ヤンデレ後輩「いつでもどこでも、後輩ですから」

(引き戸を開ける音)


あーっ! せーんぱい!


探しましたよぅ?


もう、ちょっと目を離したスキに居なくなっちゃうんですからぁ。


え? お前も転校してきたのかって?


そうですよぉ。


先輩をおっかけて、私もはるばる転校してきたんです。


えへへ、それにしても、先輩はセンスいいですね。


ここの女子の制服、前のところよりすっごく可愛いですもん。


ね? そう思わないですか?


え? 最初は知らなかった?


またまたぁ、


私が着るのを想像して、ここに来たんですもんね。


いやぁ、さすが後輩想いの先輩、ですね♪


謙遜、しなくていいんですよ。


でも、またすぐ見つけられてよかったぁ。


先輩、私がいないとダメダメなんですから。


ねね、先輩はどっか部活は入ったんですか?


あ、やっぱり前と同じの運動部に入ったんですね?


良かった、私も、ついさっき入ったんです。


なんでって、別に私の勝手じゃないですか~。


また指導、よろしくお願いしますね?


そんな、謙遜しなくてもいいじゃないですかぁ。


ま、そんなわけで、今日も部活、よろしくお願いしますね♪


(場面転換)


お疲れ様です、先輩。


先輩は優しいですね、片付けも率先してやってて。


私も手伝いますよ……っと。


いえいえ、大丈夫です、こんなくらい一人で持てますから。


あれですよね、倉庫にしまえばいいんですよね。


一緒に行きましょうよ。


あれ、先輩はほんっと、力ないですよね~。女の子みたい。


あははっ、怒っちゃいましたか? そんなところも可愛いですね。


そういえば、さっきの練習での試合、さすがですっ。


私、僅差だったのになぁ。


……え? 嘘つけって、何がですか?


何言ってるんですかぁ、先輩、久しぶりだってのに怖いですよ?


よいしょ……と。


ふぅ……。


で、何がどうしたんですか?


……手加減? そうですかぁ、そうなんですね。


(マットに押し倒す)


うへ、うへへへ。


バレちゃいましたねぇ♪


まぁ、分からない方がおかしいとはおもいますけどっ。


あぁ、もう暴れないで下さいよぉ。


もう、どうせ私が手を抜いてくれるからって、調子に乗らないでくださいね。


(低音)このまま事故で両手、折っちゃいますか?


ねぇ、なんで私の先輩でいてくれないんですか?


なんで逃げ出したりするんですか?


これで何度目ですか?


後輩で女の私に組み敷かれるほど弱いのに、なんで逆らうんですか?


先輩は、私の先輩なんです、私だけのかっこいい先輩なんです、


じゃあ他の先輩を見つけろって?


うふふ……そういうわけにはいかないんです。


私には、先輩じゃなきゃダメなんです。


先輩の後輩が私じゃなきゃ、ダメなんですよ。


こうやって、私の力だけでかっこいい先輩として演じられてて、


でも、実際は私の力に支配される、私だけの先輩……。


んふふ、自分のものにできるのってちょっと興奮するし、


自分のものを育てるのって、嬉しい気持ちになってくるんですよね……。


だから、私は先輩がどこに行っても追いかけます。


だって、先輩の後輩は私だけだし、私の先輩は、あなただけなんですから。

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