパターンだ。
「えーっと・・・ごめんなさい! 既に知ってると思って、私からは言ってませんでした!」
『え?え? どういうこと???』
「お兄ちゃん、ヒメカさんと明日もお勉強会でしょ? どうせ朝早くから来るんだったら、もうお泊りにした方が時間も有効に使えるし、ヒメカさんも何度も往復しなくていいでしょ? だから私から泊る様に誘ったの」
『なるほど・・・道理で今日は大きいバッグで来てたんですか』
「ごめんね、森山くん。 内緒にしてるつもりはなかったの」
『いえ、ちょっとビックリしただけで、大丈夫です』
「じゃあ、ヒメカさん!一緒にお風呂に入りましょう! お兄ちゃん、覗いちゃダメだからね☆」
『ハルコ、ラノベの読みすぎ。 お兄ちゃんはそういうの求めて無いから』
「ノリ悪いなぁ」フンヌ!
お風呂には森山くんが先に入り、その後でハルコちゃんと二人で入った。
お風呂では、ハルコちゃんと女子トークに花を咲かせた。
普段はクールで真面目で優等生然(森山くんが言うには厨二病らしい)としているハルコちゃんも、流石に裸同士での女子トークとなると、年相応の可愛らしい女の子。
「ハルコちゃん・・・おっぱい大きいんだね・・・」
中学3年なのに、Fだってさ
そういえば、お母さんも大きいんだよね
「ヒメカさんだって小さくは無いじゃないですか」
「そんなことないよ。ハルコちゃんを前にすると、自信無くすよ・・・」
「いえいえいえ!ヒメカさんの場合は、身長あるし脚もお腹も引き締まってて、滅茶苦茶スタイル良いじゃないですか!」
「そ、そうかな?えへへ」
「そうですよ。 ヒメカさんに自信無くされると、世の中の女性みんな「嫌味か!」って怒りますよ?」
「うふふ、ありがとうね。 ハルコちゃんに言われると、ちょっと自信出て来た」
「しかし、この超美少女で超絶スタイルのヒメカさんにいちゃいちゃベタベタされても、全然動じない兄って相当ですよね。 ホモなのかな?」
「え!? 森山くん、ホモなの!? そ、そんなぁ~・・・」
「いえ、冗談ですよ。 少なくとも中学までは好きな女の子が居た訳ですから」
「そうよね!そうだよね! 私でも頑張ればチャンスあるよね!」
「っていうか、実際のところどうなんですか? 手ごたえはありそうですか?」
「う~ん、表情を見ている限りはいつも通りだったかな。 今朝なんて寝起きにぼーっとしてるから私が服脱がせて着替えさせたんだけど、されるがままで恥ずかしがるとか動揺するとか全然無かったからね」
「そうですか・・・思ってた以上に手強いですね」
「うん・・・でも本番はコレからだから! お風呂出てからが勝負だからね!」
「了解です。 思う存分やっちゃって下さい」
その後は、ハルコちゃんが今ハマっている「たぬきダイエット」の話でも盛り上がり、お風呂を出た。
因みに、パジャマはシルクの凄く高級なの。
ママが用意してくれた。
勿論下着も気合の上下セット。
積極的に森山くんに見せるつもりは無いけど、それでも女性としての嗜みだし、こういうのは心の持ちようだよね。
森山くんの部屋の前に立つと、試合の時以上に気合が入る。
今行くからね、森山くん
今夜こそ、私の想いをぶつけるから
ハルコちゃんがガッツポーズで「ご武運を。 骨は拾いますので」と小声で励ましてくれる。
ん?
それって失敗前提の励ましじゃ?
と一瞬思ったけど、首を振って雑念を振り払い「頑張ってくるね!」とガッツポーズで返す。
私は深呼吸し、パジャマの胸ポケットに忍ばせた
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