#23 漆原家にて修羅場勃発
ママさんの圧迫面接により、告白モドキを強要されてしまったけど、その後は二人ともご機嫌になってくれて、和やかな時間を過ごした。
『そう言えば、漆原さんは小さい頃から空手をやってるって言ってましたけど、最近はやってないんですか?』
「え? どうして分かったんです?」
『いえ、放課後は生徒会とか僕とお喋りばかりしてるし、休日もこうしてお休みしてるようですし』
「えっとね、去年までは毎週道場に通ってたんだけどね、2年になってからは月に1回行くかどうかなの。 どうしても生傷が絶えないし、女の子なのにいつも傷だらけなんて恥ずかしいし・・・それに勉強も頑張らないといけないからね」
『なるほど、そういうことでしたか』
「それに、元々は護身の為に始めたからね。 これ以上強くなる必要もあんまり無いんですよね」
「ヒメカちゃんは、恋に目覚めちゃったしね。うふふ」
「もうママ!」
そうか、漆原さん程の美少女で人気者なら、彼氏の一人くらい居ても当然だよね。 お友達になって浮かれて失念してたけど、そもそも僕とは住む世界が違う人なんだよな。
『うんうん、なるほどなるほど。そうですよね。漆原さん程の女性なら恋人の一人や二人。うんうん』
「ヒメカちゃんのポンコツに続いて、森山くんも相当鈍感そうね・・・」
『そ、そうですね・・・だから僕はお節介の押し売りとか言われて、ウザがられて・・・』しゅん
相変わらずママさんの指摘が鋭すぎて、認めざるを得ない
「もう!森山くんはウザくなんてないよ! ママも森山くんに失礼でしょ!」
「え? ママはそういう意味で言ったんじゃないんだけど・・・(この子たち、苦労しそうね・・・)」
イチローのことになるとポンコツで恋愛に不器用なヒメカと、恋愛のれの字も意識していない鈍感なイチロー
漆原ママは、この二人が結ばれる未来がやってくるのか心配で、一人ため息を吐くのだった。
◇◆◇
その後も3人で雑談を続けていたけど、そろそろお昼の準備を始めると言うので、僕も手伝いますと申し出た。
それを聞いたママさんがエプロンを貸してくれたんだけど、ひらひらなフリルがいっぱいの白いエプロン。
これどう見ても女性用だよね?
新婚のお嫁さんとか着けてそうなの。
とりあえず着けてみたけど、ママさん超ウケて爆笑してるし、漆原さんはスマホ構えて撮影しようとしてるし。
『ちょ、ちょっと漆原さん!何撮ろうとしてるんですか! 肖像権の侵害ですよ! ま、まさか僕の恥ずかしいエプロン姿をSNSで晒して笑い物にするつもりでは!? ネットいじめ恐るべし・・・ってママさん笑い過ぎですよ!』
「SNSになんて出しませんよ! 私一人で楽しむ用に1枚だけでも・・・お願いです!」
「ぷーっぷぷぷ、森山くん、似合いすぎよ、ぷぷぷ。 ヒメカちゃん、どうせ写すならツーショットにしたら?ぷくく、おなか痛い」
「つ、つつつつつ、ツーッショット!?」ゴクリ
『はぁ・・・もう好きにしてください』
結局、漆原さんとツーショットを撮影し、写した写真を見せてもらうと、二人とも履歴書の写真の様に固い表情だった。
その後、なぜかママさんもツーショットを撮ると言い出して、ママさんにがっつり腕組まれて、スマホを構えてた漆原さんが鬼の様にママさんに怒りだし僕が宥めるという、ちょっとした修羅場が繰り広げられた。
「いいじゃない、男の子がお家に来るのなんて初めてなんだから、ママだって少しくらいはしゃいでも。ヒメカちゃんは焼き餅焼きすぎよ」
「ん~~もう!!! 今日は私が森山くんを招待したの! 森山くんは私に会いに来てくれたの!」
『あの~・・・そろそろ料理始めませんか?』
すると漆原さんがギロリ
『ひぃ!』
「ちょっとヒメカちゃん!森山くんが怯えてるでしょ!」
そう言ってママさんが僕を抱きしめ、頭をヨシヨシしながら「もう怖くないからね。ママが守ってあげるからね」と言い出した。
ママさんは凄くいい匂いがした。
「ちょ、ちょっとお!どさくさに紛れてなにしてるのママ!!!」
漆原さんはそう叫ぶと、ママさんから僕を引きはがして、今度は漆原さんが僕を抱きしめた。
漆原さんも凄くいい匂いがした。
そろそろおなかすいてきたなぁ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます