世間知らずの許嫁お嬢様の立場を分からせたら、結婚をせがむ依存系ヤンデレになった

……チッ


おい、このグズ!


挨拶とかで近寄るなって、いっつも口酸っぱく言ってますわよね?


貴方みたい下賤な輩が近くにいると、空気が汚れるんですの


あーぁ、あなたが空気を読まないせいで、私の学友が逃げてしまいましたわ


全く、どう責任を取るおつもりかしら?


はぁ? 許嫁同士二人きりにしてあげようって言ってた?


はんっ、そんなの、私に気を使ってくださっているだけの事よ


本当は、「あーぁ、こっちにまで平民の汚い息で汚染されるからとっととお暇しますわ」なんだけど?


はぁ……こんなの、どうして私の許嫁なのかしら……


全く、意味が不明ね?


ははって、笑ってるんじゃないわよ、このグズ!


良い? 金輪際、近寄らない事! 喋りかけない事! 私と同じ空気を吸わない事!!


後、許嫁だからって挨拶くらいは~とかほざいてますけど、それ、すぐに解消しますから


え? 私のお父様が言ったのかって?


ふんっ、そんなの、すぐにでも言わせますわよっ


大体、愛しの一人娘を、この訳の分からないぼんくらの元に嫁がせるなんて、訳が分かりませんわよね?


え? あなたから、許嫁解消を申し出てくれる?


はんっ、まぁ、そこだけは! 気が合いますわね?


でも、お断りいたしますわっ


どうしてあなたなんかを我が家に招かなくてはいけないのかしら?


気持ちが悪いわ


その件は、私から重々伝えておきますから、ご安心くださいね? ふふっ♪


それでは、え・い・え・ん・にっ! さようならっ!


//場面転換


……ご、ごきげん、よう……い、許嫁、様……


な、何よ……笑いたければ、笑えば良いじゃない


何があったのか? ふ、ふんっ……


お父様に言ったら、絶対解消できないって、お叱りを受けたのよ……


まさか、丸一日お説教だなんて……


ま、まぁ、私が少しだけ勘違いしていたのは謝る……謝りますわ


まさかあなたの家が、我が家を助けてくれる、なんてね……


ま、まぁ? 私のような美少女を娶れるなら、お釣りが来るくらいね


夫婦の営みなら、側室でも取ればいいのよ


私は絶対、お断り


じゃ、今後もよろしく……


は? それじゃあ困るから、あなたから直々に断る……?


ぁ……い、いや、これは言葉のあやで、いや、その……


い、一回だけなら、まぁ……


//踵を返す


い、イヤッ、待って、待ってちょうだい、いや、待ってくださいっ!


私、絶対あなたと結婚しろってお父様に言われたんですっ


結婚しないならもうお前なんか要らない、今すぐ出て行かせるって……


そ、そんなことしたら、私生きていけないじゃない……


なんとか暮らせる?


い、いや、馬鹿言わないで……冗談はよして、ください……


い、今の生活が無くなっちゃったら、全部なくなったら、私、わたくし、生きてなんて……


だ、だから……お願い


私と、許嫁でいてくださいますわよね? 将来は、結婚、してくださいますわよね?


……まだ、ダメ?


ぅぅ……反省、反省、します……


これまでのことも、ごめんなさい、します……


ほ、ホントは、ホントはあなた様のこと、お慕いしておりましたの……


いっ、いえっ、ホントですっ、ホントの事ですっ!


ここ、学校ですけどっ、ちゃんと大声で言えますッ、誓えますッ!


私っ、ただ、ちょっとだけ傲慢だっただけで……ッ


だから、だから……


あ、あなたには、何されても、良いです……


今すぐ口付けをして欲しいなら、して差し上げますっ


靴を舐めろと言われてもっ、首輪を繋がれて学校中を歩くことになってもッ!


あ、あなたのモノになれるなら、本望ですっ


だ、だって


私……あなたの事、愛してるんですものッ!


……ね、だから……


なんでも、しますから……


これからはずっと、あなた様の、傍にいさせて、くださいませんか……?


一生、死が別つまで……いいえ、あの世でも、生まれ変わっても、ずっと、お傍にいさせて、ください……


//以下懇願するように囁き


なんでも、なんでも……あなたの望むこと、私にできること、なんでもします……


ね……あんなことでも、私に、して、良いんです……


だから……私と、結婚して……


私を、あなたの、お嫁さんに、してください……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る